オープンミーティング:市町村合併-第2部 市の視点から

[特別講師] 大泉淳一新潟市助役

講師:大泉淳一・新潟市助役

きちっと話ができるか、自信がありませんけれども、ご清聴よろしくお願いいたします。

それでは座らせてやらせていただきます。

今日は資料を用意いたしました。合併マニフェストというものが、3冊子で1セットと、それから、もうちょっと薄い「政令指定都市の実現にむけて」というパンフレットが、資料でございます。

「政令指定都市の実現にむけて」は、去年の半ばぐらいから配布しておりましたもの、それから合併マニフェストは3月21日の合併のときに発表させていただいたものです。あとで使いますので、宜しくお願いしたいと思います。

私の自己紹介からまいりますと、新潟県の隣の山形県の出身でございまして、同じ日本海側ということで、気候などもだいたい似てる、若干出身の山形市のほうが内陸なので、雪の量は多いんですが、新潟は風が強いなという感じはいたします。

新潟市に、去年の4月に助役として、さきほどの紹介のとおり総務省のほうからまいりました。2週間前に話された吉川さんは、新潟県の高柳の出身で、ちょうど今、国で政令指定都市の仕事をしている。一方、私は新潟県の出身ではないんですけども、こちらで、新潟の政令市の仕事をしている。たすきがけのような感じがしますけども、そういう中で、やっているわけでございます。そういう意味では、どちらかというと、私も外の視点というものを見ながら、新潟市の政令指定都市なり、合併なりを見ているところが、正直なところでございます。

それから地方勤務と言いますか、県庁の勤務を2回ほどしました。1回目は香川県、これはもう入ったばっかりの頃でございます。それから、ちょうど10年くらい前にですけども、広島県の地域振興課というところで仕事をさせていただいております。これは、広島県の、政令市である広島市へ窓口担当課長でした。当時で広島市は、政令市移行から15年くらいたっておりました。

昭和55年に、広島市が広島県の中で政令市になりまして、15年経ったときでも、いろんな場面で、県と市の考え方が結構違ったりしていました。たとえば空港、もともと広島空港というのは、広島市の街中にあったんですけれども、ちょうど10年位前に市外に新空港ができたんです。そこで元の空港をどうしようかというような話になったら、県はせっかく新しい空港をつくったんだから、そっちのほうを使うべきだ、市のほうは利便性の面から、市内の空港も必要だというようなことでした。

そのほかにも政令市と県との違い、方針の違いといいますか、そういうものが結構ありまして、調整がなかなか大変だなー、という思い出があります。

ただ、新潟市の政令市の移行、それから新潟市の拠点化というところでも見ましても、みなさんご承知のとおり、県と市が共同歩調をとっておりまして、県も新潟市が拠点化しないと、新潟県全体の求心力が劣えるのではないか、今後、道州制などの動きも含めまして新潟県をどうやって考えていくかという中で、泉田知事の言葉を借りると「トップランナーとしてやってほしい」というようなことがありますので、方向性は一致しているのかな、と思います。非常に大変ありがたいし、そういう面では政令市への移行について、いい環境にあるなと思っております。

ただ、政令市になるということについて、吉川さんの話にもありましたし、後から話しますけれども、県の事務を市に移管するということがございます。そういう意味では、昔の、昔って言っても今もそうかもしれませんが、役人的に言えば仕事がなくなるということでございますんで、予算がなくなる。そうすると抵抗する。そういうような図式にならないかといったらわかりません、そこらへんは。そういうような関係がありますので、いろいろ調整していかなきゃいけないんです。ただ、県と市が同一方向で、県が政令市どんどんやってください、というようなところは全国的にはあんまりないというのがまた事実だと思います。

他にも、政令市への移行をめざしている市が全国にはございます。今、具体的に動いているのは、堺市と、浜松市と、私ども新潟市でございますけども、それ以外にも岡山市とか、金沢市とか、熊本市とかいう50万規模の都市が合併して政令指定都市になろうという動きがございました。ただ合併の法律が一応、一段落しましたので、今回の流れにはちょっと遅れるかな、という感じだと思います。

例えば新潟市の場合でしたら、新潟県の250万のうちの80万という3分の1の人口であるというのに対して、金沢市だったら、例えば80万人都市になった場合に人口120万の石川県は何をするのか、というような話が本当に切実な問題としてまた直面してしまうもんですから、やっぱり新潟とは違うということがございます。全国的に県が政令市移行を応援するというのはなかなか稀であるというような環境もご承知おきいただければと思います。

合併上越市が14市町村の合併でございましたが、団体数ではそれに次いで全国2番目の13団体の合併、巻を入れると14に並ぶんですけども、それもかなり人口の増加を見込んだ合併のところに立ち合わせていただきまして、また政令市への移行という作業に携わらることができまして、本当に私、地方自治関係者としては、喜びがあります。それとともに緊張しております。そういう状況が今のところでございます。

13市町村合併いたしましたけども、概ね順調だったかなと思います。ただ、先ほど西村先生から紹介があったように私は選挙部の在籍が長いんで、本当に申し訳ないんですけども、一部今回の増員選挙で、入場券のチェック漏れがありまして、もう情けないっていうか、申し訳ない。

合併マニフェストにもありますけれども、これから行政の品質を上げていこうとしている。その矢先でございましたんで、本当に申し訳ないということでございます。今回のミス、間違いと言いますか、それは電算の業者から、誤りのあるリストをもらってしまったということ。そのまま出荷し、住民のみなさんの手元に届いてしまったということなのです。それはもともと不良品が入ってきたということも悪いんでしょうけども、そこでチェックしていくというような、行政の基本って言うんですか、そこは肝に銘じて改善しなきゃいけないと思っておりまして、本当に申し訳ございませんでした。

それで、吉川さんのお話を聞かれた方が多いのでございましょうか。今日始めてという方、申し訳ないですけど、たまに吉川行政企画官からの話をひく所があるかもしれませんけども、その点はご了承いただきたいと思います。

吉川さんのほうは、制度の説明のほかに、新潟市の政令指定都市にむけての期待とかの話があったと思います。それでは今度は、新潟市としてはどうなのか、という話を今日させていただくことになります。

