***************************** 西村ちなみメールマガジン第131号(2007年5月21日発行) 「消えた年金保険料」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ***************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 年金の信頼が大きく揺らいでいます。年金保険料の流用問題が明らかになったのは三年前でした。いま新たな問題になっているのは、保険料を払ったのにそれが記録されておらず、見合った給付が受けられないという「消えた年金記録」の問題です。 ある日、私が事務所近くの食堂でお昼を食べていると、顔馴染みの店主が声をかけてくれました。曰く、このまま年金保険料を払っていったらどのくらい給付が受けられるようになるのか調べに行った。そしたら仕事を変えて加入年金が変わってからの一定期間、保険料が納付されていないと言われた。そんなはずはないと手元でたまたま保管していた納付証明書を翌日もっていき、ようやく社会保険庁のコンピューターにあるデータを正確にしてもらった。自分で調べようと思ってなかったらえらいことでした、こういうことって他にあるんじゃないんでしょうか西村さん。そう言われて党に持ち込んだところ、実は大変なことになっていることが分かったのです。 なんと、年金記録が、基礎年金番号と統合されず、年金給付に結びつかない件数は5000万件、最近6年間で社会保険庁のミスなどにより給付額が変更になったのは22万件、昨年8月から今年3月30日までに年金保険料を納付したと申し出たにもかかわらず申し出たが却下された人数2万人、だということなのです。 政府は社会保険庁の再編法案を提出していますが、単なる看板の掛け替えに過ぎず、上記の問題は棚上げされたままです。民主党は、問題解決のため実効性ある法案を提出しました。 歳入庁設置法案には、社保庁を解体して業務を国税庁に統合した上、「歳入庁」を内閣府の外局に設置すること、業務の引継ぎについて基本計画を定めることなどを盛り込んでいます。年金保険料流用禁止法案は、納められた保険料の使途を年金支給に限定し、年金事務費も含めた流用を禁止する内容です。「消えた年金記録」被害者救済法案では、社保庁解体前に、適正な年金支給を確保するために年金記録の全数調査を行い、記録や支給の適正化を図るというものです。 残り会期で成立に向け取り組んでまいります。
メールマガジン
第130号「ふるさと納税?」(2007年5月14日発行)
***************************** 西村ちなみメールマガジン第130号(2007年5月14日発行) 「ふるさと納税?」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ***************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 参議院選挙が近づき、与野党ともに「目玉政策」の選定に余念がありません。私たち民主党の中でも政権政策委員会を中心に議論を進めている最中ですが、先日は某新聞社が民主党参院選マニフェストなるものを掲載。党内で議論されてもいないし承認されてもいない政策がなぜ公になるのか不思議でなりませんが、それだけマスコミもどういうマニフェストになるのか注目しているということなのでしょう。与党サイドからの報道も少しずつ増えてきました。 この通常国会では野党が「格差社会の是正」を主張してきました。与党および安倍政権は「格差は存在しない」と強弁してきましたので、格差問題からは目を背けたまま参議院選挙に入るのかと思っていたら、とうとう態度を変えました。そのひとつが、政府与党がこのところいろんな場面で発言している「ふるさと納税」です。 事の始まりは菅総務大臣が連休中に視察先のパリで開催した記者懇談会での発言です。住民税の一部(1割くらいと明言)を、自分の住んでいない自治体に対して納めることができる仕組みを創設する、と発言しました。これを後追いする形で、官房長官や与党幹部が後押し発言をし、「総理の指示があった」という脚色までついて、6月にまとめられる「骨太の方針」に入れることを検討するとのことです。 私は先週、この問題について総務委員会の中で質問しました。「ふるさと」に対して何がしかの恩返しをしたいという気持ちは十分理解できますし、誰にでもそういう気持ちはあるでしょう。