************************************** 西村ちなみメールマガジン第80号(2006年5月22日発行) 「インターネット」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんばんは。衆議院議員の西村ちなみです。 政治家がホームページや電子メールアドレスを公開していると、多くの方々から多種多様なご意見やご要望をメールでいただきます。コミュニケーションを補完する道具として私たちの日常生活に定着した電子メールやブログですが、今や、コミュニケーションの主役となっている面もなきにしもあらず、です。 さて、日本では現在、インターネットを用いた選挙運動が、原則禁止されています。ホームページやブログを開設して選挙運動を行うことなどはできません。諸外国を見てみると、程度の差こそあれ、インターネットが選挙運動に活用されており、日本のようにインターネット選挙運動にかかる規制が厳しい国は特別であるとも言えます。 日本でも、この通常国会で、インターネット上のツールを用いた選挙運動を解禁してはどうか、という議論が活発化してきました。民主党でもかなり早い段階からインターネット選挙活動解禁を主張してきた経過がありますが、当時の自民党は、解禁するといわゆる「無党派層」が非自民に投票するのではないかという恐れをもったのでしょう、ずっと解禁には反対してきました。ところが昨年の総選挙で無党派層を取り込むことに自信をもったのか、自民党も対策本部を設置し、検討に前向きにはなったようです。民主党は、有権者が政治に関心を取り戻し、有権者にとって使いやすいものであるよう注意しながら、今後もインターネット選挙の解禁に向けて取り組んでまいります。 ところで、インターネット上のツールとしては、ホームページやブログや電子メールなどがあります。今や、毎日万単位でアクセスのあるブログや、書き込み式で情報が積み重なっていく掲示板など、その数すらも把握できないほど多くのサイトが存在するに至りました。数年前からインターネット世界が無法状態であることは指摘されてきましたが、未だに法整備などは行われておらず、ウイルス感染や個人への誹謗中傷などトラブルも発生しています。もちろん一定のテーマについて議論が深まっていくサイトもあり、要は使い方とマナーの問題、ということでしょうか。 ネットに書いてあることは真実か否か?真実だということの一つの事例として、あるサイトでは、インターネット上で参加者の書き込みによって修正され厚みを増していく辞書があります。ここで、ある人が実験で、故意に誤った情報を書き込みました。すると、2,3日中には書き込みが修正されて、正しい辞書になったということです。 また真実ではないということの一つの事例として、米国でハリケーンが発生した際、マスメディアが現場に入ることができず、地元の被災者がそれぞれブログなどを立ち上げて現場から通信で情報提供を行いました。これが報道とは異なったのです。略奪や暴行などが発生しているというニュースが伝えられ、当局などがあわてて現場に急行してみたところが、何も事件は起こっていなかった、ということです。 メディアリテラシーと言われますが、このように、真偽が入り交じったインターネットの世界で、何が真実で何が嘘なのか、見極めるのは極めて難しくなっていると思います。本来、コミュニケーションはフェイス・トゥ・フェイスで行われるものであり、自分の足で現場へ行き、自分の言葉でインタビューして、自分の耳で聞き、自分の鼻で感じ取って、そして自分の力で判断することです。インターネットの登場によって、私たちは、そうした「時間」や「努力」を労せずとも、いろんな情報を得ることができるようになりました。私たちの想像力や判断力は、より一層の強化を求められる時代にもなったのです。 私のメールアドレスにも、たいへん多くのご意見やご要望などをいただきます。原則として、私は、申し訳ありませんが匿名のメールなどにはお返事をしていません。返事をするときにも、お会いしたことのない人にどうしたら活字だけで私の思いを伝えることができるかという細心の注意を払いながら返事を書いています。このメールマガジンも同様に、出来る限り私の思いをお伝えできるよう書いているつもりです。今後ともご愛読くださるよう宜しくお願いいたします。
メールマガジン
