************************************** 西村ちなみメールマガジン第88号(2006年7月18日発行) 「緑のダム」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 雨が続きます。このところ梅雨前線が本州付近で停滞するという天気が毎年繰り返されていますが、今年も北陸地方を中心に豪雨災害が発生しています。毎日、天気予報を見ながら、早くこの梅雨前線が弱まり、通り過ぎてくれればよいと祈るような気持ちです。一昨年の7.13水害のみならず、8年前の新潟8.4水害の記憶も新しいところ。都市型水害の防止は政策課題となっていますが、これをやったら必ず水害が防止できるという決定打がないところが、この問題の難しいところです。自然を征服し完全に水害を生じさせないという考え方よりも、少なくとも人の命を奪うような濁流が起きないようにする、という考え方のほうが、合理的であるかもしれません。 先日、全国森林環境・水源税創設議員連盟という、全国の山間地における自治体議員の皆さんが結成している議員連盟の定時総会に、民主党を代表して出席し挨拶を述べてきました。森林のもつ多面的機能は、たとえば、土砂崩れの防止や都市型水害の防止にも一定の役割を果たしていると考えられています。間伐材の処理や下草刈りなど、山の管理を適切に行えば、森林が本来もつ保水機能が発揮され、土砂崩れはもちろんのこと鉄砲水などが生じにくくなり、ひいては堤防の決壊や平場の水没などが発生する危険性が低減されるという考え方です。 今、山は荒れています。外国産材の流入などにより、国産材の価格は低下し、山を管理する人たちはどんどん少なくなると同時に山を降りるようになってきました。「自分たちの代では使えないけれど子や孫が大きくなったときのために」と言って、雪で倒れた杉に縄をかけ、渾身の力でひっぱってまっすぐにしようとがんばる老夫妻がテレビ番組で紹介されていましたが、極めて稀なケースなのではないでしょうか。個人や世帯の力でどうにもならなければ、政治が何とかするしかありませんが、自治体も楽ではありません。自治体とりわけ山間部に多い小規模自治体を狙い撃ちにした交付税改革が、山の荒廃に拍車をかけます。自治体は毎年の予算組が厳しくなり、福祉などの予算を削るわけにもいかないので、当面の措置として森林管理費などを削減します。さらに山は荒れる。悪循環に陥っています。 民主党は、「緑のダム」構想を、民主党創設当時から主張してきました。「緑のダム」とは、森林のもつ多面的機能に着目し、国費を投じることによって新たな雇用を生み出し、森林の保全と都市部の環境確保を目指したものです。コンクリートで固められたダムは、一定期間は大きな働きをしてくれますが、土砂の堆積などにより長期間の耐用がないと指摘されています。どうせお金をかけるのであれば、持続可能で自然と共生できる方法を選びたい。私たちの思いです。 ところで、私は今週末から海外視察に出かけることになっており、来週・再来週は、海外でメールマガジンの筆をとります。おそらく短いものになるでしょうが、ホットな視察地からホットな情報をお届けします。どうぞご期待ください。
メールマガジン
第87号「ミサイル問題」(2006年7月10日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第87号(2006年7月10日発行) 「ミサイル問題」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週は北朝鮮がミサイルを発射、日本海に着弾するという事案が発生しました。日朝平壌宣言を踏みにじる行為であり、国際法にも違反しており、断じて許せません。日本海を平和な海にしようと運動してきた人たちの思いと歴史を無視した、生活の海である日本海に対する冒涜です。断固として抗議したいと思います。 このミサイル発射事件後、在日朝鮮人の方々にカメラマイクが向けられ、「こんなことをされては日本で生活している私たちが困る」「やめてほしい」などと発言してられたのは印象的でした。顔を隠さずにカメラに向かって答えていたのです。また北朝鮮と新潟とを往復する万景峰号は特定船舶入港禁止法によって入港が禁止されましたが、人道的措置としていったん着岸し、乗っていた子どもたちが下船、何も積まずに戻っていきました。国の政治体制はどうあれ、子どもたちに罪はありません。その子どもを日本で育ててきた大人たちも、日本でがんばるしかなかった人たちです。そういう人たちに対して新潟県がとった今回の措置、全国・全世界からもっと注目されるべきだと思います。拉致問題の解決を、この機会に国際世論にさらに訴え、ミサイル問題だけではないということを国際社会から認識してもらうべきです。 