●西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美です。
今回の子ども・子育て支援法は、私、どうもやはり、心にすとんと落ちるものがありません。一つには、やはり、少子化対策として行われる幼児教育の無償化なのか、あるいは本当に幼児教育の重要性が認識された上での幼児教育の無償化なのか、その根本のところが明らかになっていないことがあるというふうに思っております。
時間が限られておりますので、端的に質問しますので、大臣にも端的に御答弁をいただきたいと思います。
先日、大臣は、提案理由説明でこういうふうにおっしゃいました。「生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性に鑑み、」ちょっと途中省略しますが、「少子化対策の観点から、」今回の措置を講ずる必要があると。
これは、どちらがこの法律の制定の目的なんですか。
●宮腰国務大臣 「鑑み、」「観点から、」ということで、法律用語ではありますけれども、どちらが主ということではなく、両方とも重要であるというところで御説明を申し上げているわけであります。
具体的には、もう何度も申し上げておりますけれども、生涯にわたる人格形成の基礎あるいは義務教育の基礎を培う、それから、教育費の負担軽減、重要な少子化対策ということで、表現はいろいろありますけれども、どちらが主ということではなくて、両方とも重要であるというふうに考えております。
●西村(智)委員 両方とも重要だというふうにおっしゃるから、この法律の筋がぶれぶれにぶれて、あちこちで矛盾が出て、そして結局しわ寄せを受けるところが出てくるということが問題だというふうに私は思うんです。
少子化対策の観点からということであれば、お金を配るとか、あるいは無償化するというのは、私はちょっと賛同はできませんけれども、そういう理屈は立つんだろうというふうに思うんですね。
ですけれども、「幼児教育の重要性に鑑み、」というふうにもおっしゃっているわけですから、大臣、これは、幼児教育の重要性ということから今回の法律を出しましたということなんですけれども、幼児教育によって、一体、その子供の生育にどういういい影響があるとか、幼児教育はだから重要なんだとか、そういうエビデンスというのは本当に日本国内であるんですか。
●宮腰国務大臣 幼児期の教育、これは、子供の基本的な生活習慣を形成し、道徳性の芽生えを養い、学習意欲や態度の基礎となる好奇心を養い、創造性を豊かにするなど、生涯にわたる人格形成の基礎を培う上で重要な役割を担っております。
2006年に改正された教育基本法で幼児期の教育に係る規定が新設されるなど、我が国における幼児教育の重要性の認識が高まってきているところでありますけれども、さまざまな国際的な研究においても幼児期の教育の重要性が認められてきております。
著名な研究といたしましては、質の高い幼児教育が将来の所得の向上等に著しい効果をもたらすことを示す研究結果がありますが、このほかにも、国際的な幼児教育に関する研究を横断的にレビューした2018年のOECDの報告書によれば、質の高い幼児教育は、幼児期の発達やその後の学校段階における学力や社会情緒面に大きな影響を与えること、その後の人生における健康、労働市場への参加、貧困の防止等に長期的な影響を与えること等が明らかとなっております。
このような状況を踏まえ、世帯所得にかかわらず幼児教育の無償化を行う国も出てくるなど、幼児教育の重要性は国際的な共通認識になりつつあると承知をいたしております。
●西村(智)委員 私は、国内でそういう研究がありますかと聞いたんです。ないですね。
さまざまな研究がなされていますというふうに大臣は今答弁されたんですけれども、幾ら聞いても、出てくるのは、資料でつけております、二ページ目の上の方だけなんです。幼児教育への投資の効果ということで、これは例のヘックマン調査というものですけれども、1960年代のアメリカですからね。しかも、これは非常に限定的な調査になっておりまして、総括的にやったものというふうに言えるのかどうか。これは、この当時はこの研究はやはり意味があったというふうには思うんですよ。
ですけれども、2019年の我が国において、国内でこういう、これに類するような調査というのは行われていませんよね。私も研究者の方にお話を聞きましたけれども、最近ようやくちょっと始まったようだと。しかし、40年以上たたないとやはり追跡調査というのは十分な調査結果を得られないから、これから40年かかるということなんですよ。根拠不十分だというふうに思うんですね。
