************************************** 西村ちなみメールマガジン第25号(2005年4月25日発行) 「合併のあとに取り組まなきゃいけないこと」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日、宮城と福岡の二つの小選挙区における補欠選挙と、新潟市議会増員選挙が、投開票日を迎えました。私が応援してきた民主党の候補者は落選。残念ですが、この敗戦で明らかになった課題を、今後の努力で克服していきたいと考えてます。ご支援いただいたみなさん本当にありがとうございました。力不足をお詫びするとともに、今後ともご支援くださるようよろしくお願い申し上げます。 今月のオープンミーティングでは、外部講師をお招きし、2回連続で市町村合併について学びました。第1回目の「市町村合併〜国の視点から〜」では、全国の市町村合併の動向、政令指定都市の権限と財源、新・新潟市が政令指定都市に指定される可能性についてお話しいただきました。第2回目の「市町村合併〜市の視点から〜」では、合併後の新潟市のめざす姿、今後のまちづくり等に向けての課題、新潟市合併マニフェストについてお話しいただきました。参加者のみなさんからの関心も高く、活発な質問を出していただきました。 そもそも政令指定都市とは、急激に人口増加がすすむ大都市の問題に対応するために作り出された制度です。昭和31年に五大都市(大阪、名古屋、京都、横浜、神戸)の指定と同時にスタートしました。人口集積が急速に進むことにより、都市計画や道路の管理や教職員の任免などに生じるひずみを速やかに解消するため、その権限を都道府県から政令指定都市におろし、スムースな都市化をはかる、ということが目的でした。 地方自治法には、政令指定都市とは政令で指定される人口50万人以上の市をいう、としか書いてありません。この50万という数字は、昭和31年に指定された五大都市のなかに神戸市が含まれています。これは他の4つの都市が人口100万人を超えていたものの、神戸市がわずかにこれに届かなかったため、50万人以上としたのではないでしょうか。その後、人口100万人を超える都市、そして100万人には満たなくとも今後人口が増えて100万人くらいにはなるという見込みの都市が、次々と指定されてきました。平成13年には市町村合併推進プランが策定され、①大規模な市町村合併が行われ、②合併関係市町村と関係都道府県の要望がある場合には、弾力的な政令指定都市指定を検討することとされました。これを受けて市町村合併による政令指定都市への移行がさいたま市と静岡市で行われ、政令指定都市は新たな時代に入りました。 さて、市町村合併について2回にわたって話をお伺いしたところで、いくつかの課題が浮かびあがってきました。 ひとつには、地方財政についての課題です。国から地方への交付税は今後10年間確保されるということになっていますが、厳しい財政事情で将来にわたっても交付税が確保されるという確約はありません。いわゆる三位一体改革がスタートしてから、地方六団体(全国の都道府県、市、町村の首長と議長がそれぞれに構成している六つの団体の総称)が政府に要望書を出して、補助金の削減、交付税改革、税財源の移譲について、具体的な提案を行っています。国としてはそれを真摯に受け止めるとしていますが、実際には、権限と財源を手放したくない各省庁の抵抗にあり、実態はあまり進んでいません。 地方の財政計画を立てているのは国であり、その財政計画の決定の方法が不透明であるということも、問題です。また、政令指定都市に移行したとき、いわゆる市民の参画をいかに新しい市政運営にしっかりと組み込んでいくかも課題です。新潟市の合併は、政令指定都市の指定を受けるためという側面もありましたが、より実践的な住民自治を行うためのものとしなければなりません。大きな市になったからこそ、それぞれの地域の個性が生かされ、市域内の分権が確立されるしくみをつくっていく必要があります。 対外的には、新潟の拠点性をいかに高めていくかという大きな課題があります。 こうした課題について、次回のオープンミーティングでは、「国の視点から」「市の視点から」に引き続き、「市町村合併〜私(たち)の視点から〜」として、みなさんとともに今回の市町村合併と新潟市の政令指定都市への移行についてもう一度課題を整理し、私と参加者のみなさんとで話し合う場としたいと思います。前回、前々回のお話しを踏まえて、国や市の考え方に対してご意見やご要望をおもちの方、どうぞお気軽にお越しください。
メールマガジン