第79号「教育基本法特別委員会」(2006年5月15日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第79号(2006年5月15日発行) 「教育基本法特別委員会」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週、地域にお伺いしての国政報告会を行わせていただきました。20人ほどの方々からご出席いただき、活発な意見交換をさせていただきました。とても有意義だったと思いますし、改めて新潟の有権者の民度は高い、と思わずにはいられませんでした。会合の設定にいろいろご協力くださった方が、終了後、「こうでなくちゃならん」とおっしゃってくださったのが印象的です。私も、膝詰めで皆さんと座らせていただき、いろんな方面からの発言をいただきながら、距離感が近くなるのを感じました。今後とも同様の集まりをたくさんもっていきたいと思います。またご要望があれば、皆さんの地域にも伺わせていただきますので、どうぞお気軽にお声かけください。 さて終盤国会、私は、衆議院に設置された教育基本法に関する特別委員会に所属することになりました。全部で45名、そのうち民主党委員は11名です。そもそも民主党は、この特別委員会の設置に反対してきました。憲法に準ずる重要な基本法、この改正を小泉総理の高い支持率の間に通そうとする与党のやり方は、国民不在の論議によって進められてきたものです。また文部科学委員会という常任委員会がありながら、特別委員会を設置して審議しなければならないという合理的な理由は、見つかっていません。常任委員会は開催曜日が決まっており、月曜日などに委員会を開催することはできませんが、特別委員会はどの曜日でも何時でも構わず開会できるということになっています。昨年、郵政民営化特別委員会が設置されたときは、短期間のうちに、月曜から金曜までぶっ続けで120時間という審議時間を積み重ねました。残り少ない会期内で無理矢理にでも成立させたいという考えから生じた、特別委員会の設置なのです。 明日は本会議での質問が行われます。委員会での審議はその後ということになります。あまりに拙速な与党のやり方に対して、野党がどう対応するか。民主党の姿勢も問われています。
第78号「地方意見が反映される仕組み」(2006年5月8日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第78号(2006年5月8日発行) 「地方意見が反映される仕組み」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 皆様は連休いかがお過ごしでしたか。私は新潟で比較的ゆっくりと過ごしました。連休が明けてからの国会は、医療制度・共謀罪・米軍再編という大きな課題を前に、穏やかならぬ雰囲気が漂っています。いずれもしっかり取り組んでいく決意です。 この連休中、日本中を忙しく飛び回っているフランス人夫妻がいらっしゃいました。新潟市が姉妹都市交流を古くから続けているフランス・ナント市のジャン=マルク・エロー市長ご夫妻です。日本が大型連休に入るのと同時に来日し、東京に滞在した後に金沢や横浜など地方都市を廻られたのですが、最初に新潟・フランス協会と新潟市の招きで来新してくださいました。今夕はフランス大使の公邸で大使主催の歓迎レセプションがあり、新潟市長とともに再びエロー市長と懇談してまいりました。 彼はフランス社会党に所属する国会議員でもあります。なんと市長と国会議員を兼職しておられるのです。日本の政治システムから考えると、市長と国会議員を兼職するなんてとても考えられないことですが、フランスの下院では、地方自治体の首長を兼任する議員は非常に多いと聞いています。シラク大統領も長くパリ市長と下院議員を兼任してきました。また上院においては、地方議員によって間接的に選ばれる「地方代表の議会」となっています。上院・下院ともに、地方議員との兼職が認められており、大雑把に言って約半数の議員が兼任しています。 フランスは中央集権国家だと言われてきました。しかし、必ずしもそうとは言えないと私は感じています。