************************************** 西村ちなみメールマガジン第110号(2006年12月18日発行) 「生殖補助医療」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 今日の一部全国紙朝刊一面で、「民主、代理出産を限定容認作業チーム中間報告 親族、報酬は禁止」という見出しで生殖補助医療に関する民主党の論点整理が報道されました。私はこの作業チームの座長として論点整理を行ってきました。この記事が出されたことで、厚生労働省、他のマスコミ、関係者から問い合わせが多数あり、反響の大きさに驚いているところです。 生殖補助医療は戦後すぐに実行されたことから始まり、国内に急速に広がりました。AID(非配偶者間人工授精)で出生している子は日本国内ですでに10万人を超えているとされます。また代理出産は長野県のクリニックによる祖母出産や向井亜紀さんご夫妻のケースでもあったように、国内外で行われている実態がありますが、ヨーロッパが厳しく規制する一方、規制の緩やかな国では代理出産がビジネスとなっています。日本では法規制が存在せず、もっぱら医師側の自主規制にゆだねられてきましたが、さて特別な設備がなくとも簡単な施術で実施が可能であることから、日本産科婦人科学会の戒告に背いた複数の医師が実施しているのです。 どのように生殖補助医療を規制するか、私たちは原点から検討してきました。倫理観・宗教観・道徳観に大きく左右されるテーマであることから、現実に立法するときには臓器移植法への対応と同様、党議拘束をはずすことになるだろうと思います。そもそも生殖に関することに人間が手を加えるべきではないという考え方から、全面的に禁止することも考えられました。ですが、それでは実際に生まれている子どもの法的地位をどうするのか、また仮に日本で禁止しても海外に渡航して生殖補助医療を実施することが可能であるということとどうバランスをとるのか、という問題が残ってしまいます。 子どもをもちたい人の意思、生まれた子どもが出生について知る権利と知らされない権利、そもそもどのような生殖補助医療がどこで誰に対してどのような条件下で誰が行うことが許されるのか。中間報告は、国内でしっかりとした倫理審査機関を設置して、具体的なガイドラインにのっとり、許可制にすることでとりまとめを行いました。今後も審査機関のあり方、親子関係などについて研究と検討をすすめるつもりです。日本の法制度では、養子をとることはとても難しくなっていますが、もっと容易にすることで、多様な家族のあり方が広く受け入れられる可能性があります。 たいへん難しい問題ですが、立法府としては放置できない課題です。皆様からの多様なご意見をお聞かせいただければ幸いです。
メールマガジン
第109号「臨時国会も会期末」(2006年12月11日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第109号(2006年12月11日発行) 「臨時国会も会期末」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 師走ももう半ば。それぞれにお忙しい時期をお過ごしのことと存じます。国会は臨時国会の最終盤ですが、教育基本法の取扱いをめぐって会期末が見えない状況です。衆議院特別委員会でもう一度審議が行われる可能性もあり、まだまだ予断を許しません。安倍総理がフィリピンから帰国しましたので、今週一気に法案成立という線もまだ残っています。 昨年の郵政解散で自民党を追われながらも当選した議員のうち、11名が先週、復党しました。戻す自民党も自民党なら、戻る議員も議員です。しかも自民党との約束を破ったときには「政治家としての良心にもとづき、議員を辞職する」などという誓約書にまでサインをして。当該議員に負託を与えたのは自民党ではなく有権者です。それを忘れて自民党が議員の身分までも左右するというのは本当におかしい。総選挙をやり直すべきだと思います。 とはいえ、解散権をもっているのはこの国で唯一人、総理だけ。野党である民主党がいくら解散を迫っても、総理が決めなければ解散はできません。自民党復党問題や政府税調の報告やいろいろな要因があるのでしょうが、このところ内閣の支持率は急落していると言ってよいでしょう。このタイミングで来年の統一自治体選挙と参議院選挙がやってきます。民主党にとっても正念場です。 あきらめない、あせらない、あわてない。1日も早く政権交代して新しい政治をつくりたい思いは山々ですが、今日できなかったからといって明日あきらめることもないと思います。しかし機会をみて敏感に対応し、できるときには必ず勝つ。そのために平時の準備活動はしっかりやらなければなりません。今、私たちにできるのは、そのときのための政策づくりをしっかりと行うこと。いよいよ今週、小沢代表の政権公約がまとめられることになっていますが、私たちの意見も十分取り入れていってもらいたいものです。 新潟も寒くなりましたので、皆さんどうぞお体ご自愛ください。私もあと1週間、東京でがんばります。