第24号「不忘前事 后事之師」(2005年4月18日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第24号(2005年4月18日発行) 「不忘前事 后事之師」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 中国で反日デモが活発化しています。事態打開につながるかと期待された外相の訪中も、不発に終わる気配が濃厚になってきました。現在、中国に滞在している日本人は日系企業関係者など約8万人。大使館や領事館への投石が行われたり怪我など人的被害が出たりしており、国連のアナン事務総長も「両国の知恵で解決策を探すことを期待している」などと述べて懸念の意を表しています。その国連の常任理事国入りをめざしていた日本にとっては、同じアジア地域にある中国からの支持を取りつける可能性がほぼ皆無となりました。アメリカも今のところは日中両国に公平な立場を崩していないものの、最後は、中国サイドによっていくのではないかという観測がもっぱらです。 日中国交回復後、両国関係の最大の危機といわれる今回の事態。日中国交回復は1972年に当時の田中角栄首相と周恩来総理によってなされました。周恩来総理が、中国国内の反対勢力を説得して日本との国交回復に向けて前進を決断した話は今も耳にします。国交回復に反対する人びとを説得するため、周恩来総理は、農村をひとつひとつ回り、地道な説得を重ねたとも聞きます。「飲水思源」(水を飲むときには井戸を掘った人のことを忘れるな)という中国の言葉どおり信義の人だったからこそ、とても難しい国交正常化を成功させることができたのでしょう。政治の世界でも「誠実さ」を大切にすることの重要性を学べる数少ないエピソードとして、私の心の中に深く刻まれている事柄です。 日本では過去の歴史、とりわけ自らが加害者となった歴史については、伝承しようという雰囲気がほとんどありません。中国や朝鮮半島や東南アジアなどの各国各地域で日本が第2世界大戦当時に何をしたのか、家庭や学校や地域社会で学ぶこともほとんどありません。現地に出かけるなどして積極的に知ろうとしなければ無知のままです。ところが、被害者となった国や地域では、それらの歴史は家庭で、地域で、学校で、脈々と語り継がれています。当事国における若者の「知識の差」はますます広がる一方。この事実認識の差は、被害者と加害者の意識の差でもあります。相互交流の貧弱さと単眼的な情報によって、その差はますます増幅されています。また、ときの政権が、どういうスタンスをとるかによって、意識の差は拡がったり縮まったりする可能性があります。 北朝鮮による拉致問題の解決のためにも、日本にとって中国の位置づけはきわめて重要です。現在および将来の経済活動のありようを考えるとき、日本と中国の関係は友好的であるという前提に立たなければ成立しえないことがたくさんあり、関係の悪化は避けなければなりません。しかし、日中両国政府は、にらみ合ったまま膠着状態に陥りました。日中ともに問題の早期解決を望んでいながら、です。 なぜこのタイミングで日中関係が悪化したのでしょうか。複合的な原因があると見なければなりませんし、その原因についてこのメルマガで論じる紙幅もありませんが、私は、小泉総理の靖国参拝など日本政府が中国の感情を逆なでするような行動をとったことが、反日デモを引き起こすきっかけにもなっていると考えます。その小泉総理が、「対立の海から協力の海へ、お互いよく話し合っていきたい」と述べても、中国の政府あるいは国民にはそうした言葉は何の意味も持たないものであろうと思います。 外交に従事するのは、政府だけではない時代に入っています。日本が過去の歴史を「忘れる」のではなく「記憶する」ことによってのみ、打開の糸口を見つけ出すことが可能になるのではないでしょうか。もちろん今回のような暴力行為は認められるものではありませんから、中国に対して時には言いにくいことも言うべきでしょう。しかし、「私たちも忘れていない」というメッセージは、被害者としての日本からばかりでなく、加害者としての日本からも、常に発信しつづけるべきです。力による支配がつづく国際社会ですが、信義の人である周恩来が今なお語り継がれていることに、今後の日中関係の、少しの希望をつないでみたいと思うのです。