まず押えておかなければいけないのは、新潟市、現状はどうなのかということでございます。この「オープン」と書かれた冊子の10ページのところにグラフがいくつか載ってます。これで見ますと、一番右上の人口のところ、一番右側の赤い新潟市は、静岡市よりも多いということで、先ほど申しました堺市、この市は政令市ではございませんけれども、今度2月に合併しましたんで83万人になりましたが、これについで第15番目の人口を擁する市になったということです。東京都は除いてですけども、そういうことでございます。

先ほど申しました浜松市も政令市をめざしていますが、この市はまだ合併しておりません。55万人くらいなんですが、7月に合併が決まっておりまして、そうすると78万6千人になるということで、だいたい新潟市と同じくらいの規模で、それぞれ政令市へむけて展開をしていくということになっております。

それから面積は650平方キロでございます。これは広くなりましたけども、静岡市は南アルプスのとこまで静岡市なので、かなり広い。あるいは仙台市は山形県境まで政令市ですんで、結構広い。

そういう中では新潟市は、可住地面積とか結構多い中で、ものすごい広いというわけではなくて、5番目に広いというような状況になっております。

それから、経済力はどうか。何が経済力か、それがそのまま表しているかは別にしまして、数字としてここに挙げさせていただいているのは、右側の商品販売額とその下の製造品出荷額、それぞれ三次産業、二次産業の一つの指標ということで比較すると、商品販売額は13番目でございます。北九州よりちょっと良いぐらいですけれども、下のほうです。それから製造品出荷額です。これは新潟は企業城下町じゃないんですけども、10位くらいまでいってるということでございます。

11ページですと、こちらは農業関係の指標が載っております。これは食料自給率61%、それから農業産出額662億円。左の水稲収穫量が、これは政令市とは比較していないんですけど、122,000トンぐらいございまして、圧倒的に1位なんです。これは、政令市とか市とかで比較するんではなくて、むしろ都道府県レベルと比較したほうが良いぐらいでございます。ホームページなどで調べてみたんですけども、2001年で言いますと、水稲収穫量で見たら、石川県の水稲収穫量が139,600トンでございますので、だいたい近い。で鳥取県は、78,800トンでございましたので、新潟市のほうが大きいというような状況。だいたい水稲だけでいいますと、石川とか、広島とか、福井とか、その辺の県よりもちょっと少ない程度というようなところが、特徴であるということでございます。

他にもここのページに載っておりますので、ご覧いただけたらと思います。

それからその他の指標については、この緑の「資料編」というのがあります。これは政令市になるのに関係あるのかどうかという資料もいろいろ入っていますけども、それらを含めてなるべく見てもらおうということで作ってございまして、2ページ目のところからデータが書いてございます。

市街化面積とかは政令市で比べますと、だいぶ下のほうになってくるというようなことです。あとは医療とか教育関係をみますと、だいたい医療は1人当たりにすると非常に上のほうに来るようです。実数だとそんなに上ではないですけど。医療は次のページの下のほうとか、あと5ページの下のほう、医師の絶対数は少ないですけども、人口1,000人当たりとすると、上のほうに来るというようなことです。後でご覧いただければと思います。

あとは6ページのほうの下の真ん中、教育関係、大学がございますけども、大学は新・新潟市では5つあると。結構大学があるのかなと思いましたけども、他ではもっとあるということです。さいたま市とか川崎市は首都圏の中にあるということで、少ないかもしれませんが新潟市、地方拠点的な仙台市とか広島市とかに比べてちょっと少ないかなと思ったりします。

このように新潟市の現在の特徴が見えてくるというのが、このグラフでございます。

それから、グラフには道路実延長というのが載っていますけれども、新潟市の社会資本はどうなんだろうか。

新潟市を見ますと、国際空港、これは仙台空港なんかを抑えて、これは書いてないんですけど、国際路線数は地方空港としては多いほうです。国際港湾もあります。それから高速道路、新幹線、JR在来線も合併によって5線になりました。信越線、白新線、羽越線と、越後線と、磐越西線、その5線が市域内を通っているというようなことです。

違った視点で言いますと、総領事館がロシアと、韓国の2つあります。

いずれもそういうような都市施設というのは、他の都市から見れば、今、誘致してたり、たとえば静岡で空港をつくろうとか、北陸新幹線を早くつくろうとか、それから総領事館の誘致合戦も各都市でいろいろやっております。そういう中では、結構充実した都市機能というものが、他のない都市から見れば、欲しいものが結構ある。あるけれど新潟は使い切ってるだろうかと、これはいつも言われていることで、ここらへんがまた1つ課題ということでございます。

指標や社会資本の状況から言いますと、政令市に我々はまだなってないので、単純に比較するのはどうかということありますけども、政令市と比較してトップレベルでは決してありませんけども、そこそこいける、いけているのではないかと思います。

あるいは、静岡市が政令市になったことで、だいぶ静岡を抜いている指標があるのではないか。そういう指標が多いもんですから、そういうことから見れば、外から見た場合、新潟っていう都市はどうなんだというときに、ある程度の自信を持ってもいいんじゃないか、と思っております。

ただ先ほど若干の紹介をしましたけれども、二次産業、三次産業、それから教育なんかで、弱みというものが都市としてあるんではないか。一方で農業とか、あるいは住環境などの指標は非常に優れているというようなところが新潟の特徴でございます。

それで、語弊があるかもしれませんけども、あえて言うなら、一昔前であれば、都市と言うのであれば、農業などを誇ってもしょうがないんじゃないかというような論調があったのではないか。10年か15年前くらいだったら、都市というのだったら、すごい集積がないといけないのではないの、ゆったり感は都市にとってマイナスじゃないかというようなことが言われたのかと思います。

ただ、やっぱり時代が変わってまいりまして、スローライフ、スローフードとか、あるいはゆとりというようなものを求めるような時代になってきております。それは時が変わってきた、ということでございますけども、ということであれば、新潟市のこういうゆったりした感、あるいは農業の充実というようなことを生かして、ゆったりとした生活の中で、高次の都市機能が味わえる都市、両者を併せ持った都市、というのができないのか。こういうものが新潟市の目標、めざしたらどうかというような観点が浮かび上がってくるんではないかなと思います。