なおかつ、不思議なのは、やはり今、政府は、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングというふうに言っておられるわけなんです。エビデンスがちゃんとわかっていないものに対して、何でこれだけの、消費税の、国、地方合わせて8000億近くというお金を投じることができるんだろうかということが甚だ疑問です。これまでの財務省の行動様式とか発想からすれば、とても認められない話なんじゃないかと思うんです。
きょうは、財務省の方からも、政務からもお越しいただいていますが、これで本当に、今大臣が答弁されたような国際的な研究はあります、だけれども、それは、日本という国はどうなんでしょうか。幼児教育というのは、多くの、95%以上の子供たちが既に保育園や幼稚園に通っております。そういった中で、今これを無償化することによって得られる効果というのは、やはり私は限定的だというふうに思うんですよ。そこに対して消費税を投入するということを、財務省としてはどういうふうに思いますか。
●うえの副大臣 お答えいたします。
少子化対策は待ったなしの課題でございます。これまでも、待機児童の解消に向けた取組を進めるとともに、子育て世帯の負担軽減のため、幼児教育の無償化の段階的な推進に取り組んできたところであります。
このたび、消費税率の引上げ分の使い道を変更し、子育てや教育に係る費用負担の大幅な軽減を図るため、幼児教育、保育の無償化に踏み切ったものであります。この政策は、全世代型の社会保障制度へ転換するための重要な第一歩だと考えています。
●西村(智)委員 いや、情けない答弁ですね。
もう一回聞きます。
消費税の引上げをするかどうか、まだはっきりとは決まっておりません。もしこれが再延期された場合に、財務省としては幼児教育の無償化を実行しますか。それともやめますか。やるとすれば、どういう財源でやりますか。
●うえの副大臣 消費税率の引上げにつきましては、反動減等に対する十二分な対策を講じた上で、リーマン・ショック級の出来事がない限り、法律で定められたとおり、10月に現行の8%から10%に引き上げる予定であります。
幼児教育、保育の無償化はこの消費税率の引上げを前提として実施することとされておりますが、政府としては、消費税率の引上げに向け、経済財政運営に万全を期すということに尽きると考えています。
●西村(智)委員 何も答えていないんですね。こんなのでこの法律を本当に通していいんでしょうかね。私は、与党の皆さんにもよく考えてもらいたいと思っています。
もう一回この提案理由説明に戻りますと、少子化という国難という言葉が出てくるわけです。総理は、最近になってこの少子化という国難という言葉を言い出しました。しかし、少子高齢化が国難であるということは、もう既に日本国内で共有されていることです。
社会保障制度国民会議、これが2008年から始まった。このときは、社会保障と税の一体改革で議論せよということで始まったものなんですけれども、もうこのときに既に、社会保障制度を全世代型へと転換していくというふうに言われております。ですので、少子高齢化という国難は今に始まった話じゃない。なのに、なぜ今あえてここでこれを提案理由説明に持ってくるのか、私は本当に疑問なんですけれども。
宮腰大臣、この少子高齢化という国難、10年前から始まっていますよね、そういう認識でよろしいですよね。
●宮腰国務大臣 改正法案を御審議いただく子ども・子育て支援法、これは、委員御指摘の社会保障・税一体改革の中で、自民党、公明党、民主党などの賛成により平成24年に成立をし、全世代型社会保障への転換への第一歩を踏み出したものであると考えております。
その際の附帯決議におきまして、「幼児教育・保育の無償化について、検討を加え、その結果に基づいて所要の施策を講ずるものとすること。」などが盛り込まれまして、政府としては、財源の確保などの検討を行い、平成26年度から段階的に無償化を実現してまいりました。
そして、今般、我が国最大の課題である少子高齢化を克服する観点から、消費税率引上げ分の使い道を見直し、幼児教育、保育を一気に無償化することとし、改正法案の提出に至りました。これは全世代型社会保障への転換をなし遂げる重要な取組であると考えておりまして、改正法案の提案理由におきましても、こうした経緯を込めて申し上げたものであります。
●西村(智)委員 この法案で社会保障の全世代型なんて、なし遂げられないですよ。逆に社会の分断を生みます。
社会保障国民会議の2013年8月6日の報告書では、こういうふうにも書かれています。つまり、正規雇用、終身雇用の男性労働者の夫と専業主婦の妻と子供という核家族がモデルという1970年代モデルから、全世代型対応の21世紀日本モデルへと再構築していけと。つまり、男性片働き型社会から、一人一人の個々の世代、一人一人に向けた社会保障へと転換をしていけというふうに言われているんですね。