第23号「“改革”のようなもの」(2005年4月11日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第23号(2005年4月11日発行) 「“改革”のようなもの」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週水曜日、竹中大臣が委員会答弁をドタキャンするという事件が発生しました。この日、私が所属する総務委員会では、郵政事業を所管する麻生総務大臣と、郵政民営化担当という特命を小泉総理からうけた竹中担当大臣の委員会への出席を求め、与野党理事が合意のうえで質疑が行われることになっていました。民主党からもバッター(質問者を意味します)が4人決まり、質問通告も行い、朝10時の開会を待つだけになっていました。 ところが委員会開会直前の理事会で、竹中大臣が急に委員会を欠席するという知らせが届きました。「郵政民営化法案を具体化するため調整に一刻の猶予もならない状況にある」つまり忙しいというのが理由とのこと。これには与野党理事も、また自民党議員も、憤懣やるかたない様子でした。総務委員会は、委員長が「誠に遺憾」と述べ、答弁者がいなくては質問になりませんから、次の開会はまた理事会で協議することとし、1分ほどで散会となりました。 憲法63条には、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」と定めています。竹中大臣の今回の行動は明らかな憲法違反。しかもその理由と責任を問われた本会議質問で、「情報収集に不備があった」など苦しい逃げの答弁をしていましたが、総務委員会理事会で示された欠席理由とはまったく食い違うものでした。 その郵政民営化法案ですが、小泉総理が指示した期限(先週末)内にはとうとうまとまりませんでした。自民党に提示された政府案も、中身の何もない代物となっており、多くの問題点が指摘されています。私がとりわけ重要と考えるのは以下の2つです。 ひとつは、小泉総理が郵政民営化を主張した動機そのものが不明確だということです。当初、郵政事業の資金が財政投融資を介して特殊法人などに流れ込み、浪費されて大量の赤字が生み出され、それを解決するための手段として、財政投融資の「入り口」改革が言われたのが、郵政民営化論のスタートでした。しかし、財政投融資は入り口改革だけやっていては不十分で、出口改革(特殊法人そのものの改革)を行わなければ本末転倒となってしまいます。その出口改革は必要性が指摘されてから20年間というもの放置されつづけてきました。また今回の民営化案は、政府保証を残すというものになっています。郵貯・簡保の縮小にもまったく手をつけておらず、巨大な官有民営企業を生み出すことにつながりかねません。いったい何のための郵政民営化なのか。明確な答えは未だに聞かれません。 もうひとつは、世界では郵政事業の民営化は、かつて推進された時期もありましたが、先に民営化したドイツはじめ各国ではおしなべて失敗に終わっているということです。民営化して郵便サービスが向上したという国はありません。またアメリカは毎年日本政府に「年次改革要望書」を提出し報告を求めており、そこで郵政民営化について言及していますが、そのアメリカにおいてさえ郵便事業は国営のままです。郵政民営化が政策課題となったのは、ひとえに、小泉総理の私怨によるのではないか、と、国会周辺ではささやかされています。 いまや政府は内閣不一致、政府与党もばらばら。しかし小泉総理の人気を頼みに政権にしがみつくことしかできてこなかった与党に、いったいこれ以上何ができるでしょう。結果として、年金や介護保険や子育て支援など生活者に密着した政策については内閣の関心が薄くなり、そのしわ寄せは今を生きている市民、これからを生きようとする次の世代へと、不安の増大という形で押し寄せてきています。 ここで民主党がいかなる戦略をとるかが、とても重要です。今月は宮城と福岡で二つの補欠選挙が行われます。また新・新潟市においては市議会議員の増員選挙が行われます。これらの選挙で議席を得ることが、当面の目標です。それぞれの地域に民主党議員を生み出していただき、市民が主役の政治をめざして活動する民主党に、より大きなお力添えをいただけますよう、心からお願い申し上げます。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 西村ちなみオープンミーティングのご案内 [テーマ]市町村合併 −新潟市の視点から− [日時]4月23日(土)10:00〜11:30 [会場]ユニゾンプラザ *参加費は無料です。市町村合併に関する質問の時間もございます。 ご友人とお誘いのあわせの上、お気軽にご参加ください。 ご不明な点等ございましたら下記までお願いします。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