議員の多くがこのように兼職しているということからも想像できるように、フラン スの地方が、中央における政策決定に多大な影響力をもっているのです。国から地方への財源移転の配分決定には地方代表が参加しており、地方行財政の制度改正にあたっては、地方代表との協議が必ず行われるなど、制度的に中央の政策に対して地方意見が反映される仕組みが整っていると言えます。 ひるがえって日本では、三位一体改革の論議の際、いわゆる地方六団体(全国知事会など、首長、議会が、それぞれのレベルでともに構成している団体の総称)が政策決定に参加できるという形にはなっていませんでした。地方六団体がこれまで幾度となく補助金の削減や交付税改革などを提案してきても、中央省庁はそれらをほぼ黙殺し、縦割りの省益争いで終わってしまっているのです。 またフランス憲法では、地方財政の自主性について、ヨーロッパ地方自治憲章に則って、分権社会における税財政の基本原則がきちんと謳われています。しかし日本では、憲法はおろか、地方自治関連の法律のどこにも、地方自治の何たるかは明記されていません。 エロー市長は、新潟市でのスピーチの中で、他者を認めることの重要性にも言及しておられました。地方議員や首長が国会議員を兼任したりできるフランスの政治システムも、他者を認めることの一つの側面図なのかもしれません。日本で中央政府と地方政府がともに発言権と責任を有して分権を進めることができるようになるのはいつの日か。早く政権交代をしなければならない理由がここにもあります。
第77号「米軍再編」(2006年5月1日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第77号(2006年5月1日発行) 「米軍再編」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 連休谷間の月曜日、いかがお過ごしでしょうか。 先週28日の金曜日、私は羽田から金沢での講演に向かうため飛行機に乗りました。小松空港を降りて車で金沢市内へ向かい数分とたたないうちに、小松基地からグレーの戦闘機(おそらく訓練機)が轟音を立てて頭上低くを飛んでいきました。小松市内にお住まいの運転手さんによれば、あの騒音だけはいくら年月がたっても慣れるものではない、とのこと。28日に最終合意案が固まったとされる米軍再編によって小松へも沖縄から米軍機の訓練地移転と基地拡張が予定されていますが、地元は反対しているようです。 冷戦が終結し、9.11後の世界ではテロの防止が国際社会の合言葉になりました。今回の米軍再編の背景は、こうしたテロ防止という国際協調の流れと、沖縄の地元負担軽減という地域からの要請があると、一般的には理解されています。新聞の見出しなども「沖縄4基地返還へ」となっています。 しかし事実は報道されているほど単純ではありません。ひとつには、確かに沖縄から米国の海兵隊はグアムへ移転しますが、実際に移転するのはいわば司令部だけであり、犯罪や事故で市民生活を脅かしてきた実践部隊はそのまま残るという点です。沖縄県も普天間代替基地V字滑走路は問題ありとしています。また二つ目には、そのグアムへの移転費用について、日本政府は23日(日本時間24日)、60億9千万ドル(約7100億円)、負担割合にして59%を負担することで合意しました。この数字の内容や法的根拠についてはまったく示されていません。交渉の経緯も不明です。 米軍再編は、昨年10月29日の日米安全保障協議委員会(2+2)で採択された文書がベースとなっています。その2+2文書の主眼は、在日米軍基地・部隊の移転にではなく、日米の軍事力協力の深化にあるのです。基地・部隊の再編も、日米強化を実現するための手段として位置づけられています。新たに日米の共同統合運用調整所が設置される横田基地の再編案には特に注目していかなければならないでしょう。 沖縄から米軍の訓練機能などが移転される関係53自治体のほとんどが「これまで説明がなかった」「騒音や事故などの不安が払拭できない」などと慎重もしくは反対の意向を示しています。中には「戦車に轢かれても命をかけて反対」「ミサイルを撃ち込まれても基地強化を阻止する」と語る市長もいます。こうした米軍再編にかかる経費の日本負担が約3兆円に上ると米国国防省高官が25日に発言。