2004年12月17日 新潟市に対する2005年度予算要望

新潟市長 篠田昭殿

2005年度(平成17年度)
予算編成にあたっての要望書

民主党新潟県第一区総支部
新潟市議会改革ネット  


2005年度(平成17年度)予算編成についての要望

篠田市長就任から2年が経ちました。市民に信頼される市政を目指し,市民との対話を積極的に行ない、市政改革創造推進プランを着実に実行するとともに、13市町村広域合併に向けた対応に尽力され、来年3月21日、合併が現実のものとなりました。この間のご努力に敬意を表します。

一方で、官製談合事件により新潟地方検察庁の強制捜査が行われ現職の幹部2名と市内業者2名がこれまでに逮捕され,また市職員2名が在宅起訴,業者役員3名が略式起訴されるに至る前代未聞の不祥事となりました。事件の実態解明や,官製談合防止に関する全庁的な対策に全力を上げ市民の信頼回復をはかるとともに篠田カラーをより鮮明に打ち出しながら、市政発展に尽力されることを強く望みます。

本年度における「三位一体改革」は,国の財政再建のために国の負担を地方に転嫁したもので,国庫補助負担金の廃止や地方交付税の総額抑制が税源移譲に先行したため,地方財政は厳しい状況におかれました。平成17年度も厳しい予算編成が強いられることは必至です。小泉「改革」で市民生活は痛みをもたらされ、地方の経済や雇用は大変な状況から脱出できないでおります。

本市2005年度の予算編成にあたっては、厳しい状況下ではありますが、新市における市民生活を第一に考え、合併後の街づくりが円滑に推進され、市民起点で行政改革、福祉、環境、教育、文化、産業振興などに力点を置いた予算編成に取り組むことを要望します。

私たちも市政発展に向けて市民とともに創りあげる新潟のまちづくりに取り組んで行きます。

以下、予算編成にあたっての重点的に取り組んでいただきたい項目について要望いたします。

2004年12月17日 
民主党新潟県第1区総支部
代表  西村ちなみ   
新潟市議会改革ネット
クラブ長 中川征二   


[1]市政改革と行財政運営について

  • 1.官製談合問題の実態と「構造的・組織的」と指摘された背景・要因の解明に全力を上げるとともに、入札監視委員会答申および内部調査委員会報告を踏まえ再発防止策について確立し市政全般にわたる改革を推進されたい。
    • (1)入札・契約制度改革について
      • ア 電子入札の導入について、先進自治体等の経験に学び万全のシステム構築を図られたい。
      • イ 指名委員会のあり方を見直すとともに、制限付一般競争入札を基本とする入札・契約制度の抜本的改革を推進されたい。
      • ウ 建設工事等設計業務について、随意契約から一般競争入札を基本とする契約制度に改革されたい。
      • エ 委託契約、物品購入についても一般競争入札を基本とされたい。
      • オ 入札制度の改善が地元業者の育成につながるよう十分配慮されたい。
      • カ 建設事業コスト削減のため、計画・設計段階においてコスト意識に基づく建設計画づくりを推進されたい。
    • (2)業務遂行体制および談合防止等の体制確立について
      • ア 建設工事における計画・設計業務について、直営を基本とした業務遂行体制の確立を図られたい。
      • イ 談合防止、ダンピング防止のため、設計価格計算書と工事内訳書との突合・チェック等の体制を確立されたい。
    • (3)条例の制定について
      • ア 業界との癒着関係を断ち切るため、勧奨退職制度を廃止するとともに、関係業者への再就職を原則として禁止する措置を規定した(仮称)天下り禁止条例を制定されたい。
      • イ 公益通報者保護及びいわゆる不当な斡旋・働きかけ等の公開に関する条例を制定されたい。
  • 2.情報公開、市民参画を一層徹底し、市民とのパートナーシップによるまちづくりを推進するため、(仮称)新潟市自治基本条例を制定されたい。
  • 3.行財政改革について
    • ア 「地方分権一括法」の理念に基づき,住民の意思と責任による住民自治,即ち名実ともに真の地方自治を確立するためには,地方公共団体の国への財源依存を極力縮減し,自主財源の確保に努められたい。
    • イ 県事業の地元負担金の適正化について積極的に努力されたい。
    • ウ 財政出資団体の経営状況について情報公開を積極的に推進するとともに、自立的事業運営が可能な体質づくりの指導を徹底するとともに、事業補助金のあり方について抜本的に検討されたい。
  • 4.男女共同参画施策の推進について
    • ア 男女共同参画推進条例の制定にあたり、安心して生き生き暮らせる男女共同参画社会の実現に向けて、推進体制を確立されたい。
    • イ 女性センターの機能の強化を図られたい。
    • ウ 女性が政策決定へ参画するための条件整備を進め、女性の管理職登用を大胆に推進されたい。
    • エ ドメスティック・バイオレンス(DV)対策について、相談体制やシェルターのさらなる整備等、法の実効性をあげるため積極的な施策推進に努められたい。
  • 5.住民基本台帳ネットワークシステムについて、セキュリティ対策に万全を期して個人情報保護に努められたい。
  • 6.一般行政職採用における国籍条項を廃止されたい。
  • 7.電子自治体実現と地域情報化推進のための施策確立について積極的に努力されたい。
  • 8.行政評価委員会制度を見直し、行政に関する苦情を簡便な手続きで受け付け、調査・処理するとともに、行政執行の改善について市長に勧告する権限を有する本格的なオンブズパーソン制度を創設されたい。
  • 9.住民投票条例制定について検討されたい。
  • 10.電子投票制度の導入を検討されたい。
  • 11.指定管理者制度について、整合性ある運用に努められたい。