第22号「開かれた年金改革論議を」(2005年4月4日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第22号(2005年4月4日発行) 「開かれた年金改革論議を」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 今月のオープンミーティングは、新・新潟市の合併をテーマとして、特別に2回シリーズで外部講師をお招きして開催することとしました。9日(土)は10:00から11:30までの予定で、新潟駅前交番向かいのガレッソホールにて、総務省自治行政局行政課行政企画官の吉川浩民さんをお招きし、国の視点からとして、全国の市町村合併の動向、政令市の権限と財源、新・新潟市が政令市に指定される可能性などについてお話いただきます。質問の時間もあります。合併に関する「?」をお持ちの方、ぜひこの機会にご参加ください。 さて4月1日(金)の本会議、ようやく年金制度改革に向けた第一歩が踏み出されました。「年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する決議」が採択されたのです。 年金制度は昨年夏の参議院選挙では大きな争点となりました。国内世論も、年金などの社会保障制度改革を優先的に行ってほしいという意思を、たびたび示しました。年金財政が破綻に近づいていることは誰の目にも明らかでしたが、政府は「百年安心プラン」なのだと主張して引きません。民主党でなければ年金制度の改革はできないと訴え1日も早い政権交代を求めるか、あるいは視界不良ではあるけれども超党派での議論に持ち込むよう努力するか。民主党内でも本当に真剣な議論が行われてきました。その結果、粘り強く与党に働きかける道を選択しました。そうして先月から与野党協議がスタートし、自民党の重い腰も協議のテーブルへと向けてようやく立ち上がってきたのです。 いろんな問題点を隠しながら法案を出してきた厚生労働省、年金財政の赤字を積み重ねてきた責任を指摘することもなく法案にただ乗りするだけの与党・・・これまでの経緯を考えれば、野党としては、怒りと同時に「顔を洗って出直して来い」と言いたいところです。また、与党としては、昨年法案を通したばかりという面子もあるため、あからさまに自らに瑕疵があったとは言えないでしょう。両者の距離が縮まるのは困難な状況でした。 決議にはこう書かれています。「・・・出生率、経済財政情勢、産業構造、雇用構造など時代の大きな変化に対応すべく、過去の経緯などにとらわれず、議論に必要な論点を国民に提示し、あらゆる観点からの議論を尽くし、社会保障制度改革なかんずく年金制度改革について、その実現のため全力を傾注しなければならない」。この決議文をまとめるために、与野党間でどのようなやりとりがあったのでしょうか。野党が「これだけの文言は入れる」と主張し、与党が「こういう書き方でなければ駄目」などとやりとりしたその痕跡が、随所に浮き彫りにされているように、私には感じられます。 今後の進め方については決議および要綱で、以下のように決まりました。 ①全会派参加による両院合同会議を設ける。各党会派の割当は、自民13人、民主12人、公明6人、共産2人、社民2人。会長1人、会長代理1人、幹事8人。幹事は自民4人、民主3人、公明1人、幹事会オブザーバーを、共産1人、社民1人。 ②議論はすべて国民に公開する。 ③まず年金制度改革に関して各党が論点・目指すべき姿・施策について提起して議論を進め、今秋までに改革の方向付けを行い骨格の成案を得ることを目指す。 「骨格の成案を得ることを目指す」。日本語としては通じますが、表現は玉虫色です。議論を合同会議の35名に任せるのではなく、どのような成果をもたらすのか、しっかりとウオッチしていかなければなりません。 またこの間、話題となってきた国会議員年金制度ですが、これについても時代に適応した形へと変えていく必要があります。スタート当初の互助年金制度の枠組みを維持しつつも、国庫から多額の負担金が投入されており、あまりにも優遇された制度だと批判されています。今年に入って、衆参両院議長の諮問機関から、両院議長に答申がありましたが、その内容は短い時間の不十分な議論から出てきており、制度変更しないというものでした。これは納得できる内容とはなっていません。国家公務員の共済年金と一本化する案、一本化とまではならなくとも公務員共済年金に準ずる案、などなど、さまざまな試案・私案が出されてはいますが、民主党が主張する年金制度の一元化により、国会議員年金制度はその中に吸収されることとなり、議員年金だけが高い国庫負担率になっているという不公平な仕組みは解消されることになります。 皆さんからも引き続きウオッチをお願いします。