ところが、この数年間進んできたことは何だったのか。私は、社会保障制度国民会議の議論と違う方向へと進んできているというふうに思います。
一つだけ申し上げます。一人親家庭の貧困です。
資料におつけしておりますけれども、就業する一人親の貧困率、日本がOECD諸国の中で最悪です。中国やインドと肩を並べて悪いです。所得に対する再分配機能が、税と社会保障の再分配機能が特に一人親家庭に対しては逆に働く、逆に累進性を悪化させるということも言われているわけです。
それをもう少しわかりやすく示したのが、次のページの、子供二人世帯の純負担率、それから一人親世帯と片働き夫婦の比較なんですけれども、2013年と2017年で見てください。一人親の純負担は片働き夫婦よりも一貫して重いし、特に安倍政権になって以降では、低所得ほど負担が上昇しているということなんですよ。
こういったことを差しおいて、よく社会保障の全世代型対応などというふうに言えると私は思うんですけれども、大臣、どうですか、このグラフを見てどういうふうにお考えですか。厚労省。
●大口副大臣 西村委員にお答えをいたします。
このグラフを見ましても、やはり一人親家庭をめぐる状況については、依然として経済的に厳しい状態にあると認識しております。
厚生労働省といたしましては、一人親家庭に対して、すくすくサポート・プロジェクトに基づき、就業支援を基本としつつ、子供の居場所づくりなど、子育て、生活支援、学習支援など総合的な支援を進めているところであります。
最近、厚生労働省といたしましても、平成28年度に児童扶養手当の多子加算の倍増を実施したほか、本年度、平成30年度は、児童扶養手当の所得制限の緩和や、未婚の一人親に対する寡婦控除のみなし適用などの措置を講じています。
来年度は、予算案に親の就業支援策の充実を盛り込み、11月からは児童扶養手当の支払い回数の年6回の増加を施行する予定になっております。
一人親家庭施策を含む子供の貧困対策については、現在、平成26年に閣議決定した子供の貧困対策に関する大綱について、来年度内に、これを目途に新たな大綱を作成することを目指し、具体的な検討を開始しております。
引き続き、全ての子供たちが夢を持って成長していける社会の実現に向けて必要な対策を実施していきたいと思います。
●西村(智)委員 児扶手の法改正は行われましたけれども、その項目は野党が提案をしてきたものです。それをようやく政府・与党が取り入れてくれた、私はそういうふうに受けとめています。
しかし、生活保護における母子加算、これは廃止されているわけですよ。言っていることとやっていることがやはりどこかちぐはぐだ、私はこういうふうに思っています。
それで、ちょっと具体的に法案の内容に入っていきたいと思うんですけれども、やはり私、無償化よりも先にやるべきことは、全ての希望する子供たちが全て安心できる居場所を見つけることができる、そこに入ることができる、つまり全入、これがやはり何よりも優先することだと思っています。
先ほどもどなたかおっしゃっていましたけれども、やはり入れない子供と入れる子供と、そこはやはり差が出てきてしまうんですよ。同じだけ消費税を払っているにもかかわらず、入れた子供については無償化という恩恵がある、しかし入れないところは、まずは働くことが保護者の方は難しくなってしまいますよね。しかも、消費税における恩恵はない。そして、待機児童対策、多分、自治体は保育所の質の確保をやれというふうにも言われていますから、そちらの方にお金を投入せざるを得ず、待機児童対策はおくれていくんじゃないかというふうに思っているんですよ。
こうやってますます社会を分断させていく、こういうおそれが非常に強いと思うんですけれども、一つ、認可外保育施設について伺いたいと思います。
資料でおつけしていますが、これは衆議院の内閣委員会調査室からの資料でありますが、認可外保育施設で基準を満たさない施設、わかっているだけでというか、調査した自治体の中で適合していないところが43%あったということなんですよ。調べているだけで43%ですから、全国的に調べたらどういうことになるのかわかりませんけれども、やはり基準を満たしていない施設であれば事故の危険性が高まるだろうということは、多くの方が想像される範囲だというふうに思います。
しかし、今回の法案で、こういった認可外保育施設に対して5年間の経過措置期間を設けて、そこに対しても国費を投じるということなんです。
大臣、これは安全性をきちんと担保できると胸を張って言えますか。
●宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化に当たりましては、待機児童問題により、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方についても、負担軽減の観点から無償化の対象とし、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たすために5年間の猶予期間を設けることとしております。
経過措置期間におきましても子供の安全が確保されることが重要でありまして、厚生労働省を中心に、認可外保育施設が守るべき基準の内容について助言などを行う巡回支援指導員の配置の拡充や、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が認可施設に移行するための運営費等の支援の拡充といった取組を進めてまいります。
無償化を契機に、認可外保育施設の質の向上、確保にしっかりと取り組んでいくことが必要であると考えております。
●西村(智)委員 しかし、5年間はいいですよということになるわけですよ。万々が一、その期間中に当該施設で事故が起きたら、大臣は責任とれますか。本当にこれは大きな問題だと思うんですよ。
しかも、さっき、質の確保と大臣はいみじくもおっしゃったけれども、質の確保というんだったら、もっと先にやってほしいこと、ありますよ。三党合意で決めた中身、いつまでたっても実行されないじゃないですか。
10%になったときに、0.3兆円、残りの部分についてはきちんと財源を確保して実施しようということで、三党合意で決めました。
そして、資料できょうおつけしている、子ども・子育て支援の量的拡充と質の向上という中身がこれです。
これが、10%になったら全部やるというふうに決まっていたはずなのに、やられているのは、既に実施されているのは、まず、赤字で囲まれた部分のところだけ。しかし、これは全額やられているわけじゃないんです。そのうちの内数でしかない。何十億と、私、一個一個聞いてもいいですけれども、もう時間がもったいないので聞きませんが。
そして、消費税が上がったときにやると言われているのが青い囲みのところだけなんですけれども、これも、例えば、340億程度と書かれているけれども、全部やられるわけじゃない。内数ですよ。残りの部分は放置される。
例えば、地域の子育て支援、療育支援、これは重要じゃないですか。3歳児を中心とした職員配置の改善、これも重要じゃないですか。これは一体いつになったら実行してもらえるんでしょうか。これは財務省の方に伺いたいと思います。
●うえの副大臣 社会保障の充実における子ども・子育て支援分野につきましては、2019年度予算までに、0.7兆円のメニューを着実かつ優先的に実施をしてきたところでございます。
その上で、子ども・子育て支援を充実する中においては、質の向上を図るということも大変重要な課題でございます。消費税増収分を充てることとされている0.7兆円を超える、今御指摘ございました0.3兆円のメニューにつきましては、骨太の方針2018においても、「適切に財源を確保していく。」とされているものと承知をしています。
この0.3兆円のメニューにつきましては、これまでも安定的な財源を確保しながら順次対応してきておりますが、例えば、2019年度予算におきましては、保育人材の処遇を2%改善するための予算などを計上しているところでございまして、引き続き、関係省庁とも連携をしながら、安定的な財源を確保しつつ、子ども・子育て支援を着実に実施をしていきたいと考えています。
●西村(智)委員 つまり、政策の優先順位が違うんですよ。まず、約束をしてもらったことをきちんと実行してもらって、しかも、子ども・子育て新制度は始まって何年ですか、4、5年でしょうか。まだ、この結果、成果がどうなったかということをきちんと総括されていませんよね。
つまり、我が国で幼児教育というのはいかなるものであるべきか、そして、子ども・子育て新制度で何がどう変わって、まだ残された課題は何なのか、それというのをしっかりと分析して評価して、その上で無償化ということをやるのであれば、話の順番としてはわかります。
だけれども、上から何か降ってきた話のように、幼児教育の無償化をやるんだ、それで、下の方がその制度設計で右往左往する、やってきたところがいろいろなところでつじつまが合わなくなって、子供の安全性が置き去りにされる。こんなむちゃくちゃ、本当に許されていいと思っているんですか。政府の皆さんだけではなくて、与党の皆さんにもよくよく考えていただきたいと思っています。
厚労副大臣、私たち、12月10日に厚労副大臣のところにお伺いして、学童保育の基準緩和についてお願いをしました。