[2]広域合併と政令指定都市化にむけて

  • 1.13市町村合併にあたり,新市としての一体感の醸成に一層取り組まれたい。
  • 2.政令指定都市への推進にあたっては、関係市町村との研究・協議の状況を市民に明らかにするとともに、国・県からの権限委譲が有効に諸施策へ反映されるよう万全を期されたい。

[3]保健・福祉施策の一層の充実に向けて

  • 1.新市民病院の建設促進に万全を期されたい。
  • 2.介護保険について
    • ア 在宅介護サービスの充実と利用促進を図ることによって、施設介護依存を減らす立場からの積極的な対策を講ずるとともに、保険者として主体的な制度改善やサービス改善に努力されたい。
    • イ 特別養護老人ホーム等への入所待機解消を図るため、施設整備を積極的に推進されたい。
    • ウ 低所得者に対する介護保険料の負担軽減を図るための対策を講じられたい。
    • エ 介護支援事業者・サービス提供事業者のサービス評価のための体制を確立するとともに、福祉オンブズパーソンを設置されたい。
  • 3.成人後見制度、配食サービスの充実、要介護判定で自立と判定された高齢者の健康状態を維持するための支援施策や相談体制の充実等、福祉サービスの拡充を図られたい。
  • 4.地域全体で独居老人や高齢者のみ世帯等を支えあう地域福祉の推進体制づくりに積極的に取り組まれたい。
  • 5.子育て支援施策について
    • ア こどもセンターの新設、地域子育て支援センターの拡充、こども課の新設などに努められたい。
    • イ ゆとりのある放課後児童対策を推進するため、ひまわりクラブの施設改善と増設に積極的に取り組まれたい。
    • ウ 地域における児童健全育成の拠点として、児童館、プレイパーク等を積極的に整備されたい。
    • エ 児童虐待防止の実効性をあげるため、研修会の開催や児童虐待防止対策協議会の機能化にさらに努力されたい。
  • 6.ユニバーサルデザインのまちづくりをさらに強力に推進されたい。
  • 7.ホームレスの増加に対応し、きめ細かな対策を講じられたい。

[4]経済対策・雇用対策について

  • 1.雇用安定策とあわせて、新産業創造と雇用創出が連動する施策の策定等について積極的に取り組まれたい。
  • 2.介護・医療・教育・環境・防災などの公的分野での雇用拡大,新産業の育成やNPOなどの振興による雇用創出について推進されたい。
  • 3.雇用における「ミスマッチ」解消と早期再就職を図るため,職業相談・職業訓練・トライアル雇用・職業紹介を一貫した体制で実施しうる支援策を拡充されたい。
  • 4.障害者雇用について,障害者法定雇用率達成に向けて厳正な運用を図り,障害者雇用支援策の展開を図られたい。
  • 5.不況の長期化や構造改革の深刻化によって中小企業経営はますます厳しいものとなっていることから、制度融資の拡充や銀行の貸し渋りに対する指導強化等、中小企業に対する支援施策を充実されたい。
  • 6.郊外型ショッピングセンターの進出による中心市街地や商店街の衰退に対する積極的な対応策(TMO事業などの活性化対策)を検討されたい。

[5]田園型政令都市にふさわしい農業振興について

  • 1.(仮称)新市農業構想を早期に策定し、新市における農業・農村の位置づけを明らかにするとともに、その振興と発展のために、田園型政令指定都市にふさわしい農業・農村の基本的な方向を示されたい。
  • 2.「生産者の自由意思」を前提とした減反政策への抜本的転換を図るため、国・県に対して積極的に働きかけられたい。
  • 3.「地産地消」を推進するため、生産者の組織化、生産者・消費者をつなぐ供給・消費ルートの創設、地場産品販売店への支援策の検討等、積極的に推進されたい。
  • 4.有機農業を積極的に推進するため、認証制度の創設や販売ルートづくり、支援施策等に取り組まれたい。
  • 5.新市において総合的な農業支援の核となる「(仮称)市総合農業センター」構想を早期に明らかにし,その実現を図ること。

