************************************** 西村ちなみメールマガジン第84号(2006年6月19日発行) 「第164通常国会閉会」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週金曜日、第164通常国会が終わりました。正確に言うと会期は昨日18日までなのですが、日曜日は本会議や委員会を開会することができませんので、金曜日で審議そのものは終了です。通常、閉会日には本会議で議長が「諸君、第164国会は本日をもって閉会…」などと挨拶するのですが、それもなし。なんとなく拍子抜けしたような終わり方です。 この通常国会、私としてはとても多くのことに取り組んできた国会でした。所属する総務委員会や拉致問題特別委員会での質問や作業のみならず、途中から設置された教育基本法特別委員会への参加、そして男女共同参画調査会での活動から所属以外に厚生労働委員会へも法案を提出したり質問・答弁に取り組んだりと、新しいことにも挑戦してきました。終わってみれば、一国会での質問回数は15回(答弁除く)で最多となり、途中息切れしそうにもなりましたが、今後につながる答弁を引き出すなどそれなりに成果を出すことができたと思います。 国会全体を見たときには、本当に残念な思いでいっぱいです。本来であれば、小泉総理の下での5年間はいったい何だったのか、何をもたらしたのか、という総決算を野党の立場からしっかりと行うべき国会でした。しかし途中から、率直に言えばメール問題発生後から歯車がずれてしまい、与野党ががっぷり四つに組んで小泉政権の評価を下すという状況ではなくなってしまいました。 会期後半は、与党内部からも抑えきれないほど小泉総理の政策と政権運営に対する批判が生じていました。狂信的に小泉政権への賛辞を送っていた議員はほんの一部だったように思います。「小泉総理的なもの」VS「反小泉的なもの」という切り口で評価すべきなのかもしれません。 通常国会の事実上の最終日である先週金曜日、NPO議員連盟が再編され新たなスタートを切りました。1999年にいわゆるNPO法(非営利特定法人活動促進法)が成立したとき、この超党派の議員による議員連盟が中心となりましたが、多くの役員が落選の憂き目に遭っていたため、しばらく開店休業状態が続いていました。当時の役員が国会に戻ってきたこともあり、もう一度市民活動を日本の社会の中で育てていく機運を作るべきだという声にも後押しされて、自民党の加藤紘一さんを代表に再編されたのです。市民活動団体については、常に活動資金不足と民間資金の脆弱さが指摘されてきましたが、議連では今後、団体に対する税制支援策や法案の名称などを重要テーマとしていく予定です。 小泉内閣の5年間で失ったもの、失いかけたもの。それが何なのか、議連の活動再開によってはっきり見えてきました。この5年、総理は「改革」と叫び続けてきました。しかしその中身は、思想や哲学のない改革だったと思います。自己責任を声高に叫び、効率や競争を過度に強調したあまり、人間と人間のつながりを断ち切り、ご近所などの地域コミュニティを壊し、会社ではリストラの対象とならないよう我武者羅に働く風土を生み出し、学校でも良い進学・就職をするためにさまざまな場面で選別が進んできました。一人一人の尊厳を重視せず、人を道具のようにとらえる社会の風潮が、頻発する事件の背景にもなっていると考えます。この方向性を転換してこそ、未来に希望があります。政治が果たすべき役割は非常に大きい。政権交代しなければならないと改めて痛感した国会でもありました。 国会閉会直前には、日銀福井総裁の村上ファンド投資問題、社会保険庁の年金保険料納付率操作問題などが明らかになりました。閉会中もしっかり議論を求めていきます。これからもどうぞご支援ください。お二人以上からお声をかけていただければ、どこにでもお伺いして国会報告などさせていただきますので、お気軽にお声かけください。
メールマガジン