しかし住民税というのはそもそも自治体が実施する基本的な住民サービスに対する対価であり、受益と負担の関係が前提となっているものです。自分が住んでいない自治体に納税するとなると、この関係が崩れてしまいます。またどういう条件をもって「ふる さと」を定義するのでしょうか?思いつきで口から出たものとしか思えません。 着眼点は否定しませんが、しかし実際に制度として運用するにはあまりに問題が多すぎる。これが私のふるさと納税に対する考えです。そもそも地域間格差の是正を、都市部などに暮らす市民の善意に頼って図ろうなどという発想が、政府の責任放棄ではないかと私は言いたい。ふるさとに貢献したいという市民の思いを叶えるためであれば、もっと本筋に戻って、税財政改革にまい進すべきだと強く主張するものです。 人口と面積とで配分する「新型交付税」も、鳴り物入りで導入されましたが、その影響の及ぶ範囲は極めて小さいものでした。このふるさと納税なるものも、おそらく、参議院選挙が終われば、小さな話題に降格することでしょう。大山鳴動して鼠1匹。惑わされずに参議院選挙を戦い抜きたいと思います。
第129号「連休明けのスタートに当たって」(2007年5月7日発行)
***************************** 西村ちなみメールマガジン第129号(2007年5月7日発行) 「連休明けのスタートに当たって」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ***************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 今日は大型連休明けの月曜日。私は昨晩日曜日の夜のうちに帰省先から戻る乗客で満員となった新幹線に乗り、東京にやってきました。今朝は10時から教育再生特別委員会です。議事堂周辺を回る街宣車のマイク音も、議員会館の前で上がるシュプレヒコールの声も、歩道から響き渡るほら貝や読経や木魚の音も、議員の乗る車を呼び出すアナウンスの声も含めて、国会にいつものざわめきが戻ってきました。 連休は新潟市民の皆さんのお声を伺う絶好の期間でした。国会の様子や民主党の活動などを、多くの方々がいかに歯痒い思いをしながら見ておられるのかを耳の痛い思いで伺ってきました。安倍政権はいったいどこに向かおうとしているのか、それに対して民主党は何をしているのか(じれったい)等々、皆さんからいただいているご期待にまだ応えられていないことを歯痒く思います。 フランスの大統領選挙、とても興味深く見ていました。選挙後、衝突などが起きているのは残念ですが、選挙としては、政策や路線の違いが明確でそれによって有権者が投票する形になっており、面白い選挙だと思います。サルコジ氏の路線が米国型、ロワイヤル氏の路線がヨーロッパ型、という違いも明確でした。日本においては、強いていえば、それぞれ安倍政権の政策、民主党の政策、という対比になるのでしょうか。 新しい週がスタートしました。できることを最大限に取り組んで、社会の前進に寄与したいと思います。今週もがんばります。
第128号「集団的自衛権の有権解釈」(2007年5月1日発行)
***************************** 西村ちなみメールマガジン第128号(2007年5月1日発行) 「集団的自衛権の有権解釈」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ***************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 連休いかがお過ごしでしょうか。私は、事務局長を務めている民主党NGO海外活動推進議連の視察に行く計画も立てていたのですが、参院選の前ということもあって延期することになりました。そのため予定らしい予定もないままのゴールデンウイークを過ごしていますが、たまっていた仕事をしたり、普段できない山歩きをしたりと、少し息を抜いて過ごしています。 さて先日、外交ジャーナリストという方のお話を伺いました。ちょうど安倍総理が米国・中東への訪問に出かける当日です。この通常国会では駆け込みで安倍内閣から日本版NSC(国家安全保障会議)法案が提出されましたが、それに対する意見や、インテリジェンス(情報機関の職員や協力者が行う情報収集、分析、評価、資料作成などのこと)の重要性などについてひとしきりお話された後、話は集団的自衛権に移りました。 