************************************** 西村ちなみメールマガジン第60号(2005年12月26日発行) 「日朝政府間協議」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 北朝鮮との交渉再開のニュースを、みなさんはいろんな思いで受け止められたことと思います。日本政府はこれまで、①国交正常化交渉②拉致問題などの懸案事項③核などの安全保障問題を並行して協議することを提案していました。この提案に対し北朝鮮がどのように対応するか注目されていましたが、日朝政府間協議で昨日、条件付きで受け入れる発言をし、年明けにも協議が再開される見込みです。 私は、11月に6カ国協議が開催された折に行われた日朝協議のあと、拉致問題対策特別委員会で質問に立ちました。政府が本当にこの問題を解決する強い姿勢があるのかどうかを質し、今後の交渉をどのように行うのかを質問しました。また同僚議員の中で、中国や韓国が対北朝鮮交渉では大きな力になるので、関係改善につとめるべきではないか、という質問をした議員もいました。 小泉総理は11月のブッシュ米大統領との日米首脳会談の後「日米関係が良ければ良いほど中国、韓国をはじめ世界各国との良好な関係を築ける」とあけすけに語っています。しかし本当にそうでしょうか。確かに米国との関係は重要です。ですが、同じく11月に開催されたAPECアジア太平洋経済閣僚会議のときに毎回行われてきた日中首脳会談は今回初めて取りやめとなり、日韓首脳会談は行われたものの、年内の大統領訪日もなくなってしまいました。11月下旬の日ロ首脳会談でも領土問題での進展はおろか、東シベリアからの原油ルートについてもプーチン大統領からの言及はまったくなく、大統領の日本訪問の成果は皆無でした。仮に日米関係がうまくいっていたとしても対岸各国との関係がこの有様では良好とはいえないでしょう。あるいはブッシュ大統領の支持率が歴代大統領の中でも最低であることと無縁ではないかもしれません。 小泉総理は、次の総理に誰を選ぶか改革競争でポスト小泉候補をたたかいあわせています。「偉大なるイエスマン」と自称する幹事長を筆頭に、総理に首肯し従うだけの人間を重用し、意見の異なる者を排除するかのようです。9月の総選挙のとき、郵政民営化に反対した人が次々と切り捨てられる場面が自民党内部でも残像となっているのでしょう。党内ではみな一様に口をつぐんだまま、例外的に消費税率の引き上げなどに言及した谷垣財務大臣や与謝野金融・経済財政担当大臣は小泉総理から睨まれてしまいました。ポスト小泉競争は、国内状況はもとより、国際状況を正確に認識することなく、政策の正しい方向性を見失うことになっていくのではないでしょうか。 今回の北朝鮮との交渉再開のニュース。これからもタイなど拉致被害者がいたとされる国との連携は重要なことですが、それだけで大きな力になるわけではありません。外交は、脅せば言うことを素直に聞くポスト小泉候補やあまりに無邪気な小泉チルドレンとは異なります。日々刻々と変化する国際状況のなかでは、日本が何を考え、何を目指そうとしているのか、他国に対して一層の説明努力が必要と考えますし、総理は一日も早くそのことに気づくべきだと思います。 年内のメールマガジン発行は、今号が最後となります。一年間お読みいただき、ありがとうございました。年明けのメールマガジン発行は1月10日からといたします。また来年もよろしくお願いいたします。みなさまどうか良いお年をお迎えください。
メールマガジン
第59号「仕事と生活のバランス」(2005年12月19日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第59号(2005年12月19日発行) 「仕事と生活のバランス」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週土曜日、民主党の定期大会が開催されました。所属国会議員はステージの上で自由席ということでしたので、私は鳩山幹事長の後ろに座りました。その席が演台の真後ろでしたので、挨拶する代表の後ろにオレンジの服を着た私の顔がぼわんと大きく広がっているのをご覧になった方もいらっしゃるのではないかと思います。 さて先週、男女雇用機会均等法の改正に向けて、当事者のみなさんからお話を伺ったことなどをご紹介しました。男女雇用機会均等法という名称からすると、男女間の雇用機会を平等にするためだけの法律と受け取られがちですが、実はそうではありません。 来年の経済は、新潟においても多少、景気回復を実感できる状況となりそうです。今月に日本政策投資銀行や日本銀行の新潟支店が出したレポート等からも、新潟県内も景気回復基調にあることが分かります。今年秋ころからは、非正規雇用者(パート・アルバイト・有期雇用・派遣などを総称)から正規雇用者(正社員)へ切り替える動きが強まっており、すでに東京など都市部では新卒の求人倍率は近年になく高いとのこと。いわゆる団塊の世代が大量退職する2007年を見通して、大企業などが正規雇用者を増やしていることが影響しているようです。 しかし非正規雇用者はすでにこの10年間で急増しており、今や働く人の三人に一人が非正規雇用者。