第83号「ワールドカップとサミット」(2006年6月12日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第83号(2006年6月12日発行) 「ワールドカップとサミット」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 いよいよ通常国会の残り会期が1週間となりました。昨年の通常国会と比べると拍子抜けするほどの短さですが、私の仕事量は昨年よりも格段に増えました。質問回数も、提出法案も、とても多くなっています。息切れせず、最後までがんばりたいと思います。 サッカーワールドカップが開幕しました。4年前は日本と韓国の共同開催で、新潟スタジアム(ビッグスワン)でもゲームが行われ、大変な熱狂だったことを昨日のことのように思い出します。新潟駅からビッグスワンへの観客の輸送は、世界的にも注目されたほどのスムースさでしたが、その後のビッグスワンはどうでしょうか。もちろん今でもバスの輸送は行われていますが、地元のアルビレックスのゲームがある日などは自家用車の長い列ができ、とても渋滞しているようです。成功例をしっかりと引き継ぐことができていないようで、とても残念に思います。 今、新潟は、2008年のサミット開催地誘致に向けて、横浜市と連携しながら、県と市を上げて誘致活動に取り組んでいます。私は、この活動に単純に賛同し、応援しているところです。その理由は、新潟が日本海側に位置する街であること、対岸との交流の歴史がしっかりと展開されてきたこと。人間は、いま自分がいる地点からしか世の中を見ることができません。想像力で地球の裏側の人たちがどんな暮らしをしているかを認識することはできますが、その想像力も暮らしの中から出てくるものなので、「私」がどこにいるかは時代を見るときにも極めて重要な要素です。新潟は「裏日本」と呼ばれていた地域にあります。おそらく欧米の政府首脳は、日本といえば東京、太平洋に面しているところだと感じていることでしょう。新潟でサミットを開催することができれば、そうした発想を転換するきっかけを、日本国内のみならず世界に向けても発信することができるのではないかと思います。 ところで新潟が「大きなもの」を誘い込むことを選択したのは、ワールドカップサッカーに次ぐ出来事だと思います。日本で前回のサミット開催地は、沖縄でした。クールビズというのが永田町では大流行で、私は単に環境省が主導しているネクタイ外し運動だと感じていますが、国会の中でも2年目になりました。小泉総理はこのところ「かりゆし」という沖縄の衣服を着ていますが、そのパフォーマンスは米軍基地再編で煮え湯を飲まされた沖縄県へのささやかな配慮ではないかと噂されています。 地方は今、医師不足に悩み教育機会の不均衡など大都市部との格差が広がりつつあります。沖縄の問題に関して言えば、総理が留意すべきは、「かりゆし」を着ることではなく、沖縄の人たちと真正面から向かい合うことでしょう。もちろん新潟でサミットが開催されることになったとしても、そのときの総理は小泉氏ではもはやありませんが、浮ついたパフォーマンスに眩まないしっかりとした目で、新潟の将来を見つめていきたいと思います。
第82号「国家百年の大計」(2006年6月5日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第82号(2006年6月5日発行) 「国家百年の大計」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 終盤国会はいよいよ法案の「促成栽培」の様相を呈してきました。小泉総理が通常国会は延長しないと発言しているため、残り2週間の会期内で提出法案すべてを無理矢理にでも成立させたいとする与党の姿勢が強化したためです。いちばん法案が詰まっているのが厚生労働委員会で、重要法案が男女雇用機会均等法の改正も含めてまだ何本も残っていますが、ねんきん事業機構法案の審議前に社会保険庁の各地方事務所における国民年金保険料の免除申請不正手続き問題が明らかになり、この集中審議を行うため、さらに委員会日程はタイトになりました。法務委員会では共謀罪の法案をめぐって二転三転、小泉総理がサミットに出かける前にお土産を持たせなければと考えているのか、与党は、会期内での成立に躍起になっています。国際テロ防止条約の批准については、民主党も賛成しました。しかし政府提出法案は与党の修正を待ったとしても国内犯罪にまで対象を広げることになり、大きな問題があります。国際条約の批准は確かに大切なことですが、国際条約の批准という目的のみを追求した結果、国内に暮らす人々の人権が逆に脅かされるようでは本末転倒と言わなければなりません。また日本には、国際社会から度々指摘されている課題にまだ対応できていないもの(たとえば高等教育の無償化や人身売買の問題など)があります。