といいますのは、いわゆる最後に残されたとりでの人的配置に関する基準、これが、今までは従うべき基準とされていたのが、今度は参酌されるべき基準になってしまう。今の政府の流れとして、地方分権の一環だという説明はされるんですけれども、これこそが、やはり私、ナショナルミニマムとして残しておかなければいけない基準じゃなかったかというふうに思うんですよ。
副大臣、今どういうふうにお考えですか。
●大口副大臣 昨年12月10日、西村委員始め野党の方々が申入れをしていただきまして、質の向上、処遇の改善、子供の最善の利益等々、申入れをいただきました。
今回の放課後児童クラブの従うべき基準の参酌化は、全国一律ではなく、自治体の責任と判断により、質の確保を図った上で地域の実情に応じて運営を行うことを可能にするもの。これは、従うべき基準により人材確保が困難といった地方からの要望を踏まえたものでございます。ただ、自治体におきましては、これは住民に対する説明責任がございます。
放課後児童クラブの運営に当たっては、市町村が条例により国の基準と異なる内容の基準を定める場合でも、子供の安全や育成支援の質がしっかり確保されていることが前提であると考えております。
厚生労働省としましては、放課後児童支援員に対する研修などにより、子供の安全確保や放課後児童クラブの質の確保をしっかり行っていきたいと思います。
研修のこと、また処遇改善の推進、そしてまた、質の向上の観点から、評価の推進ですね。自己評価が今、実施率が50.8%、第三者評価は実施率が26.8%でございまして、これをしっかり推進をしていく。また、放課後児童クラブの好事例を普及、展開していく。こういう形でしっかりやっていきたいと思います。
●西村(智)委員 マスコミなどは一様に、これは基準緩和だというふうに書いているわけです。自治体もそのように受けとめています。
そういった中で、先ほどおっしゃった、例えばいろいろな施策、後づけでやられるようなんですけれども、やはり私、大もとのところがぶれてしまうと、揺らいでしまうと、本当に大事なことを見落としてしまうというふうに思うんですよね。もう一回そこは考え直していただきたい。改めて要請をします。
さて、次なんですが、本当にこの法案は幼児教育の無償化なのかということについて伺いたいと思っています。
総理の発言を一覧表でちょっと、次の次ですかね、つけてあるんですけれども、例えば、総理の発言もちょっと変わってきているんですよね。
平成29年から平成30年の1月22日までは、3歳から5歳まで、全ての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化しますと書かれているんですよ。幼稚園や保育園の費用を無償化します。ところが、平成30年の10月以降は、幼児教育を無償化しますというふうに書かれているんです。
幼稚園や保育園の費用というと、実は保育料だけじゃない。ほかにいろいろあります。いわゆる隠れ保育料と言われているものですけれども、給食費とか教材費とか、いろいろなものがあるわけなんですよね。
それで、給食費について伺いたいと思うんですが、資料でおつけしているところで、今回、保護者の皆さんから、今まで、言ってみれば目に見えるところでは無償だったものが、あえて切り取られて有償になって、園で支払うことを求められるという、切り分けられて有償化されるという、何か無償化とは全然違うことが行われるんですけれども、これ、給食費の取扱いを見れば、無償化というふうに言えないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
●宮腰国務大臣 食材料費につきましては、これまでも、保育料の一部又は施設による徴収により、保護者の方に御負担をいただいてまいりました。
一号認定であれば、これは幼稚園等でありますけれども、主食費、副食費を実費として徴収をしていただいております。それから、二号認定、保育所等であれば、副食費については保育料に含まれてという形で負担をしていただいているということであります。
これは、在宅で子育てをする場合でも生じる費用であるということ、既に無償化されている義務教育におきましても実費相当の負担をいただいていることから、その考え方を維持し、通園送迎費などと同様に、引き続き保護者に御負担いただくこととしたわけであります。
また同時に、副食費につきましては、保護者負担の免除対象を、これまでの生活保護世帯や一人親世帯から年収360万円未満相当の世帯に拡充することにいたしておりまして、低所得者世帯に配慮した形にさせていただいているところであります。