ただ、生活が変化しなくてもよいという向きから見れば、政令市と言って、そんなに頑張んなくていいんじゃないか、というような考えもまたあるのかもしれません。それはお考えとしてはあると思います。今までどおりやれればいいと。ただ、今の姿のままずーっと続くのか、というような問題がまたあるということでございます。

これもご存知のことですけども、全国的には人口が減少してまいります。あるいは年金、税金の負担がどうなのかという問題、あるいは財政状況が借金だらけになっているという状況。それから新潟特有の問題としては、やはり2010年問題です。北陸新幹線が通ったときに大きな、物の流れ、人の流れの軸のシフトができてしまうんじゃないか。そのとき新潟はどうするのかということです。篠田市長とよく言っているんですけども、中越の大震災で上越新幹線が止まったということで、かなりの経済的なダメージが、被災してない新潟市にあった。北陸新幹線ができたときに人の流れが変わり、新潟の経済力とか地域力とか落ちていくのではないかという懸念、心配があります。

だから今までどおりやっていけばいいと言っても、外のほうの軸が変わってしまったときに、どう対応していくかということも1つの課題で、その場合に誰が支えていくのかという問題があります。そこで、私どもは都市としてどうやっていくかということを考えているわけでございます。

それから都市のメリット、これは私の考えですけども、高度なサービスを受けられることと、選択の幅が広がるということがあると思います。芸術とか、スポーツとかがわかりやすいのですが、東京を見れば分かりますけども、人が集まればいろんなものがいっぱいありまして、今日はこっちに行こう、今日はこれをやろう、というようなことで、選択肢の幅が広がる。人が集まるとそれだけ選択肢が広がっていく。これは芸術、スポーツとかそういう娯楽だけに限らず、ボランティアとか、それから医療とかでも同じことが言えるんじゃないかなと思います。人の集積によって多様化することによって、都市というものは人に選択肢を与えるもんではないか、こういうふうに思います。したがってこれを拡充していくということが必要ではないか。それによって選択肢が広まる、高いサービスが受けられるということになれば、市民のみなさまの満足度も上げていけることになる、というような考えでおります。

さらに言えばやはり地域間競争、みんな頑張っているわけでございまして、先行する政令市ももっと活力、もっといいサービスを提供しようとして、どんどんやっている。本当に追えば追うほど逃げていくというような、そういう感じも分野によってはあったりします。そういう中で、新潟市がどうやっていくかということが問題になります。新潟の使命、ミッション、どうやっていくべきか、というところが見えてくるんではないかなと思います。

それを示したのが本日の資料としてお配りしてます、マニフェストではないかと私は思います。新潟市が政令市としてどういう方向めざしていくか、どうやるべきなのかっていうミッション、使命を書いたものです。本来、マニフェストっていうのは、民主党さんも出されましたが、選挙のときに使う公約、できれば数字も示した公約で、これをやれるかどうかを評価してください、というようなものでございます。今回の合併は編入合併なので増員議員選挙がございますけども、市長選挙がないということなので、マニフェストという名前になっておりますけども、つくり方としては市の部長以上が議論して、いろんな課題をたくさん出してきまして、それを積み上げ、練り上げ、それで最後は市民のみなさんの意見、それから議会のみなさんの意見も反映して、というような過程を経てまとめたものと思っております。

それから今、総合計画というものが新潟市はございまして、今年度は最終年なんですけども、それとの関係はどうなんだということを言われます。総合計画は政令市などが想像されていなかったころにできたものでございまして、またどちらかと言うと、資源をどうやって市域内に配分していこうかというところが中心だと思います。

そういう意味では、政令市になったときに、新潟市が、新潟市民に対して、どうすべきかということと同時に、県とかそれ以上広い広域レベル、山形県とか、福島県とか、あるいは富山県、長野県、群馬ぐらいまでですか、これらも含めた広いレベルでどういう役割を果たしていかなければいけないのか、あるいは対岸の北東アジアなどの地域の中で、何が期待されているのかというようなところは、ちょっと今の総合計画にはないもんですから、今回のマニフェストは、新潟市の果たすべき役割と、そのために当面やっていくことを、示ししたものだと受け止めております。

それで中身なんですけども、新潟市は新参の政令市をめざしているわけです。先ほど申したとおり、12番目とか、15番目ぐらいの数字が多いわけでございます。12番目とか、15番目の政令市を狙うんだったらそれはそれでいいんでしょう。けれども、先輩政令市の後をついて行きますというのではなくて、新潟らしさ、先ほどあった統計などで紹介させていただきました新潟らしさ、それから新潟の置かれた立場というものを基に、この際、全国に誇れる都市をめざしていく、というのを示そうではないかと思っております。

マニフェストの解説を若干させていただきたいと思いますが、この今まで開いていないもう一つの冊子、横長の「新・新潟市合併マニフェストー政令市を開く…40の扉」の、表紙の裏のところを見ていただきたいと思います。

まずここでは、新潟は共に育つ政令市をめざします、ということで、今まで私が述べてきました現状を踏まえまして、3つの柱を立てております。1つは日本海政令市、それから田園型政令市、それから分権型政令市、という3つの柱で、新潟の置かれた立場を考えながら、こういう方向が良いんじゃないか、ということを提示しているものでございます。

1つ目の日本海政令市、これは政令市として本州の日本海側では初めてなるということでございます。今まで、太平洋側、太平洋ベルト地帯中心に、いっぱい政令市がありますけども、そこが中心で日本はやってきて、それでちょっと借金だらけになってるというようなことでございます。そういう中で、それでいいのかという問題提起的な意味もございますし、あとは発展著しい中国などの対岸諸国に対しての向き合った位置にある新潟市というものは、拠点としての役割があり、あるいは日本のゲートウェイとしての役割を明確に出してったらどうかと、いうようなことが1つ目です。

外国と都市制度、地方自治制度が違うことや訳語がどうなのかっていうことも原因なんでしょうけども、外国で新潟は今度、政令市になりますと言うと、非常にインパクトがある。それは日本で15くらいしかない上位の都市に入っていくという意味を持っておりますし、またレベルがアップするというような、いい変化要因があったんではないかというような、そう思っていただいているようで、インパクトが大きいかなという報告があります。