その非正規雇用者の年間所得平均額は正規雇用者の約4分の1。景気に大きく作用するのは、言うまでもなく国内の家計です。家計は、雇用と賃金と消費がそれぞれにかかわりあって成り立つものですが、この3人に1人の非正規雇用者が正規雇用者の4分の1の所得しかないというところに、景気回復が緩やかな理由と、所得格差が広がっている という原因があります。 よって、政策的に「同一価値労働・同一賃金」という原則をきちんと打ちたてることは、景気を回復と維持の面からも、働く人の権利の面からも、必要性のあることだといえます。どのような働き方をしていても、年金や医療など社会保障がきっちりと約束されていれば、安心して働き続けることができます。地道かもしれませんが、そのような社会になることを目指して、仕事と生活のバランスがとれた働き方を、男性も女性もとることができるよう、今回の法改正を行いたいと思っています。
第58号「男女雇用機会均等法の改正にむけて」(2005年12月12日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第58号(2005年12月12日発行) 「男女雇用機会均等法の改正にむけて」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 限られた空間の中で、皆が公平にお金持ちになるにはどうしたらいいでしょうか?空から飛行機がやってきて、お札をばらばら撒き、それを公平に分配すれば、皆がお金持ちにはなります。しかし現実的にそんなことはありえません。経済は閉じています。それではある人がお金持ちになろうと、物を買わないなどの節約をするとしましょう。そうすると、それは別の人の所得が減少することにつながり、それが他の人の商品を買わないなどにつながって、最後は再び自分のところに返ってくることになります。日本経済というひとつの系に、近年はグローバリゼーションなどによって多くの経済の系が密接にかかわるようになりました。ナショナル・エコノミーは今や野放しになっているといえるのではないでしょうか。 さて私は今、来年年明けの通常国会で内閣が提出を予定している、男女雇用機会均等法の改正に向けて、民主党内での論点整理に取り組んでいます。この改正においては、おおまかにいって3つの争点があります。第1に、男女間の雇用における差別をどう定義づけるかという点。間接差別という言葉が国際的には定着しており、日本では法の未整備により判例などはまだ数少ないのですが、コース別管理などによって結果として性差別となっている事例などをなくすことを目的としています。第2に、セクシュアルハラスメントの防止策を強化するという点。ドメスティックバイオレンスやストーカーなど家庭や地域で性暴力を禁止する法律は整備されましたが、職場での性暴力を対象とした法律は十分とはいえません。この間、数回にわたって、超党派議員で当事者からの貴重なお話を聞きましたが、おもわず涙される当事者の方々の姿に、法整備を急がなければと改めて感じました。第3に、男性女性を問わず、すべての労働者が仕事と生活を両立できるような働き方とするよう、男性も含めて働き方を見直すという点。男女雇用機会均等法そのものは、成立してから約20年、関係者の間からは、「結局のところ均等法は女性にも長時間働く男性と同じくらい働くことを強要してきた」という声が聞かれるところです。誰もが仕事と生活のバランスのとれた働き方ができるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。 こうした均等法の改正にともなって、もうひとつ、たいへん重要な問題があります。それは、パートや有期契約社員や派遣社員やアルバイトなどとさまざまな呼び方をされる、いわゆる非典型労働者の働き方と賃金です。今年に入って日本は、OECDレポートの中で、1世帯あたりの平均所得(476万円)の半分以下しか稼げない世帯が15%を超え、(可処分所得の中央値の50%以下の所得しかない人の割合を貧困率と呼ぶのは、国際比較などでよく用いられます)この10年間で2倍に増えており、伸び率は他の国でも比類なきレベル。日本では、かつてないほどに貧富の格差が拡がってきているのです。 拡がる格差、拡大する国際経済。日本はどうしたらいいのでしょうか。引き続き来週考えてみます。
第57号「社会規範」(2005年12月5日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第57号(2005年12月5日発行) 「社会規範」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 師走に入り、いよいよ新潟市内でも雪が降りました。ここまで降るとは誰も予想できなかったのではないでしょうか。急に寒くなりましたので、どうかお体にご自愛くださるようお祈り申し上げます。私は、国会閉会中にもかかわらず、週の約半分は公務や党務で新潟を留守にしております。ご無沙汰しておりますことをお許しください。 このところ広がり続けているマンションなどの耐震強度偽造問題、公表からすでに時間が経過していますが、依然として真相解明ができないままです。