●西村(智)委員 二号認定のところですけれども、確かに、主食費は、これまでも実費という扱いでした。しかし、現状どうなっているかといえば、実費で徴収しているところは、保護者から現金で徴収しているところは41%しかないんですよ、二号認定で。残りの6割は、ほかの形で、例えば自分で弁当を持っていくとか、それから、徴収していないとか低い額だけもらっているとかいうことで、実際に今徴収しているのは4割だけなんですよ。残りの六割の人たちは、新たにまた負担がふえるということなんですよね。これは無償化というふうに言えないと思います。そこは認めていただきたいと思っています。
それから、新たに徴収するということは、例えば施設にとってみたら、相当負担になるんじゃないでしょうか。今でも、学校給食の給食費の徴収は、やはり滞納の問題とかいろいろある。これはやはり、私は給食費というのは無償化の中に含めるべきだったというふうに思いますけれども、大臣、もう一回答弁をもらえませんか。
●宮腰国務大臣 先ほどお答え申し上げたとおりでありますけれども、在宅で子育てする場合でも生じる費用であること、それから、既に無償化されている義務教育においても実費相当の負担をいただいている。例えば、在宅で子育てをしておいでになる方々が負担をしておいでになって、幼稚園、保育園に通う方々は、これは食費負担なしというようなことは、やはり少しおかしいのではないか。例えば義務教育の場合であっても、それはやはり負担をしていただいているわけでありますよね。
教育、保育の本当のコアな部分については、これはしっかりと無償化させていただくということであると思っております。
●西村(智)委員 後ろから声が聞こえました。保育料という定義をまず変えたということを認めてもらわなければならないということ、これは本当にそのとおりだと思います。
それから、今、大臣、あえて在宅でいらっしゃる子供たちというところの公平をおっしゃったんですけれども、それだったら、提案理由説明がおかしくないですか。幼児教育の重要性に鑑みと、つまり、幼児教育というのが大臣は大事で、全ての人に受けてもらいたいということをおっしゃっているわけですよね。それなのに、在宅でいる子供とのバランスということを言ってしまえば、幼児教育の重要性という根拠が、これは薄くなってしまうんじゃないですか。そこは答弁求めません。
ここは、だから、提案理由説明が、私、むちゃくちゃだというふうに思うんですよ、やはり。少子化というのと幼児教育の重要性というのを二つ一緒にしてしまったから、こんなへんてこなことが起きているわけです。
そこは、まあ、大臣は、総理が言ったことをとにかくやり切らなきゃいけないという責任感で今そこに座っているんだと思うんですけれども、やはり、この問題、とにかく子供の視点に立って考えてもらいたい、子供が第一という視点に立って。ということであれば、やはり、私、政策の優先順位というのはおのずともっと変わってくるというふうに思います。
次の質問に移ります。
無償化されるのかということの続きでいいますと、認可外保育施設等を利用する人への支援、これは月額3万7000円までは支給されるということになりました。月額3万7000円でカバーされるのは、一体どのくらいの割合になるんでしょうか。これ、資料もおつけしています。
●大口副大臣 まず、認可外保育施設については、待機児童問題により、認可保育所に入りたくても入れない、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方々がいらっしゃるから、代替的な措置として幼児教育の無償化の対象としたわけであります。
認可外保育サービスの価格は自由に設定できることとなっているため、だから、高いところもあれば、そうでないところも、いろいろあると思うんですが、無償化の対象とする金額については一定の上限を設けることが必要である。その上限は、昨年、無償化措置の対象範囲を検討した検討会、これは、昨年の1月23日から5月31日まで計7回開催していただいたわけでありますが、その検討会において、認可保育所の利用者との公平性の観点から、認可保育所における月額保育料の全国平均額とすべきとされ、月額上限3万7000円を無償化の対象としたわけでございます。
認可外保育の利用料については、保護者と施設が直接行う契約に基づき設定されたものであり、利用児童の年齢や、その施設の形態、利用時間等によってさまざまであります。
委員お示しになったのは平成27年地域児童福祉事業等調査結果の概況でございますが、この中で、その3.7万円よりも超えるところが3歳から6歳の就学前まであるわけであります。であるんですが、では、その3万7000円以内におさまっている人はどれぐらいの方がいらっしゃるかということについては、調査はしておりません。個別の施策の保育料まで把握していません。
31年度に平成30年の調査を行います。ここでは、委員の御指摘も踏まえて検討していきたいと思っています。
●西村(智)委員 これから調査するというんですね、どのくらいの人たちが対象になるのか。