小泉総理には全く期待していませんでしたが、「プレスリー館にいるときでなくてよかった」「いつ発射されるのか予測不能だった」などの寝ぼけた発言を聞くと、早く総理が交代してくれればよいという思いは募る一方です。国連で決議案が採決されることになりましたが、その決議に反対しそうな国もあります。それらに対して日本政府ができているのは事務レベルでの折衝だけ。そろって中国を訪問していた民主党の小沢代表・菅代表代行・鳩山幹事長が、いち早く中国政府首脳に協力を直接お願いしてきたのとは大きな違いです。 先週土曜日のオープンミーティングでは、このミサイル発射をめぐって話し合いが盛り上がりました。私が冒頭に話したのはたった10分ほどで、その後は1時間超の意見交換となりました。最後のほうは参加者の皆さん同士で横の意見交換を行うなどされ、皆さんが今回の事件を冷静に分析されていること、そして政治がもっとしっかり対応すべきという要望をもっておられることが分かりました。とても充実した話し合いだったと思います。 今後の影響などについてはさらに調査し、また機会を見て皆さんにご報告したいと思います。 ところで、新潟市出身の国土交通省事務次官である佐藤信秋氏が勇退されるとのことで、きょうは最後のご挨拶に事務次官室を訪ねてまいりました。私から、国土交通省から見た今後の新潟の課題は?などと伺っているうち、最初はスローペースでのお話だったのが、机をひとつ叩いたかと思うと、新潟への思いが溢れんばかりに口をついて飛び出してきました。歯に衣着せぬ物言いは、佐藤事務次官の魅力のひとつであり、そのベースが役所志向でなく現場志向であることに私は心からの敬意をもっています。中越震災復興はモデルを新潟で作るべきだ、平場は新潟を売る気概をもとう、まずはやってみようの精神だ、西村にもその方向でがんばってほしい、などのご指導を生かしてこれからもがんばります。
第86号「調査は誰のために」(2006年7月3日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第86号(2006年7月3日発行) 「調査は誰のために」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 きょうは約10日ぶりに議員会館へ来ました。新しい議員会館をつくるための仮囲い工事が始まっていて、会館付近の風景も異なって見えます。部屋に入ると机の上には1つ半まで減らしておいたはずの資料の山がまた3つに増え、倒れないように互いに支え合っていました。 議員会館は10日ぶりですが、東京へは一昨日も来ていました。情報公開や個人情報保護に取り組む団体の求めに応じて、国勢調査を見直す市民シンポジウムに出席するためです。先日、昨年の10月1日を基準日として行われた国勢調査の抽出速報集計結果が出ていましたが、皆さんご覧になりましたでしょうか。日本が、世界で最も少子高齢化が進んでいる国だとの結果が明らかになったとのことです。これは、国勢調査を行った中から1%を抽出して速報値として出したもので、全数の調査結果が出るのは先になりますが、おおむねの傾向はこれで掴むことができます。全数調査結果と1%抽出の結果とでは、これまでも大差は生じてきていません。 国勢調査には、10年に一度行われる本格国勢調査と、その間をぬって5年目に行われる簡易国勢調査とがあります。簡易といえども調査項目が多少少ないだけで、悉皆(しっかい)調査(すべての構成員に対して行われる)であることには変わりがありません。投入される公費は600億円、総務大臣から任命される調査員は全国で85万人。たいへん大規模な調査であり、統計法では、調査への申告を義務として違反したときには罰則も科しています。 ところが、オートロックマンションが増加し、プライバシーへの意識が高まるなどしたことにより、この国勢調査に大きな異変が現れるようになりました。「正確な調査ができない」のです。調査員の人たちからは、対象者を訪問しても会えない、調査票が回収できない、調査される側からは何のために調査されるのか分からない、なぜ名前を記入する必要があるのか、などの不満や不安の声が多数聞かれました。ニセ調査員を名乗って個人情報を引き出そうとする事件まで発生。民間団体や自治体などが設置した相談ホットラインでは、電話が鳴りやまなかったそうです。 今、有識者懇談会において国勢調査のあり方が検討されており、インターネットや郵送などを活用した調査方法に変えることが提案されていますが、根本的な解決にはなっていません。何のための国勢調査なのか、その結果はどのように反映されているのか、それらが全く不透明なままであることが問題なのです。先ほど私は、1%抽出の速報値と全数分析の結果とでは大差は生じていない、と書きました。人口は正確に把握する必要があると思いますが、傾向を知るのであればそもそも悉皆で行う必要はなく、最初から1%抽出で調査すれば済む話だと思うのです。