2009年11月 7日 新潟市に対する2009年度予算要望

新潟市長 篠田昭殿

2009年度(平成21年度)
予算編成についての要望書

民主党新潟県第1区総支部
 代表   西村ちなみ
新潟市議会改革ネット
 クラブ長 渡辺和光
       吉田ひさみ
       山際敦
       加藤大弥
       上杉知之


2009年度(平成20年度)予算編成についての要望

はじめに

政令指定都市に移行して3年目を迎えることとなり,次年度は新潟市の真価が問われる年であると言っても過言ではありません。その権限と財源をフル活用した市政運営を推進し,県都新潟の顔として,環日本海側の拠点都市としての役割をしっかりと担っていかなくてはなりません。

さて,日本の経済情勢は回復基調を継続してきましたが米国のサブプライムローン問題や原油価格高騰などを背景に,欧米経済の減速による輸出が減少し、ガソリンや食料品の値上がりの影響を受け個人消費も伸び悩んでいます。2002年2月から始まった戦後最長の景気拡大が後退局面に入るなかで,世界的な金融不安が重なり今後の景気が後退するのは確実です。

新潟市においても,中越沖地震の影響や原油価格高騰に伴う地域経済の悪化など,その課題対応が急がれるところです。

また、新潟市の将来人口は,2010年に初めて減少に転ずる見込みであり,少子化・高齢化はますます進み、高齢者の医療福祉や生活サービスの提供、子育て環境の改善など対応すべき課題が山積しております。

さらに、都市産業は経済社会のグローバル化により大きな競争にさらされ、都市間競争・国際競争に勝てる産業の育成を図り,雇用の場を確保する必要があります。

そうした中で,本市が持続的に発展していくためには,安心安全な暮らしの確保と,拠点性の強化や経済活性化のための施策の充実を図らなくてはなりません。

また,引き続き行財政改革を断行し、政令指定都市の内実を高めるべく,新・総合計画と区ビジョンを着実に推進していくことが重要であります。

以上,そうした観点から,平成21年度の予算編成にあたり、以下項目別に要望いたしますので,よろしくお願いいたします。

1.市政・区政改革と行財政運営

三位一体改革に始まる政府の行財政改革と経済の不調は地方財政に大きく影を落とし、合併建設計画事業や新潟駅立体交差事業などの大型事業が予定されている本市においても財政の硬直化が強く懸念されます。

一方、物価の高騰、金融不安、社会保障制度への不信などが、市民生活を重く苦しいものとしています。

こうした状況を鑑み、本市が標榜する「日本海に開かれた分権型政令指定都市」を確立し、市民満足度を高めるためには、市民要望に基づいて施策の優先順位を精査し、市民参画を促進するための環境を確実に整えていくことが必要です。

  • (1)市民要望に応える市政運営とするために、財政構造の見直しとともに財政の弾力化を図り、維持補修費に関しては、アセット・マネジメントに基づく総合的な中・長期計画を明らかにすること。
  • (2)本庁・区役所の責任・権限・役割分担について、検証と改善を積極的に進め、区役所職員の増員など、市民ニーズに対応しうる区役所機能の強化に努めること。
  • (3)コミュニティ協議会の活動を保証するための拠点を、コミュニティ協議会ごとに整備すること。
  • (4)民間委託の拡大について、第3者評価委員会の設置など、公的責任を担保するための具体的な検証ルールを確立するとともに、指定管理者制度の検証と改善を図ること。
  • (5)財政出資団体について、自立的事業運営となるよう指導を徹底するとともに、補助金・出資金のあり方について抜本的な改革を進めること。
  • (6)市役所職員については、非正規雇用の拡大を見直し、保育士、学校図書館司書など市民要望の強い職員に関しては正規化するなどして、行政サービスの質の向上をめざすこと。

2.経済・産業・雇用政策

政令市移行により経済活動の活性化が待されていますが、まだまだその効果を実感できない状況です。今後は日本海側、田園型といった新潟市の個性をさらに伸ばしていく必要があります。

また、雇用に関しては、若者の就業支援や格差解消に努めなくてはなりません。

  • (1)中心市街地の活性化に向け、商店街関係者と連携を図り支援策を講じること。
  • (2)新潟の強みを生かした地場産業の支援と企業誘致により、新潟ブランドの産業集積を推進すること。
  • (3)地産地消および地産外商において、食と花のブランドを効果的にアピールすること。
  • (4)正規雇用率を制度融資の条件とするなど、雇用格差の解消に努めること。
  • (5)障がい者法定雇用率の達成を図るとともに、障がい者雇用の支援策を拡充すること。