ここまで来たら振り出しに戻って出し直すしかありません。 こんななか、教育基本法に関する特別委員会でも、審議が着々と行われています。私も委員の一人として審議に参加していますが、今もって「なぜ教育基本法の改正が必要なのか」という説得力のある改正の根拠、言い換えれば立法事実をこれまで委員会の中で聞いたことがありません。確かに教育にいろんな課題があることは承知しています。しかし教育基本法を改正することで何が改善されるのか、どういう科学的根拠に基づいて法改正をしようとしているのか、具体策が全く見えないのです。 一連の教育改革論議は、故小渕恵三元総理大臣が平成12年3月27日に設置した「教育改革国民会議」における議論からスタートしました。まもなく小渕総理が逝去されると、その後は森喜郎前総理に引き継がれます。この会議の開会挨拶で、故小渕氏は一言も教育基本法について触れてはいませんが、森氏は総理に就任して直後の4月5日に開催された会議で教育基本法の改正について言及しています。同年12月22日に「教育改革国民会議報告−教育を変える17の提案−」がまとめられ、座長から報告を受け取る森前総理と同席していた町村元文部大臣は、基本法の見直しについて中央教育審議会等で議論を行いしっかりと取り組んでいきたいと発言しています。今、教育基本法に関する特別委員会の中で、森氏は委員に、町村氏は自民党の筆頭理事となっています。 教育は、国家百年の大計と言われるとおり国の根幹に関わることであり、皆で考えなければならないテーマです。仮に国会でどんなに良い改正を行ったとしても国民に定着し国民によって活かされなければ何の意味もありません。何よりも必要なのは、教育基本法を自らのものとしてとらえること、そのために教育のあり方について国民的な議論を呼び起こすこと、そのうえで変えるか変えないか、変えるとすればどのように変えるか、という判断をすることではないでしょうか。そのためにはもっと慎重でもっと幅広くもっと自由な議論が必要です。拙速な議論は避けなければなりません。 微力ですが、しっかり踏ん張っていきたいと思う今日この頃です。
第81号「武力紛争、本質的には」(2006年5月29日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第81号(2006年5月29日発行) 「武力紛争、本質的には」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週土曜日に開催された「智水会」総会では、大勢の方々からご参加いただき、本当にありがとうございました。当日配布した袋の中に、この1年間で発行したメールマガジンをまとめた冊子を入れさせていただきました。駄文を書き連ね、先週で80号を迎えました。今後ともがんばって書きますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 先週24日、独立から4年がたった東ティモールで、再び武力衝突が発生しました。首都ディリから避難する人も多く、周辺国から治安維持のため近隣国から軍隊の派遣も受けているのですが、今日現在、鎮圧化の方向に向かっているというニュースはありません。顔をゆがめて逃げまどう子どもたちの姿が報道され、胸が締め付けられる思いがしました。まずは武力の引き離しが一刻も早くなされなければなりません。 武力紛争の原因は、表面的には民族間紛争であったり同族による内紛であったり、政治的権力をめぐるものであることが多いのですが、本質的には、貧困など経済的な困難さが底辺にあると私は考えています。しかもその格差たるや、グローバル化や情報化が進んでいなかった時代とは異なり、急速に一体化が進む現代の地球上での経済格差です。まさに未曾有のものといえるでしょう。 先週27日、ジャワ島で大規模地震が発生しました。被害者の数は数千人、これからも増えていくことが、残念ながら、予想されるという報道です。家族と家と生業を失って途方に暮れる人たちのことを思うと、言葉も出ません。 そうした被災地や紛争に苦しんでいる人たちを見捨ててはいない。そのメッセージを、私たちからも発信していきたいと思います。今すぐできることは限られているかもしれませんが、明日以降、できることがあるかもしれません。同じ地球の上に暮らす同時代人として、不幸な人をつくらない、増やさない、そのために活動していきたいと思います。