それから2番目の田園型政令市、これは前々から提唱されていたことでございます。農業のことについてはさきほど申し上げたとおりで、かつ都市の住民と農業者との互恵の精神の下、安心・安全な食を、身近な信頼できるところから享受しながら、一方で都市のブランドによって儲かる農業を応援していこうという、これを柱にしていこうかということです。

また農業と言うと緑でございますので、環境、それから自然を大切にする、という都市づくりを1つの市の中でやっていく、というようなことを立てております。

吉川さんのときのお話にあったと思いますけども、政令市というものは、都市制度のうち特殊な大都市制度でございますが、都市中心に考えているということであるがゆえに制度上、農業関係の権限は国とか県からの移譲は考えられていません。これは市としても、先ほど申しましたけど、県並みの農業をやってるような数字が挙がってきてるわけですから、そういう中で、責任を持って農業施策をやっていけたらなと思いまして、後ろのほうで出てくるんですけども、特区制度なんかも活用を含めて、都道府県の権限を市で持ってもいいんじゃないかというような考えがあります。ただ、これは検討していかなければ答えが出ませんので、そういう検討をするということです。

特区という話が出ましたんで、この機会ですからちょっと、国の地域政策の動向について、個人的な見解になりますけども紹介したいと思います。

国土政策というふうに言われておりましたけども、全国総合開発計画というのが何回も作られてきております。最初の全総は太平洋ベルト地帯というものを出しました。新全総、これは日本列島改造論というようなことでございまして、その当時は国が国土の骨格、グランドデザインづくりをしていくというようなのを出して、それを基に国土づくり行われていたと言えます。ハード事業なんかが中心に思い浮かべられるんですけども、国が案を出して、それを肉付けしてったというようなことがございました。新幹線などもそういう中で出てきて、造っているとこでございます。

ただ、総合計画はおおむね10年ごとでございまして、次の三全総、四全総ということになってまいりますと、息切れしたと言うと語弊があるかもしれませんけれども、どちらかというと、安定成長下の国土の均衡ある発展がテーマになってまいりました。

ここでは上手くいった地域の施策を国でアレンジして、それをほかの地域に植えつけていく、というような施策が主流になってきました。地域指定をして、例えばテクノポリスとか、ニューメディアとか、そういうような地域指定が主で、1つの上手くいった地域をちょっとアレンジして、他の地域を指定していく、という手法が取られました。

ただこれは、どこかで上手くいったからといって、別の土地で根づくかと言うと、そうでもないということもありますし、自治体のほうも、地域指定を受けた後どうなるのかをおろそかにして、指定を受けることだけが目標になってしまったとこがありました。あるいは計画を認めてもらうために、余計な事業を取り込んだ計画が出たりして、指定されたのはいいけど、次のフォローをどうやっていくのか、というようないろんな問題が出てきまして、結局、10年ちょっとぐらい前の拠点都市整備法などが最後で、地域指定立法的なものは無くなったわけです。

今はどうなのかと言うと、ついに国のフォーマットではなくて、地域がやりたいことをそのまま認めたらどうだ、との考えが出てきて、これが特区制度ではないかと思います。

特区制度は元々、規制緩和の観点から出てきたので、今の考えは私の勝手な想像なんですけども、つまり今までですと国がある程度アレンジしたりして、地域指定なりをやって、地域改革をやっていくというようなことだったんです。けれども、もうやりたいものはそのまま規制緩和して特区として認めてくれ、というようなことになってきている。今ではまだ、特区になるには国の認可というものが要りますが、地域政策としてはもう、直に思ったことを言っていけるという時代になったのかなと思っております。

それから、地方分権が進んできたと言いますけども、権限とか財源の分権がまだ充分でない今の時点において、こういう特区というものを活用しない手はないんじゃないかと考えています。

また資料に戻っていただきまして、地域と共に育つ分権型政令市、これが3つ目の柱でございます。コミュニティの力を生かして、行政と市民の協働のまちづくりを行っていくということです。主に防災、やはり昨年の災害で分かるとおり、地域コミュニティの力が命に関わるということになったということ。

それから、人づくり的な面。教育、やっぱり地域で子どもを守っていくということ。そして施設福祉から地域福祉へと変わっているというような中で、福祉は地域で支えていく必要がある。福祉分野、これらにコミュニティの力はどうしても必要ではないかということです。

そこに「新潟には大都会という失われたコミュニティの力がまだあります」、というふうに書いてありますけども、今回、合併したところも新しい新潟市の市域でございます。ここにはコミュニティの力のあるところ、あるいは実践してるところもあります。そういうことを参考にしながら、市内全域でコミュニティってものをやっていけないかなと。それがまた地域の力になるのかな、と考えているということでございます。

この地域内分権、都市内分権というのは、全国的にも取り組まれている方向でございます。去年、地方自治法と合併特例法の改正によりまして、市域内の自治組織というものも制度化されております。これは全国的に言えば、合併によりまして、市役所、役場などが遠くなるというような懸念を払拭するという意味がありますが、もう1つ、いろんな住民の要望や需要があり、これに全部応えていたら、今後、財政的に本当にもたなくなっていく、というようなことが現実としてあるわけで、これをいかに住民の力を借りながらやっていく、住民協働というような背景がございます。

この点、各政令市でも財政とか施策面で、政令市にあります行政区に分権をしていこうと検討している、あるいは実践しているところも多いようです。先輩政令市は、すでにある行政区にいかに分権していくかというような話になるんで、権限移譲的な話になるんですけども、新潟市はちょうど政令市に移行するということなので、都市内分権を仕組みづくりのときから取り組むことができる。このというようなところはメリットなのかなと思っております。

政令市には、行政区、区役所が置かれますので、できれば身近なサービスはここで完結するような形ができないか、あるいはコミュニティも強化して、そこの代表者とかNPOの代表者などで、一緒に行政ができるような制度、意見を取り込んでいけるような制度、仕組みづくりができないかというようなことも考えております。

以上の3つの柱を受けまして、施策が40掲げられております。これは、この「オープン」という冊子でしたら16ページ以降、「40の施策」の冊子でいいますと8ページのとこから、こういうことやっていきます、こういうことをやっていきます、というようなことが書いてございます。