また人口の把握も、住民基本台帳や外国人登録など既にある別の統計をもって活用できるのであれば、改めて行う必要があるとは考えにくいところです。 先の通常国会での住民基本台帳法改正案の審議を通じて、私は、「情報は誰のものか」ということを考えました。個人情報は、その持ち主のものであり、その持ち主のために使われなければなりません。しかし、その個人情報を預かっている行政側では、「個人情報は行政内部で扱うものであり、外には出さないもの」という不思議な反応が見られます。新潟でも地震発生時に、障害者支援のノウハウをもつNPOが行政の窓口で要援護者の所在地を知りたいと申し出たところ、個人情報だとして提供を拒否されたということがありました。何のために行うのか不透明なまま国勢調査への協力を求められること、そして行政がもっている情報は活かされていないということ。相反する事柄が起こっている、とても奇妙な状況だと思います。 情報は、民主主義社会においてはその根幹をなすものなのですが、この国ではまだ、その扱いをめぐって論議をもっと深めていかなければなりません。2010年の本格国勢調査のときに、また同じ失敗をしてしまった、と言わないようにするためにも。
第85号「緊急であること、緊急でないこと」(2006年6月26日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第85号(2006年6月26日発行) 「緊急であること、緊急でないこと」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週20日、小泉総理が記者会見でイラクからの自衛隊撤収決定を発表しました。陸上自衛隊が撤収作業を国旗を隠しながら行う傍らで、米軍への燃料補給を行っているとされる航空自衛隊が補充されるなど、決して「撤収」になっていないことは大きな問題です。 記者会見のときの背景が、いつもの青いカーテンから赤いカーテンに変わっていたことに皆さんお気づきでしたでしょうか。あの赤いカーテンは、昨年8月8日に郵政解散をした日以来です。あの場面で、総理が何をアピールしたかったのか全く分かりませんが、いずれにしても小泉総理にとって最後の赤いカーテンだろうと思いながら見ていました。 つい最近、防衛庁幹部が「イラク派遣をとおして、有事の際にはどうなるかという心の訓練を、隊員及び家族は行うことができた」と発言していました。日本は、サマーワは非戦闘地域で安全だという根拠で、自衛隊派遣を行ったはずです。なぜ安全なところに行く隊員が、心の訓練などできるのでしょうか。日本政府の本音が垣間見えた気がしました。 いずれにしても、イラクの復興は、実際にはまだまだこれからと思います。復興のためには治安の維持が絶対条件ですが、まだ混乱を抜けたとはいえません。外国の軍隊が撤収し続けている今これからが本番。国際社会がイラクの復興を責任もって支援していく必要があります。 私は、イラクへの日本の支援は、もともと良かった対日感情を考えたとき、やはり顔の見える協力であるべきで、現地の人たち自身が治安回復し国土の復興に努めることができるよう、警察官の育成やいわゆる民生部門で尽力すべきだと考えています。そのときに活躍するのは日本の現場を知っている人たちや現地とのコーディネイトができる人たちで、そうした人たちが現地で活動するのを応援すべきだと思います。 ところが、日本政府は、プライドがあるのか、現場を知っている人やコーディネイトができる人への支援をすんなりと行ってはくれません。スーダンのダルフールで200万人近いと言われる避難民の帰還に際して、日本のNGOが政府のODA予算を活用できないかと無償資金協力を申請したところ、「緊急支援ではない」という理由で撥ね付けられた経過があると聞きました。スマトラ沖地震へもジャワ島地震へも日本政府は「緊急支援」という名目で支援を行っています。しかしスマトラ沖地震のときは、機材を積んだ飛行機が現地に入るまでに何度も荷物の積み替えをするなどし、最後は現地に到達しなかった機材もあるとかで、緊急支援にもなっていなかったお粗末です。「緊急」であればかなりラフなお金の使い方をしますが、緊急を脱すると、とたんにどう叩いてもお金を出さなくなることも、日本の特徴だと思います。 しかし私たちの税金を使うのに、緊急だからOKで緊急でないから不可、などと一概には言えないと思います。今のような使い方でよいのかをチェックし、望ましい使い方へと改めるのが、私たち国会と有権者の役目でもあります。限られたお金ですから、同時代を生きる人たちのために有効に使われるよう、活用していかなければなりません。 「金儲けはいけないことですか」と開き直った村上氏。きょう5億円を払って保釈されました。「悪貨が良貨を駆逐する」ここまでくると、もう訳が分からなくなりそうです。