第21号「政党のあり方」(2005年3月28日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第21号(2005年3月28日発行) 「政党のあり方」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 3月26日に私が総支部長をつとめる民主党新潟県第1区総支部の定期大会を開催しました。昨年を振り返り、新年度の活動計画を決める、大切な大会です。見慣れた顔、新しい顔、いろんな方に会うことができました。 最近読んでいる本の中から、政党の在り方について深く考え込まざるを得ない二つの事柄に出会いました。ひとつは、ドイツからアメリカに亡命した政治思想家ハンナ・アーレントです。彼女は当初、二大政党制における政党は公的な存在であると主張してきましたが、のちに政党そのものに批判的になり、政党とは、人々を代表すると称するが、結局は人々の政治への参加を制限する役割を果たしていると見るようになりました。アメリカの二大政党制がいかに不十分であるかを見たためだとも言われています。 もうひとつは、現代日本人の意識調査の分析結果です。NHK放送文化研究所が5年ごとに行っている意識調査の結果がまとまりました。そこでは、9割の人が国民の意見が政治に反映されていないと感じる一方で、政治や職場環境を改善するためにとる行動は、「静観」が飛びぬけて多く、1980年代後半から「依頼」が「活動」を上回ってきているということが示されています。ただし地域活動やボランティアなどには積極的に「活動」したいという人が多くなっており、身近なことには参加したいという国民意識が明らかになりました。 古今東西、政党の在り方は実に多様です。かつて高度経済成長期、55 年体制といわれた時代には、自由民主党が社会党の打ち出した政策を吸収 して政府のものとすることが常であり、また国会活動でも、表向きは激し く与野党対立をしながら、実際のところは共存共栄のための暗黙のルール があったとも言われてきました。 現代日本社会においては、新しい政党の在り方があってよいはずです。民主党は、生活者重視の新しい政策を実現すると宣言し、市民が主役の政治をめざして、これまで活動を続けてきました。私が政治活動をスタートするときに民主党を選択したのも、民主党の理念に共鳴し、よりよい政策をつくり、実現できるとの期待があったからです。 現状では、よりよい政治を行うためには政権交代が必要です。政権交代 をするためには選挙で勝たねばならず、選挙で勝つためには組織を確立しなければなりません。しかしこのシナリオを、ゆっくり時間をかけて実現する余裕が今はありません。いきおい、次の総選挙で勝つことが一期生議員の最優先課題だから「地元活動」をしっかりやれとハッパをかけられるわけです。 こうした政党側の事情と呼応しているのでしょうか、政治的旗幟を鮮明にしたくないという有権者の皆さんが増えてきました。資本主義社会や地域社会の中で、政治を日常生活の中に持ち込むことはタブーだとする意識の現れでしょう。しかし本来、政治とは生活そのものです。政治にかかわらずに生きていくことができる人は誰一人としていません。 政党と有権者。互いに遠ざけあうアンハッピーな関係に、今の日本の政党政治はあります。この精神的な距離を縮めることが、よりよい政治の実現には不可欠です。まずは政党が、有権者にとって意味ある存在となることが重要でしょう。 また、「地元活動」と「国会活動」は、本来、トレードオフではないはずです。時間の有無に関わらず、やるべきことをしっかりやるしかないと思います。 まだまだ課題は山積していますが、参加している一人一人が、活動の意味を十分に噛みしめることができる、信頼を寄せていただける、そういう政党の総支部づくりをこれからも心がけたいと思っています。どうぞ皆さんからも民主党新潟県第1区総支部の活動にご参加いただき、新しい時代の、新しい政党をつくるために、ともに汗をかいてくださるよう、心からお願い申し上げます。