「40の扉」には、さらに14ページ以降に施策実現のために2005年、06年でやることが書かれております。これは1個1個説明してますと時間がありませんので省略しますが、先ほど言った3つの柱に従ってまとめている、ということです。

それで、「40の扉」の2ページ目のところですが、ここはこれからの進め方を図で書いてございます。左の楕円ですけども、「2005年3月21日合併」をしました。現在の姿があります。これを政令市にもっていくために、先ほど3本柱を踏まえたうえで、40の施策をやっていきましょう。そして2007年4 月1日に政令市に移行するときに、この3つの柱の理念の下に少し近づいていきましょう、というような構図を書いてございます。

このために、財源も必要なんですけども、財源は行財政改革をやることにより確保するということを表明しています。

合併のときに合併建設計画を作りましたけども、職員が同規模団体と比べて500人ほど多いと結果が出てまいりました。これを削減すると220億円ぐらい削減できる、というふうにしておりますけども、これを早く達成してその原資にする、というふうにしてございます。

それで政令市の財政面はどうなるのか、ということが前回の吉川さんのときも質問がありましたので、私も、新潟市以外の制度面を含めて説明させていただきます。政令指定都市になろうがなるまいが、地方財政全体で言いますと、全国的の需要と必要な額の確保とは、マクロ的にという言葉を使わせていただきますけども、現状では自治体の行う事務に応じて財源は保障されています。どういうことかと言いますと、公共事業あるいは生活保護、いろんな事業ありますけども、その中で補助金が出る事業がございます。補助金が出る事業で、たとえば2分の1補助ですと、残り2分の1は、県とか市のほうが払わなきゃいけない。例えば 2分の1補助で100億円の国庫補助予算がつけば、残り2分の1を地方で用意しなければいけないので100億円要ります。これを放っておくと、国の補助金の予算は通ったんだけれども、受け手がないというようなことになってしまいます。したがって、その用意した分は地方の支出の必要額としてカウントしていきます。

それから、人件費も地方公務員は何人分必要であろうと、全国レベルでカウントしていきます。加えて、補助のない単独事業もこれぐらい要るだろうとカウントして、地方全体でこれぐらい支出が要りますというようなことがでてきます。

今の話を図にしてみます。分かりやすいように地元と書きました。地方負担額ということです。たとえば、国でこの事業をやります、と国で予算が決まります。補助金が2分の1の率だとすると、この分、国の予算で補助金がきます。当然、地元のほうは自治体が持たなきゃいけません。したがって、この分は要ります。こういうのが各事業ごとにあるわけです。仮に3分の1補助だったら、3分の2は地元で持つということになります。

補助金がない地方単独事業というものもあります。それから人件費も払わなきゃいけないんで、国全体として地方公務員は何人います、その人件費は総額がいくらかかります、というようなことで、この分を1つずつ足し上げていくわけです。

この分足し上げると、日本全国規模でどのぐらいの地方の支出が要るか、というものが出てくるんです。そして、これをまかなうために財源がどのくらい要るかを計算します。地方税がありますが、これだけではとてもじゃないけど足りない。借金ということで起債をします。起債も、細かく何については何パーセントの起債まで認めるとかの基準があります。だいぶ緩和されてきましたけども。それに交付税、法律で国税の何パーセントと決まっておりますが、その交付税が加わって、財源となります。先ほどの支出の必要額と今申した財源を比べると、ここの部分足りなくなります。穴が出てしまいます。ここの部分についてどうするかと言うと、例えば地方交付税は特別会計で配られているんですけども、法律で決められた額で足りないので、特別会計で借金をして、ここに交付税の額をプラスします。ここを増やしましょうということにします。

それから、もっと借金も赤字地方債でいいからやりましょうということもある。このような財源の調整が国レベルで決まりますから、結局、地方全体での歳入と歳出が合うように毎年できているのです。

これが地方財政計画ということなんです。結局、地方の支出に合わせて毎年、国全体では歳入を確保している、ということになってますので、国全体では理屈の上では財源が足りなくなることはないのです。それは措置してると総務省も言ってますし、財務省との協議の中でやってるというふうになってます。

ただ、問題は2つありまして、1つ目はこれが実態に合っているかどうかということです。全体としては所用額を確保しているんですけども、実態に合っているかどうかというのが問題です。

財務省が言っているのは、単独事業が決算と比べると「これぐらいしかやってないのに需要として膨らましているのではないか」ということで、つまり地方単独事業が多すぎるということ。これはかつての景気対策でだいぶ増やしたことがありまして、それが戻ってないということがありますけども、実際と乖離しているんじゃないかと財務省が言って、これを減らそうとします。総務省や地方団体は「単独事業は決算と予算が違うかもしれないけども、特に保健や福祉政策などは、国の言ってるような水準では満足してもらえないんで、きちっと経常経費の財源をフォローしてもらわなきゃいけないんだ」と言って、結局、需要は減りませんと。そういうような争いといいますか、議論をしております。

だから地方の支出が本当はどのくらいかという議論があって、そういう中で大阪市のような事例が出ると、困るわけですね。本当に福祉保健に要るんだ、そっちのほうの需要が見られていないんだというふうに説明していたのにかかわらず、実は変な人件費に行ったんじゃないか、と言われると、「もうダメですよ」と、こういうような話になってくる。

ただ、そこは私どもも含めて、地方団体の側で変な疑惑というものは払拭してきちっとして、これだけは要ります、必要なものは必要だということで、地方の支出どのくらい要るかというものは説得していかなきゃいけない、説得力を持って説得していかなきゃいけない、というのが1つでございます。

それからもう1つは、国全体として地方が支出する部分は100パーセント、確保してるということになっておりますが、各自治体ごと見ていきますと、過不足は当然出てきます。国全体としてはもう、丸々措置されているんだけども、うちの団体はそんなに税が入ってこないよ、というような事態が出てきます。

端的に言いますと、税源移譲を頑張って求めておりますけども、税源移譲をして、そのまま放っておきますと、地方税の多くは企業が集中する東京に入ってしまいます。それを避けるために、本社のある東京よりも、工場とか支社のある道府県のほうにたくさん税金が納税されるように、地方税法の改正なども行われております。ただ、100パーセント是正するというのは、なかなか難しいです。