ここで集団的自衛権を、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力を持って阻止する権利」としておきたいと思います。また有権解釈を、「国家機関による拘束力をもつ解釈」としていきたいと思います。 集団的自衛権については、内閣法制局が「日本は集団的自衛権を保有するが行使しない」という有権解釈を行っており、未だにそれは変更されていません。そもそも内閣の中にある法制局が有権解釈をすること自体が、自作自演のようなおかしな話なのですが(本来、憲法裁判所が存在して、そこで判断されるべきだと考えます)、いずれにしてもそれが日本の有権解釈だとされてきたのです。 安倍総理は、有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を先月25日に発足させました。またこれと平行して、自民党は集団的自衛権に関する特命委員会を27日に発足させました。報道から知る限り、いずれも集団的自衛権の憲法解釈の変更を視野に入れている模様です。これはすなわち、対米外交に対する政府与党の意図をありありと示しています。 集団的自衛権については、よく例え話がされることがあります。ある方は、「私が親密な関係にある女の子と一緒に歩いていて、彼女が暴漢に襲われた。そのときに傍観しているだけで何もしないということはありえない」という例えを話されました。何となく受け入れられそうなこの話、しかし私は何か違和感を覚えました。なぜ「私」が男性で、「一緒に歩いている」のが女の子なのか。仮に「私」が私・西村ちなみなら、体格の良い力瘤のある男性と「一緒に歩いている」こともありうるわけで、もしそのときに彼が暴漢に襲われたら、私は反撃などしないし、できないでしょう。交番に駆け込んで、「あの人を助けてください」と叫ぶと思います。 集団的自衛権の行使について議論することは結構ですが、安易な例え話で行使について道を開くのはいかがかと考えるのです。どうせ想像力を働かせるなら、もっと多角的に考えてみるべきではないか。そんなことを考えながら、憲法記念日を迎えます。
第127号「言論の自由を守るために」(2007年4月23日発行)
***************************** 西村ちなみメールマガジン第127号(2007年4月23日発行) 「言論の自由を守るために」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ***************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 統一自治体選挙後半戦が終わり、参議院補欠選挙も終わりました。私は沖縄の補欠選挙に2度応援に入り、支持を訴えましたが、残念ながら野党候補は惜敗に終わってしまいました。夏の参議院選挙で与党の過半数割れに追い込むにはハードルがひとつ上がったことになります。体制を建て直し、「夏」に備える必要があると思います。 先週の衆議院は大荒れでした。国民投票法案、米軍再編関連法案、少年法改正案がそれぞれ審議されていたのですが、いずれも審議不十分のまま委員長が強行採決をはかり、賛成多数で本会議も通すという極めて乱暴な採決が行われました。特に少年法改正案などは政府提出の閣法に対して民主党が修正案を出し、その後与党から修正案が出されたのが当日の朝。間もなく昼過ぎには委員会で採決がはかられたのです。当然、条文などについて野党はもちろん与党もほとんど審議していません。あまりのことに唖然としてしまいました。 こんな乱暴なやり方が通るなら国会戦術など不要だ。そういう声も聞こえます。言論の府であるべき国会で、審議もなく政府提出の法律や政策を唯々諾々と通すなら、国会審議が不要になってしまいます。しかし三権分立というこの国の仕組みがあるから、国会で国民の目線に立って疑問点を明らかにしていくことができるわけで、与党がその作業すらも放棄しているのは、政権与党も末期状況であると思わざるを得ません。 安倍内閣になってから、特にこのような強引な国会運営が目立ちます。数の力さえあれば何でもできるという風潮がこのまま続くとしたら、とても怖いことです。民主主義の前提は言論の自由が保障されるということ。言論を数の力で封印することがあってはなりませんし、ましてや暴力で言論が封殺されることはあってはなりません。長崎市の伊藤一長市長の逝去は、本当に残念でした。このような事件はあってはならないことだと強い憤りを覚えます。今こそ言論の自由に向けて、政治家一人ひとりが自覚し、たたかっていく必要があると思います。 今週もがんばります。