第108号「少年法改正案」(2006年12月4日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第108号(2006年12月4日発行) 「少年法改正案」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 新潟市内に雪が降りました。白いベールが覆いかぶさったようでため息が出るほど綺麗です。タクシーの運転手さんが「雪が降ると引き締まって活気が出る」とおっしゃっていたのを聞いて、そういう見方もあるのかと感心しました。降雪で年の瀬が近づいてきたことを知り慌てて、忘年会が増えるのだそうです。なるほど。 さて今日は少年法改正案について書いてみたいと思います。昨年の通常国会で提出された改正案は衆議院の解散と同時に廃案になりましたが、今年の通常国会に再提出され、この臨時国会で審議入りとなりました。現行法では14歳以上に限られている少年院送致の下限年齢を撤廃すること、保護観察中の少年が順守事項を守らない場合は少年院に送ることを可能にすること、刑事責任を問えない14歳未満で違法行為をした「触法少年」の事件に対して警察の調査権限を明確化し押収・捜索などもできるようにすること、などとなっています。 刑事対象とする年齢は2000年の改正で16歳から14歳に引き下げられました。それにもかかわらず、「少年人口に占める刑法犯の検挙人員の割合が増加し、強盗等の凶悪犯の検挙人員が高水準で推移している上、いわゆる触法少年による凶悪重大な事件も発生するなど、少年非行は深刻な状況」にあるということが、今回の法改正の背景だということです(カギカッコ内は法務大臣の法案提出理由趣旨説明文より抜粋)。 政策は科学的事実に基づいて立案しなければなりません。根拠のない政策は民衆にとって利益ではなくむしろ害悪を及ぼす危険すらあります。そういう目で、上記の趣旨説明を読むとき、一読すると正しいように思える文章でも実のところは多くの疑問点が浮かび上がってきます。 たとえば、本当に少年非行は増加しているのでしょうか?趣旨説明では「少年人口に占める刑法犯の検挙人員の割合が増加」しているとあります。しかし少年非行の発生件数そのものが増加しているとは書いてありません。警察当局が、少年非行を認知し事件として扱って初めて捜査が行われ検挙されます。警察当局が、かつては事件として立件しなかった比較的軽い犯罪を、検挙するようになった結果として、言われているような状況になっているとも考えられます。 また「強盗等の凶悪犯の検挙人員が高水準で推移」しているのは、何もこの数年に限ったことではなく、比較する年数を長くとれば戦後にみられる長期的な傾向であることが分かります。少年犯罪の凶悪化を世代論と結びつけるには、もっと綿密な論証が必要です。またこのところ強盗などの少年犯罪は、単独でなくグループで行われることが多いそうです。仮に一昔前の強盗などが単独で行われていたとすれば、発生件数そのものが減少してなければ検挙人員が高水準であるというのは計算が合わないのではないでしょうか。 そもそも少年非行の凶悪化が言われるようになったのは、厳罰主義で臨むべきだという世論や、教育の場で愛国心や公共の精神を教えるべきだという世論を誘導するためではないかという指摘がなされています。犯罪被害に遭われた方やご家族のお気持ちに立てば、真実を明らかにすることがまずは第一と思います。今回の少年法改正では、そういった視点からすると評価すべき点もあるのですが、あまりにも多くのことが混ぜこぜになっているのです。 一度罪を犯した少年が本当の意味で更生するには、多くの手助けを必要とします。罪を犯した少年たちが福祉的、教育的に育てなおしの機会を得るための法律であってほしい。民主党としての修正案を検討していきたいと思います。
第107号「復党問題」(2006年11月27日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第107号(2006年11月27日発行) 「復党問題」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 昨年、郵政民営化法案に反対し、自民党を離党して無所属で9月の総選挙をたたかった人たちの復党問題は、きょう新たな動きがありました。平沼議員は「(郵政民営化に賛成という)踏み絵を踏むことはしない」などとの言葉どおり、自民党が提示した条件を受け入れないまま党本部に復党届を提出。他の復党希望議員との足並みをそろえるための苦肉の策だったようです。自民党本部は、当選している議員を今回先行して復党させ、落選中の人については次の段階にするとのこと。議席優先があまりにも見え見えで、何となく白けてしまいます。 選挙は民主主義のためにはとても大切な装置であるし、そこで受けた負託はとても重いと私は常々考えています。私自身は民主党という旗を最初から掲げて選挙をたたかいましたし、それでよいとおっしゃってくださる方の1票で議席を与えていただきました。もし私が、無所属で総選挙をたたかい、当選後に民主党入りを表明したら、それは大きな問題だろうと思うのです。有権者との約束を破ることになりますから。 すでに党利党略、選挙目当てなどと多くの批判が生じているようです。政党助成金の交付額は1月1日の所属議員数を基準としますので、12月中に復党を果たさせたいという背景はこのあたりにもあります。数の力と金の力。「自民党をぶっ壊す」という意味は、信義を貫き格差の是正に取り組むという良い点が消え去り、利益になることであれば数と金に頼るという悪い点が残る、単にそれだけのことだったのかと、今更ながらつくづくと感じています。 政治への信頼回復。民主党が新しい政治のあり方を示せるかどうかも問われています。