自民党の武部幹事長は、マンション業界のをかばうかのような発言をしており、この問題に真剣に取り組む姿勢がまったく感じられません。今回の問題はさまざまな要因が絡んでおりますが、とりわけ企業としてのモラルや社会を成り立たせている信用・信頼が、大きく揺らぐ事態となっています。物事を曖昧にせず、事実を明らかにして、いいことはいい、悪いことは悪い、世の中にはしてはいけないことがあると、はっきりと示すことが必要だと思います。 そもそも今回の耐震強度偽造は、住民の安心安全に直結する問題であり、政治にかかわる立場としては決してうやむやにすることができない問題です。しかしこの間の、この問題に対する政府与党の歯切れの悪さはいったい何なのでしょうか。これでは市民住民が何を信頼したらよいのか判断することができません。政治は、社会に対して規範を創造し、表明していくこともできるはずです。しかし小泉政権は「自己責任論」を繰り返してきたこともあり、社会規範を生み出すどころではありません。まさに危機的状況です。 政治を立て直すことが、社会の建て直しにつながる。冷たいみぞれの中を歩きながら、あらためて、生活者の安心安全のためにたたかう決意です。
第56号「災害とNPO」(2005年11月28日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第56号(2005年11月28日発行) 「災害とNPO」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日、民主党NPO局・市民政策議員懇談会の主催で「災害とNPO」意見交換会を新潟市内で開催しました。NPOの5名の方々から私たちに対する政策提言をしていただき、参加国会議員6名からの質問、そして短い時間でしたが傍聴席からのご意見をいただくというものです。おそらく新潟市で、NPOの代表者と国会議員が向かい合って意見交換をするという場が設けられたのは、初めてのことではないかと思います。このような場をつくることができ、たいへん感慨深いものがありました。 内容も濃い意見交換会としていただきました。このところ日本列島をたびたび襲っている自然災害。救援・復旧・復興に、NPOやボランティア団体の皆さんが大活躍しています。しかし、活動を行うにあたってさまざまな問題が発生したり、それらを解決するためにボランティアだけの力ではどうにもならないことも多いということが分かってきました。地球規模的にみてもこれだけ災害の多い国ですし、すでにNPOやボランティアの活動にあたっての課題も集約されつつありますから、それを政策立案や立法に生かすことが必要だと思います。特に今回は日本の国土面積の約7割を占める中山間地での災害でしたので、今後の参考に資するところ大です。 私が今回、ぜひ政策提言者の皆さんから聞きたいと思っていたのは、3つです。1つは中山間地という特性から、どのように復興プログラムを考えるのが良いのか、という点。2つめは、すでに神戸や東京で開催された意見交換会の中で、災害発生時にボランティアや行政とのコーディネイトができる人材を確保し派遣するためのプラットフォーム(調整機関)が必要だという意見があったのですが、それをどのような規模で考えるのか、という点。3つめは、ボランティア活動のための資金繰りが難しいという声がある中で、今回新潟県では新潟NPO協会が呼びかけて5000万円の活動基金を集め、60のプロジェクトに支援しているのですが、この活動基金はどのくらいいつまで構築していくのか、という点。 たとえば今日も私はNPO局長の近藤昭一衆議院議員と中越地方を視察してきましたが、2度目の冬が近づいてきている被災地で、まだ住宅再建ができず、底冷えのする仮設住宅で過ごさなければならない方々がまだたくさんいます。被災者生活再建支援法などが本当に被災者の生活の復興を目的としたものといえるのか、大いに疑問を感じますし、これからも改正について訴えていきたいと思います。また私は災害発生時に県外の団体からアレルギーをもつ子ども用の離乳食などを提供するという連絡を受け、どこの避難所にそのようなものが必要なのか知りたいと思っても、そうした情報が把握できないという状況にも直面しました。たいへん良い活動をしている団体で、活動資金が枯渇したために撤退を検討していた場面にも出会いました。 もちろん、それぞれの団体は、活動の目的も異なれば対象としている被災者の層も異なり、すべての団体が同じ着眼点と関心をもとに活動しているわけではありませんので、1つの論点について議論しているときでも意見がかみ合わないということはときどきあります。しかしいずれの団体も、人のために体や頭を動かしたい、という思いは同じ。被災者の皆さんと、そして次に発生するかもしれない災害地およびそこで活動するNPOやボランティアのために、本当に真剣に意見を述べてくださいました。 民主党は結成の当時から「市民社会との連帯」をうたっており、生活者の目線から提案されてきたさまざまな論点を各部門会議での議論に反映してきています。「災害とNPO」というテーマで、今年は、新潟だけでなく神戸・東京・名古屋でも意見交換会を行います。いただいた意見を生かして、迅速にかつしっかりとした立法につなげていきたいと考えています。