これは都道府県税の話で、市の税ではないんですけども、法人事業税というものがありまして、今回の改正で、非製造業の分割基準が変わりました。今まででしたら、例えば新潟県に10人の支社があって、東京に1000人の本社があるといったら、分かりやすく言えば1000対10で東京都に納める額と新潟県に納める額が決まっていたんですが、今回の改正で税の半分について事務所数も一応、カウントするということになりました。1事務所も1つカウントするというので、法人事業税の2分の1の部分は東京本社1、新潟支社も1というように分割されることとなり、なるべく地方のほうに、東京一極集中しないように、改正が行われておりますけども、100パーセント調整するっていうのはなかなか難しい。

これと同じ事は、都市と町村の間でも出てこざるを得ない、ということになります。税源移譲が進めば進むほど、自治体間の自助努力というものが生きてくる、ということでございまして、かつ、交付税の総額が確保できればいいんですけども、なかなかそのとおりにいくかは分からない。交付税は今後減っていくというようなことになってくれば、税源確保、たくさんの企業呼んできて、それがたくさんの雇用を生んでいく、ということが税源移譲の暁には絶対必要になってくる。制度的には財源が保障されているんですけども、そういうときにやはり政令市という1つのブランドを生かして、本当に実額的に保障して、特に保健や福祉施策など、さらに単独事業も充分にやるためには、その分だけの地方税をいただいていかなければいけない。このことが必然の流れなので、そういう意味では政令市になり、経済の活性化をして、それで頑張っていける、というようなことがあります。現実を見るとそういうふうになっております。

したがって、最初にも言いましたけども、このままの状態が続くかどうか、このままでいいんじゃないか、ということが本当に保障されるのかどうかっていうのは、なかなか確約ができないという状況です。さらに税源移譲などがきまして、税の比重が重くなっていくという改正がされていく。自由度は増すんですけども、自分で自助努力をしていかないと、今後の運営はなかなか難しくなっていく中で、政令市になって、いろんな企業を誘致し、それから雇用を作っていくというようなことが必要だということでございます。

ちょっと財政的な話が長くなってしまったんですけども、最後に政令市にむけてのスケジュールはどうなんだろうかということですが、この「緑」の冊子の一番前のページに書いてございます。

スケジュール案ですけども、2007年度、平成19年度の4月1日に政令指定都市に移行する、というスケジュールでいきますと、総務省関係は1番上に書いてありますが、下準備としての説明、やりとりは既にやっております。県からの事務移譲協議、行政区画等も揃ってきますと、来年度には総務省に正式に説明して、ヒアリングに入っていく、ということになります。総務省協議では組織とか、定員とか、給与とかの関係をきちっとしているのか、というようなところのヒアリングを、今年度は受ける事になっております。

それから県からの事務移譲協議、これも同時並行で進めていきます。法定の移譲事務、法律上政令市がやると書いてあること、これはもう否が応でも県から市に移ってきますので、こちらの協議自体は終わりつつあるります。

それから今年度に入りましたら、任意事務移譲協議というのがございます。これは県と市との中でどちらがやるか協議して決めてくださいというもので、例えば河川の管理などがありますけども、それをどうやっていくかということを協議していくのが今年度の当面の課題です。

もう1つ、県が独自にやっている単独事業があります。これは国に制度がないようなので、まさに県と市でどうするか、財源をどうするか、というような協議になってきます。これもあわせて8月ごろまでの基本合意をめざして調整を進めていく、という事になっております。

それから、一番大きな話題になりますのは、行政区画についてです。政令市になると行政区に区割りされ、各区ごとで区役所が置かれます。区という領域が生まれます。これにつきましては、区割りの審議会を立ち上げまして、夏ごろまでには答申をいただいて、市民の皆さんのご理解を得ていきたいと思っています。区割りは誰もが大賛成ですという、100パーセントの支持を受けるというのは、なかなか難しい事項だと思います。ただこれができませんと、いくら政令市の人口要件を満たして、県からの事務移譲協議が決着しても、総務省から「新潟市さん、区割りも決まってないのに政令市ですか」と言われますので、これはなんとかしないといけない。審議会には第三者的な見地から、最も良い案をまとめてもらいたいと考えております。それが政令市移行へのスケジュールでございます。

今まで新潟市が政令市にむかうための考え方、手順などを説明をしてまいりましたけども、そういう中で新潟市がこれまでにない形の、良い形の政令市になるためには、やはり市民のみなさまの協力なくしてはできないと思います。積極的なご意見、関与をお願いしたいと考えております。

説明は以上終わらせていただきます。ご清聴どうもありがとうございました。

―質疑・応答―

参加者A

全国から、昨年は群馬県、一昨年は山形県、来県される商工会ならびに議会の方がいっぱい来られるんです。おかげさまで私どもは、黒埼支所を通じて、商工振興のほうについては、今までどおり、非常に並々ならぬ努力をしていただいて、喜んでいます。

そして私どもも、地域に何かやらなきゃならん、そして合併した以上は少しでも社会貢献できることをやりたい、ということで昨年も、新潟市長さんに私、手紙をお書きしまして、花いっぱい運動をやらしていただきました。そして温かい返事をいただきまして、今年もやろうということで、継続的なことを足元から、新潟市の職員ならびに市民のみなさんが少しでも喜んでいただけるものを、汗を流して手助けできればということを考えてる次第です。

今後とも新潟の一市民として、当然力強いものを配慮して、行政の叡智を借りながらやろうと思ってるんですけども、ただ私、実は住まいをしているとこが新潟市五十嵐3の町というところです。私は農家の分家でございまして、市街化区域の畑に家を建てた者でございます。そうしたら、新潟市では都市計画道路があるんで「あなたが家を建てる場所は、ずっと道路がかからないように建ててください」という建築確認の許可をいただいて、やむなく道路の脇からずっと離れて、家を建てたとこでございます。それが昭和53年5月20日にしたんですけども、ここに、今もまだそのままになっている状態で、一度、平成4年の2月に業者が来られて、測量をされたんですけれども、今までどおり放置されているわけなんです。