[6]教育・文化行政の積極的推進について

  • 1.(仮称)新潟市教育ビジョンの策定にあたっては、新・新潟市が目指す方向と在り方を明確にし、あわせて教育委員会の見直しについても検討されたい。
  • 2.いじめや非行、不登校や学習不適応、学級崩壊、集団暴行等の児童生徒の抱えている問題解決のためのカウセリングの充実等も含めた施策・体制の充実に努力されたい。
  • 3.子どもの多様な居場所づくりの確保について努められたい。
  • 4.子どもの安全確保、学校の安全対策に十分な措置を講じるように努められたい。
  • 5.2学期制モデル校の成果と課題を検証し「2学期制についての基本方針」に沿って子どもたちの望ましい成長に向けた支援に努められたい。
  • 6.ゆとりのある教育を推進するため、小中学校の30人以下学級実現にむけて補助教員の確保をはじめとした教職員の増員等について、県に対して積極的に働きかけられたい。
  • 7.だれからも愛され親しまれる中央図書館の建設に万全を期されたい。

[7]環境対策の強化について

  • 1.循環型社会に向けてごみの減量化、資源サイクルの促進に努められたい。
  • 2.総合的な温暖化対策、環境保全対策を積極的に推進されたい。
    ダイオキシン類の排出規制、環境ホルモンの検査体制の充実、コジェネレーション・太陽光・風力等を利用した発電システムの導入を検討されたい。
  • 3.海岸保安林の整備促進、とりわけ、松海ケ丘・真砂地先の公有化と植林について積極的に努力されたい。
  • 4.佐潟公園整備にあたっては、地元住民の意向を最大限尊重するとともに、環境団体や専門家と連携し自然生態系を維持することを基本とした計画を策定し、推進されたい。
  • 5.水辺空間の整備などの環境保全に積極的に取り組むようにされたい。
  • 6.福島潟などを含め、ラムサール条約の広域指定を目指されたい。

[8]都市基盤整備について

  • 1.雨水排除対策と公共下水道事業の推進について
    • (1)湛水常襲地域を解消するため、透水性舗装の拡大や雨水桝の設置、背割排水路の改修等のきめ細かな対策を推進されたい。
    • (2)公共下水道事業については雨水排水対策を重視した事業展開を図るとともに、未整備地域での一層の事業促進に努められたい。
      また、起債残高が3300億円を越える下水道事業の現状と将来の市民負担等も考慮し、今後の普及率拡大のあり方や企業会計化も含め、組織・財政・事業展開について抜本的に検討されたい。
  • 2.新潟駅連続立体交差事業について、平成17年度の早期に都市計画決定をし、着工に向け県との協議促進を図られたい。
  • 3.新潟空港の整備について
    • (1)滑走路の3000m化などの空港整備については、空港騒音問題に関する長年の住民との対立を解消し、周辺住民との共生を基本とする整備方針を確立するよう、県への働きかけを強められたい。
    • (2)地方拠点空港としての機能・施設の整備を推進するとともに、新規空路の拡大に積極的に取り組まれたい。
    • (3)新潟空港共生懇話会の「空港周辺地域の街づくりに関する構想」の具体化に向けて積極的に取り組まれたい。
    • (4)航空機騒音対策地域の拡大について、国に積極的に働きかけるとともに、非対象地域に対する騒音防止対策の実施についてさらに努力されたい。
  • 4.万代島ルート線の事業促進に努力されたい。
  • 5.新潟東道路の事業化と松浜橋上流橋の架橋について、積極的に国・県に働きかけられたい。

[9]その他の重要課題について

  • 1.防災対策の強化について
    • (1)中越大震災を貴重な教訓とし、新潟市に直下型の地震が発生した際の備え(初動対応、情報伝達、避難所体制、災害弱者の救済、食料など)について、地域防災計画震災版の全面見直しを図られたい。
    • (2)地震による住宅損壊などの減災戦略として、予防段階の取り組み、被害の総量を可能な限り最小にすることが重要であり耐震補強の一層の推進を図られたい。
    • (3)中越大震災における復興支援について国による特別立法制定を本市としても強く働きかけられたい。
    • (4)新市における総合的防災機能を完備した「防災センター」の整備促進に努められたい。
  • 2.総合的交通政策の確立について
    • (1)道路整備中心の交通政策を改め、公共交通重視と車両流入規制等を含めた交通混雑緩和対策を基本とした総合的交通政策を確立されたい。
    • (2)中心市街地活性化対策について、パークアンドバスライドやオムニバス構想導入等交通対策をしっかり位置付けて積極的に推進されたい。
    • (3)空港アクセスについては、臨港線を活用した軌道整備を基本に検討されたい。
      新交通システムや超低床路面電車(LRT)、バス、JR線などの効率的な組合せによる公共交通機関ネットワークの整備やパークアンドライドの普及に努められたい。
  • 3.スケート競技のための環境整備について、着実に推進されたい。また、市民参加型での運営(NPOなどの活用)を考慮した施設整備について研究されたい。