米軍再編の目的の不明瞭さや米国のアジアに関するインテリジェンスの欠如、日本に対する米国の意識も浮き彫りになったと思います。 日本はすでに在日米軍駐留経費の74.5%を負担していますが(2002年の数字)これは米軍が駐留する国の中でもっとも高い負担率です。これらの負担をどう国民に説明するのか、また日本の安全保障を確保する観点からどういう現状認識に立ち、どういう判断で米国の戦略に協力しているのか、長期的に日本はどのようにアジア地域安全保障を組み立てていくのか。どの問に対しても政府は何一つ答えていません。 28日、折りしもこの日は横田めぐみさんのお母様、横田早紀江さんが米国大統領と面談した日であり、前日の米国議会公聴会での意見陳述に加えて、夜のニュースはこの話題で持ちきりでした。横田さんの演説に米国議員が涙した映像が印象的でした。 28日、この日はまた、新発田市と上越市に駐屯する陸上自衛隊の部隊に、イラク・サマワへの第10次イラク復興支援群に編成・派遣命令が出されました。とうとう新潟県からもイラクへ自衛隊員を出すことになります。 都合のいい時だけつきあうのが、本当の友人関係でしょうか。外交は国と国との関係ではありますが、最後は人と人との関係なのです。信頼できる外交関係を、日本が、他国と結ぶことができるのはいつの日か。すでにポスト小泉にシフトしている諸外国の外交が、小泉外交の失敗を如実に表しています。
第76号「誰がやるかより何のためにやるか」(2006年4月24日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第76号(2006年4月24日発行) 「誰がやるかより何のためにやるか」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 昨日、自民党陣営の公職選挙法違反による辞職に伴う衆議院補欠選挙が、千葉7区で行われました。民主党公認の太田かずみさんが接戦を制し、見事初当選を果たしました。小沢一郎代表のもと初めて臨んだ国政選挙で、民主党は一丸となって戦いました。接戦でしたので投票率が上がれば勝機があると思っていましたが、久々に良い結果となり嬉しい思いでいっぱいです。ご声援いただきありがとうございました。 今回の選挙は、小泉総理にとって最後と言われる国政選挙でもあります。小泉改革に対する評価を選挙を通じて与える最後の機会でもありました。この選挙に勝利したということの意味はたいへん大きいものがあります。 私が国会議員として見てきた小泉改革とは、単なる看板の付け替えにしかすぎませんでした。道路公団民営化では、公団を「民営化」したはずなのに新しい高速道路を作るかどうかは民営化された会社が採算性や効率性などをもとに判断するのではなく、国の関与が依然として残されています。郵政民営化では、公社を「民営化」して肥大な民間企業を新たに創出することに対する懸念が、ようやく最近になってマスコミからも表明されるようになりました。「民営化」イコール「良質化」では決してありません。民営化すればすべて上手くいく、というのは、単なる思い込みと思いますし、小泉総理による悪しき刷り込みだと思います。 民主党は、格差社会の是正を訴えてきました。勝ち組と負け組への二極化が進んでいます。勝ち組はほんの一握り、多くの人々は負け組であると感じているか今は負け組ではないけれども何時かそうなるかもしれないという不安をもっています。こうした社会になってきたのが政治とは無関係だと私は考えません。小泉総理が改革と叫びながらすべてを一緒くたにして行き過ぎた競争を推奨してきたことそのものが有害だったのです。 民主党が訴える構造改革は、「誰がやるか」よりも「何のためにやるか」を重視したものです。生活者の暮らしを守る視点から、適正な事業実施主体は何なのか。私企業が行うか、NPOやボランティア団体が行うか、地域コミュニティが行うか、あるいは行政(国か自治体か)が行うか、それぞれによるパートナーシップで行うか。官か民かの二つの類型だけにこだわる必要はありません。日本の社会は多様であり、二類型だけでは語りつくせないのです。 学校教育、年金・医療・介護などの社会保障制度など、すべての人にチャンスが平等に与えられる社会を目指していくためにも、補欠選挙での勝利を契機として、終盤国会、徹底した論戦を挑んでいきたいと思います。