3.社会保障・医療・福祉政策

少子高齢化社会がますます進展する中、出産・子育て支援や介護サービスに対する市民要望は非常に高いものがあります。これらの期待に応える施策を積極的に推進・展開することがこれまで以上に求められていることを認識しなければなりません。

  • (1)特別養護老人ホーム等への入所待機解消を図るため、施設整備を推進すること。
  • (2)介護支援事業者・サービス提供事業者のサービス評価について、利用者視点に資する体制を確立すること。
  • (3)病児保育・休日保育・夜間保育などの多様な保育サービスを誰もが利用できる制度とすることとあわせて各区において設置・拡充すること。
  • (4)妊婦一般健康診査の公費負担回数を14回にするとともに周産期医療体制の更なる充実を図ること。また、不妊治療の費用助成を拡大すること。
  • (5)障がい者自立支援法の枠にとらわれずに低所得者の負担軽減を図るなど、障がい者の視点に立った施策を推進すること。

4.安心・安全なまちづくり

相次ぐ自然災害、食をめぐる不安の増大、振り込め詐欺被害の急激な増加などなど、生活基盤を脅かす事象が頻発しています。「安心・安全」を確保することが自治体の責務として求められています。

  • (1)公共施設の耐震補強に関する計画を明らかにすること。また、小中学校の耐震補強については更なる前倒しで実施すること。
  • (2)自主防災組織の組織率拡大に向けてきめ細かな取り組みを展開すること。
  • (3) 保健所・食品環境センターや消費生活センターの相談体制を強化するなど、機能の拡充を図ること。
  • (4)通学路防犯灯について、空白域の早期解消を図ること。
  • (5) 防犯対策強化のため組織づくりや関係機関との連携強化に向けた取り組みを積極的に展開すること。

5.子ども・教育施策

子育て支援に対する市民の重要度は高いものの、満足度は低い状況にあります。子どもたちが健康でいきいきと暮らせるよう、市民ニーズを的確に把握し子育て支援を進めていく必要があります。

また、心豊な子どもたちを育むための教育施策の充実を図る必要があります。

  • (1)ひとり親家庭への支援として、短期入所生活援助事業を早期に実施すること。
  • (2)0歳~小学校修了までの子どもが病気やけがをしたときの医療費の一部助成について、通院費も対象とすること。
  • (3)地域子育てセンターおよび児童センターを各行政区に整備・拡充すること。
  • (4)放課後児童の健全育成について、70人以上が在籍しているひまわりクラブについては狭隘化解消に早急に取組むとともに、適正な指導員配置に努めること。
  • (5)きめ細かな教育を実現するため、少人数学級の対象学年を拡大することや複数担任制など施策の充実を図ること。
  • (6)いじめや非行、不登校や学習不適応、学級崩壊、集団暴行等の児童生徒の抱えている問題解決のためのカウセリングの充実等も含めた施策・体制の充実に努めること。
  • (7)中学入学後の環境変化で不登校などが急増する「中一ギャップ」への対策を徹底すること。

6.男女共同参画施策

加速する少子高齢社会と将来の労働力不足への不安に後押しされて、女性の社会進出や労働現場への進出は促進されているかのように思われます。しかしながら、その中にあっても男女の待遇格差、賃金格差は一向に埋まらず、女性の経済的自立は大きく立ち遅れています。更に、男性の家庭責任への支援も実効あるものとはなっておらず、家事・育児の責任は相変わらず女性の肩に重く圧し掛かかり、固定的性別役割分業は解消されていません。

一方、家庭内にあっては配偶者間暴力が後を絶たず、その中で養育される子ども達への影響も見過ごすことはできません。暴力の防止には早期の人権教育が必要不可欠であることは言を待ちませんが、男女が自らの性と互いの性を尊重し合う教育が強く求められています。

  • (1)市が行う全ての事業は男女共同参画(ジェンダー・イクオリティ)の視点を踏まえたものとすること。ことに視覚的広報媒体については、固定的性別役割分担にとらわれない表現であること。
  • (2)女性の経済的自立を支援するための再教育プログラムを企画、実施すること。
  • (3)男性の育児・介護休暇の取得率を大きく増加させるために、各種制度、事業を充実させること。
  • (4)DV被害者の自立支援については、関連機関・組織との連携を密にし、積極的な施策を推進すること。
  • (5)加害者支援のプログラム開発と実施に向けて研究・検討すること。
  • (6)DV防止のために、若者に対する暴力防止と人権に関する教育の機会(デートDVに関する啓蒙)と、リプロダクティブ・ヘルツ/ライツの教育を充実させること。