ここで利用されている方々、いろいろな方々がいらっしゃると思います。2月になると、毎年本当に、保育園落ちたというハッシュタグが立って、ことしは、幼児教育無償化よりも全入というハッシュタグが立っているんですよ。ぜひそれをごらんください、一度。本当にすさまじい声が並んでいます。
そういった方々が利用していると思われるこの認可外保育施設、まあ、月額3万7000円というのは本当に公平なのかどうかというふうに思いますよ、公平性という観点でいえば。さっき大臣は他との公平性ということをおっしゃっていたので、そこは、私、保育園に入りたくても入れなかった人と、入れた人との公平というのもしっかりと見ていかないと、おかしなことになると思います。
それで、ちょっともう時間がなくなってきましたので、今回のいわゆる幼児教育の無償化で使われるお金は、やはり、今回に限って見れば、高所得者層に厚くて逆進的ではないかということは申し上げたい。特に、社会保障制度改革国民会議においては、社会保障制度は負担能力に応じて支払う仕組みにしなさいというふうに書かれているんですよ。大臣、どうですか、それと全く逆行しませんか。
●宮腰国務大臣 今般の幼児教育、保育の無償化は、0歳から2歳までの子供たちについては、住民税非課税世帯を対象として進めてまいります。
また、今ほどの高所得者を優遇した政策であるとの御指摘につきましては、何回も申し上げておりますとおり、低所得世帯を中心に、先んじて段階的に無償化の範囲を拡大してきております。今回の無償化による公費負担額のみをもって、高所得者ほど大きな恩恵を受けるとする御指摘は当たらないというふうに考えております。
なお、この議員御指摘の会議の報告書は、高齢者世代を主対象とする社会保障から全世代を対象とする社会保障への転換を目指すことに加え、特に世代内格差の大きい高齢者について負担能力に応じた負担を求めたものであるというふうに認識をいたしております。
●西村(智)委員 そういうことであれば、高齢者以外は負担能力に応じて負担する仕組みでなくてもいいというふうに大臣はお考えだということでよろしいんですね。
●宮腰国務大臣 これは報告書の記述がそうなっているということを申し上げたところでございます。
●西村(智)委員 いいえ、違いますよ。これは、全体的なこととして、「負担能力に応じて負担する仕組みとしていくべき」というふうに書かれています。
それで、この高所得者優遇というのは、よく、今回の措置のみをもって高所得者優遇とは言えないというふうにおっしゃるんですけれども、切り分けてください。今までやられた幼児教育の費用の軽減、これが低所得層を中心にやられてきたということは私も理解しています。しかし、今回の措置だけ見れば、高所得者に手厚いですよねということは、大臣、素直に認めてください。
●宮腰国務大臣 一人当たりで見ていただければ、一人当たりのお子さんへの負担軽減、共通して66万円、そして、年収360万未満の世帯の方々の子供さんは一人当たり72万円という形になっております。
総額のみをもって判断をするということではなくて、やはり、子供たち一人一人にとってどうかという視点も必要なのではないかなというふうに考えております。
●西村(智)委員 何が言いたいのか全くわからない答弁でした。
ちょっと最後に、ぜひこれは後で理事会等でやっていただきたいんですけれども、先ほど早稲田委員が、便乗値上げのことについてどうなんですかというふうに質問されました。誰が便乗値上げだというふうに、どういうふうにして判断するのか、もし今答弁いただけるものがあったらお願いしたいと思いますが、時間が来ているので、済みません、後でも結構です。
●宮腰国務大臣 子ども・子育て支援新制度に移行していない幼稚園あるいは認可外保育施設において……(西村(智)委員「違う違う、もう時間がないので、誰がどう判断するのかというところを答えてください」と呼ぶ)はい。
例えば、人件費の高騰や優秀な保育士、教諭の確保など、真に対価が必要な場合であると言える一方、無償化の対象者にのみ高額の保育料を課す取扱いなどは許容しがたい場合と言えるのではないかというふうに考えております。
関係団体への働きかけを行う、保育料の変更の理由を届けさせたり、保護者に説明させたりすること、実態を調査、把握すること、これは先ほど事務方からも答弁申し上げておりますけれども、その上で、事業者による自主的な取組、保護者によるチェック、行政による指導が相まって機能するように、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
●西村(智)委員 便乗値上げと判断する人は誰もいないという答弁だったということを受けとめて、終わります。