政令都市になるということは、私も大賛成で、いろんな部分でいいんですけども、そういったものがまだ、政令都市になってもそのままにされておって、何の返事もないということは、今後はそういうことなんでしょうか。そう思って、大泉さんは助役の立場で、新潟市の中身はまだ分からない点が多々あると思いますけども、こういう機会ですし、政令都市になるときにどうかな、ということで問題を1つ提起させていただきました。

参加者B

私は、新合併の日に樽を割らせてもらった者です。7月29日から8月1日まで、姉妹都市のロシアのハバロフスクに行って、新潟の伝統芸能をやってきたいと思っております。この3日前に決めていただいてありがとうございました。

私も76歳になって、だんだん伝統芸能が高齢化し、人間が不足します。その中で、この新潟市の予算が30万、市の芸術財団法人を通じてもらっておりますけども、1団体にすると、17,600いくらになるんです。ところが17団体がありますので、私らに換算すると1ヶ月1,600いくらで、私が樽を叩くと 2万円で買わなきゃいけない。1つも買えないような予算を私たち団体にいただいているわけなんです。なんとかやってもらいたいと思いますし、今、新潟市には17団体ありますけども、市が全部新しいものを見ますと、相当の数があると思うんですけど、どのようなお考えかお聞かせいただきたいと思います。

参加者C

マニフェストの中にあるんですけども、地域と共に育つ分権型政令市ということで、市民と行政が協働する、自立性の高いというお話がありました。ではその中で、政令指定都市にむけた合併スケジュールの中で、その関係省庁に、市民と果たして一緒にやっていく気があるのかどうか。いつもこういうものを出すのは、市で企画してやってるわけですよね。その中に一体、市民をどういうふうにして参加さしていくのか、その辺考えがあるのかどうか、またどういうふうにして市民参加を促すような方策を考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

参加者D

マニフェストというのがどういうふうなのかということを第一に聞きたいんです。というのは、マニフェストというのが40項目出てますと、次にマニフェストから、さらに具体的な計画が出てくると思うんです。そうした場合に、マニフェストに載ってないときには、具体的計画というのが、マニフェストというのは非常に重要なものをあれしてるから、それに合わせた実施計画ということになると思います。

私の観点からすると、マニフェストにハード面が非常に多くて、ソフト面の具体的なものが少ないような気がするんです。たとえば、私にすれば女性問題であるとか、子育て問題であるとか。あるいは雇用の場合も、“若者に対する職業教育どうのこうの”、その次にもやっぱり女性に対しての職業雇用問題をどうするのかという、そういうふうなもの、子育てと両立するにはどうすればいいかという、具体的なもの。福祉についても、健康増進ということですが、これは当たり前のことなんで、予防介護保険っていうのは当たり前のことなんだけども、最後になったときに安心する、安心できる生活をどういうふうに高齢者の設備をしていくのか、そういうふうなソフト面のものが、この中に加味されていないわけで。

そうすると、計画にそれらが入らないんじゃないか、という不安があるわけで、あまりにハード面が多いような感じがするので、これから具体的に計画を出されるときに、それをどのようにするのか。例えばこういうものについてのパブリック・コメントをお聞きになったわけでしょうか。市報にはこういうふうなところにあります、というふうに書いてあったけど、これについての意見をどうのこうのっていうふうなことを、あまり市報には見なかった気がしたんですけども、出てましたでしょうか。

参加者E

前に書かれている財源の話は、本当に分かりやすくて、私はいい勉強をさせていただいたと思って感謝しております。

政令指定都市でいろいろばら色のようなビジョンがばら撒かれておりますけれども、本当に大事なところは財源の問題だと思います。そしてその総額では支出が全部賄えるというふうに、起債とかして、特別会計から放り込んで、つじつまが合ってるという話は、これまでのように高度成長とか、税収が多くなってくる時代ですとよろしいんですけれども、これから人口が少なくなる、そういうときに起債というところから持って来るというということは、すなわちツケを子孫にまわすということで、私どものような者は、若者に対してすまないなという気持ちがむしろあるぐらいなもんです。

根本的なところは単独事業何なりの一番元のところの、果たしてこれだけの金額が適当なのかとか、そういうことをきちっとするチェックを、合併とは離れますけれども、そういう財源的なこと、それからそういうところの問題を地方の政府、あるいは国の中央官庁が一緒になってきちんとやる仕組みを作っていくことが一番大事だと思っております。

本当に今日はいい勉強をさせていただきました。

参加者F

今お話いただいた中に、基本的には全総から始まって、流れとしては人口フレームが基本になって、政令指定都市そのものが形作られてきて、今もその方向は変わりないんじゃないかと思います。ただ、新潟市の今の場合、田園型というお話が出てきてるんですが、私の感覚として、農業生産は非常に生産性が低い産業じゃないかと思うんですが、そこの部分と人口のフレーム、基本となっていることと、どういうふうに具体的に結びつけて具体的な形で、政令指定都市としての行政がなされていくのか。

それから大雑把なタイムスケジュールは、どういうふうに考えているのか、できれば教えていただければと思います。

聴いて分かったような気がするんですけども、あとで考えてみると、どこでどういうふうになるのかな、というふうな感じがするもんですから、お伺いしました。

参加者G

このマニフェストの中にも、コミュニティの話が出てくるんですが、新潟市が今、考えているコミュニティの動きにつきまして、情報を提供していただければな、と思います。

参加者H

分権型政令市のときに、せめて市民とどれどれ、市民とこれこれ、市民が優先するという、今の市長さんのお考えも分かるんですけども、やっぱり行政としてどうしたいのか、というとこを出していただかないと。そして市民がそれに協力するという、市民の発案の場合もあるんでしょうけども、市民に依存しすぎてるという、はっきり言ってそんな感じがしてるんですけども。

大泉助役

最後のお話からになりますけども、コミュニティ関係、協働について、この方向性は市なり行政なりが考えて出していく、というように考えています。市民の関与ということと同時に、分権型というのは、今度新しく行政区ができてまいりますので、身近な問題は身近なところで全部、完結的に処理するというような考え方ができないか。そのときに一番市民と近く情報交換ができるのが行政区なのですから。もちろん全部聞けるかどうかは分かりませんし、財政面のこともありますけども、そういう意味で市民との協働という話がたくさん出てきている、というようなことでございます。