7.環境政策

本市は多様な自然を有しており、希少種を含む多様な生物環境を守り次世代へと引き継ぐ使命を有しています。

これら環境の保全に積極的に取り組み、一方教育現場などでの活用や市民への周知に取り組み、環境対策の必要性を伝え共に守ることが重要となります。

  • (1)温室効果ガス排出削減について地球温暖化対策率先実行計画の総排出量を平成21年度の平成16年度比5%削減目標に向け取り組みを強化すること。
  • (2)ごみ減量化施策において、市民の理解と協力を得るための方策に万全を期し、新・新潟市ごみ減量プログラムに明記されている平成23年度リサイクル率23.0%、最終処分量3,9000tの目標を達成する為に尽力すること。
  • (3)バイオマスなどの活用について、家庭から出る廃食用油の拠点回収の拡大と市民が持ち寄りやすい回収容器、回収ステーション設置などの整備を進めること。
  • (4)特に福島潟およびその周辺地区におけるラムサール条約の指定を目指し、周辺田園地帯も含めた環境保護活動に努力すること。また、鳥屋野潟、御手洗潟などの湖沼においても環境整備に尽力すること。
  • (5)新津丘陵、角田山の環境保護整備について、地元住民、NPO団体と連携し整備促進に努めること。

8.交通政策

新潟交通戦略プランやオムニバスタウン事業には市民の目線が欠けており、具体的な施策が見えにくいことから、未だ公共交通へのシフトに至っていません。中心市街地の衰退、地球温暖化、超高齢社会の到来などの諸問題に対応するためにも、交通弱者にやさしいまちづくりへと転換することが急務であります。

  • (1)産官学および市民を交えた研究会を設置し、交通体系の現状分析と総合的な将来構想の策定を推進すること。
  • (2)オムニバスタウン計画について、実効性の高い施策を打ち出し、市民への積極的なPRに努めること。
  • (3)区ごとの地域交通計画を策定し、区バスに代わる利便性の高い域内交通を確保すること。
  • (4)西堀・東堀の通行規制解除に伴う効果を検証し、市民や事業者の意見を踏まえて必要な改善を図ること。
  • (5)市街地における自転車レーンを整備し、安全な走行環境を確保すること。

9.都市拠点整備・基盤整備

政令市新潟にふさわしい機能的で魅力ある都市空間の整備が求められています。また、本市が持つ魅力の発信による都市活性化の必要性が高まっています。

  • (1)ときメッセ周辺について、賑わい空間創出など港湾計画の見直しも含め総合的な開発計画を検討・推進すること。
  • (2)鳥屋野潟南部の大規模集客施設等の集積に対応した、交通アクセスの充実および主要施設におけるバリアフリー化の整備促進を図ること。
  • (3)国内および海外からの観光客・ビジネス客に対する利便性向上のための外国語を含めた情報提供の充実を図ること。
  • (4)区役所の老朽化・狭隘化に対応した整備計画を早急に明らかにし実施すること。
  • (5)湛水常襲地域を解消するため、透水性舗装の拡大や雨水枡の設置、背割排水路の改修等、きめ細かな対策を推進すること。
  • (6)下水道整備について、巨額の起債残高を抱えていること、引き続き多額の整備予算が必要なこと、非効率な農村部の下水道整備のあり方など多くの課題を抱える中で企業会計にふさわしい整備計画を推進すること。

10.国際・文化・スポーツ

これからの時代に本市は国際交流拠点都市として、環日本海のゲートウェイの役割を果たしていかなければなりません。

しかし、残念な事に他県、他都市からみても地理的、基盤的な優位に立ちながらもそれを活かしているとは言えず、こと対岸交流については遅れをとっているのが現状であります。

また、文化、スポーツ面においては、様々な芸術や競技に触れる機会を市民に提供し、豊かな市民生活を応援していく事が望まれます。

  • (1)北東アジアとの交流を積極的に推進するため、港湾・空港等の利用促進を図り、国際的な視野を持つ人材の育成に努めること。
  • (2)芸術・文化・スポーツ振興の推進の為の指導者、選手育成に努めること。
  • (3)文化振興について既存市内文化財、文化施設を有効に活用し本市の魅力創造の発信に努めること。水と土の芸術祭については市民参画を進め、着実に運営すること。
  • (4)スケート競技のための環境整備および施設事業について着実に推進すること。
  • (5)トキめき新潟国体およびトキめき新潟国体大会については万全な体制で臨み、政令市新潟の大きなアピールとなるよう努めること。