それからコミュニティでございますけれども、これだけ大きい都市になりまして、コミュニティについて全部一律に「こうやれ」というような方法も考えられるかもしれませんけども、そういうこと自体が分権型というところを否定してしまうのではないかと考えています。今の段階で各地域地域にあった方法というのを考えていただく。一番活動が活発な団体、例えば公民館だったり、地区の自治会だったり、学校だったり、そういうグループがいくつかあると思います。それをいきなり全部、一緒に統合してしまおうというような話ではなくて、やはりその中で生かせるところを生かして、協力していくっていうような体制が取れないかなと考えています。

それで市としては、住民のみなさんの中にどんどん入っていって、地区事務所を中心にどういうような方法がいいのか、いろいろご相談させていただく。言うのは簡単でやるのはなかなか難しいということなんですけども、防災関係と、人づくり関係、それから福祉関係も、行政に提言できるネットワーク協調して地域社会ができてるというような方向にもっていきたいということです。今回、地区事務所単位で予算もつけてあります。そういうものを使って、例えば切り口として「お金があるからこれをどう使うか考えてみようよ」、というようなもって行き方でもいいでしょうし、今まである各種のネットワークというものを寄せ集めて、それで「こういう方向にしていこうよ」、というような方法でもいいと思います。いろんな独自性といいますか、地域地域の特殊性を活かして、一番上手くいくような方法でまとめてってくれたらな、というような事を考えております。

年度が代わったばっかりで、緒についたばかりというとこでございますしょうけども、支所は地区事務所からいろんなところへ出かけていって、少しでもコミュニティー開催をつくっていきたい。

また端的に言って、豊栄などは1つの形を作っていると思われますので、いろいろご意見がありますけども、そこを1つの見本にするとか、それを見本にしてさらに自分たちのところに合わせる形で、もっといい手がないかということを考えてもらうか、というようなことも考えられます。

合併した市域には、農村型なのかもしれませんけど、まだコミュニティも残ってるのもあるでしょうから、それらの事例をいろんな角度から見て、こういう良い取り組みをやってるということを知って、それで旧市内でも良い作り込みができないかな、というふうに考えています。今の段階では、その程度です。そういう状況でございます。

体制がある程度できてきますと、市民との協働という手順も、次の段階で見えてくるのかな、システム的に組んでいけるのかな、と思っております。

それからマニフェストとはどういうことですか、ということですけども、これは本来的には選挙のときにこういう公約で闘います、これだけは実現します、というようなことで出すのが普通でございます。

それで、ここで載ってないものもあるんではないか、ということでございますけども、当然、これに載ってないからやらない、というわけではございません。ここをやっていけば、さっき言ったような政令市の3つの方向に近づいていけるのではないか、ということを40に絞って出しているというものです。この「40の扉」の2ページ目の下のところ、扱いは小さいですけども、基本的な取り組みを78万市民の生活を支える基本的な取り組みを進めます、ということで基礎的な自治体に当然必要な基礎的なものは進めていく、としております。

マニフェスト以外はどういうものがあるのかというと、他の計画はそれぞれきちっと作っております。16ページ以降に載ってますが、新潟市にはこれだけいっぱい計画がある、ということでございまして、それぞれの個別の要請につきましては、計画をつくってずっとやっていく、ということでございます。

それからハード面が多いというのは、ちょっと私は意外に聞こえたんです。イベントとか、何をどこまでやりますということを主に書いていますので、あんまりハード面が多いとは思っていなかったんですが。このマニフェストの1つは成果指標で表すアウトカム、というのがよく言われております。道路を何メートル造りますというのは、お金を入れればそれだけできるのであって、アウトプットというか、予算でできるわけですが、道路が通ったことによって、どのぐらいの効果があったか、例えば移動時間がどのぐらい短くなったかとか、みんな便利になったとか、という点が評価されて、初めて行政効果があったかどうかが判断されるというのが、最近の行政の考え方に浸透してきてます。当然の結果として物ができるような評価だけでは済ませられない、というのが行政的には主流になってきています。そこまで考えてやっていく、ということは実際にはなかなか難しいんですけど、そういうふうなことを考えておるところです。

単にこういうものを建設をしますっていう項目は、極力外したつもりなんですけど、若干載ってます。そういうことでして、ハード面が多いといわれると、ちょっと意外かなと思ってしまいました。

それから財源関係、国もきちっと財政関係を議論するということでございますけども、これは西村先生にお願いしたいということでもあります。政府では、経済財政諮問会議というのがあって、今の問題については、本当に、誰が、何を、どのくらい負担するのについて、民間委員の方は非常に厳しい意見を持っています。交付税を削減をするとか、地方財政の今後の見込みを出せというようなことも含めて、いろいろ議論をされているようでございますので、そこらへんを見守っていきたいと思います。

それから人口フレームと農業ということなんでございますけども、数字的にここがこうだ、ということまでまだ、細かく詰めてません。総合農業ビジョンというのを今、作っておりますので、それにお待ちいただきたいと思います。

とりあえず、合併してどのくらい効果がある、都市と農村が一緒にあることによって、どんなメリットがあるかということは、非常に卑近な例なんですけども、直売所とか、朝市というのを市域内全部で今日からマップ化しまして公表しました。冊子もございます。それからホームページにも載っております。78万の人が農業との接点について、今まで知らなかった、スーパーでしかなかったということを、情報提供によって知ることによって、新市域でこれだけ農業に近く接することができるようになる。

それで行ってるうちに、馴染みもできるでしょうし、地産地消が進んでいく。そうすると自分の食べているものがこんなに美味しいものだよ、という口コミなども広がって、それでマ互恵が進んでいく。このようなことは1つの78万都市になって、市民がどの場で農業者と接することができるかという、1つの切り口として、そういう情報提供などを行っていく。あるいはイベントなどをやっていこうと思います。それによって農業所得なり、農産出額がどのぐらい上がるのかというのは、そういう精密な計算はやっておりませんけども、そういう機運は上げていこうというのが今の段階でございます。