第20号「市町村合併と地方自治の本旨」(2005年3月22日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第20号(2005年3月22日発行) 「市町村合併と地方自治の本旨」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日21日は、新潟広域地域の合併記念式典が行われました。13市町村という、全国でも稀にみる多くの自治体による合併。人口は78万人という大都市レベルでありながら、食料自給率61%という驚異的な新・新潟市の誕生です。 式典では、合併市町村の首長さん・議長さんたちから、お一人ずつ、スピーチがありました。24人のスピーチは、それぞれに個性的で、地域の性格を反映したご挨拶でした。合併までの苦労話が飛び出たり、地域の祭りのPRがあったり、市長への「陳情」が行われたり。それぞれの地域の歴史と伝統がぎっしり詰まった1時間半でした。 私は、今回の合併を、「してほしい」というお任せ民主主義ではなく、「こうしたい」という市民の自発的な参画と適切なリーダーシップが育つきっかけにしなければと思っています。合併は、地方自治の発展のための手段。真の地方自治は、団体自治と住民自治によって成り立ちます。人々が暮らしている基礎自治体の規模が大きくなっても、「寄らば大樹の陰」のような発想では、スケールメリットは生じません。住民自治がきちんとまちづくりのプロセスに組み込まれなければならないと思います。 合併によって私たちの暮らしがどうなるのでしょうか?私たちはどうしたらいいのでしょうか?また新潟市は政令市になるのか、なったらどうなるのでしょうか?こうした疑問の声が多く聞かれます。いろいろな疑問について一緒に考えるために、次回のオープンミーティング(4月9日(土)10時00分からガレッソホールにおいて)では合併をテーマに取り上げた いと思います。こういったことを知りたい、あれはどうなるのか、というご質問などがありましたら、お気軽にお聞かせください。 総務委員会におけるNHK予算に関する質問の結果報告です。時間が足りず、十分な議論ができませんでした。しかしテレビとラジオで深夜に録画中継された後、全国の多くの皆さんから激励のお言葉をいただきました。公共放送の在り方に関する議論は、今回では終わりません。さらに議論を続けてまいります。気づいた点がありましたら何でもお聞かせ下さい。
第19号「明日は委員会質問にたちます」(2005年3月14日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第19号(2005年3月14日発行) 「明日は委員会質問にたちます」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ****************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 三寒四温。昨晩は新潟で美しい三日月が西の夜空にゆったりと浮いていました。少しずつ、春の気配を感じます。 さて国会ではそれぞれ提出法案の付託された委員会がそろそろと動きはじめています。総理および内閣の一部が並々ならぬ意欲をみせている郵政民営化法案は、当初の予定を大幅に遅れて4月ころ提出予定とのこと。本来であればこの法案は、郵政事業の所轄官庁であり私が所属する総務委員会で審議されることになるはずなのですが、竹中氏が担当大臣として任命されているということと、財政投融資など総務省以外の省庁が関係してくるということで、特別委員会を設置してそこで審議するという方向が強まってきました。 総務委員会では、明日、NHK予算案の審議が行われることになりました。私も20分という短い時間ですが、質問に立ちます。不正経理や政治との関係など、昨年夏から噴出してきたNHK問題。発生した問題の中身もさることながら、事後の対応のまずさを見ると、問題の根っこはかなり深いと見なければいけません。英国BBCなどとの対比で、今後のNHKの在り方等を議論したいと思っています。 明日の総務委員会の様子は、明日深夜にNHK総合テレビとラジオ第一で放送される予定です。23時15分から始まり、私の質問はおそらく翌午前1時10分過ぎから放送されると思います。深夜になりますが、この機会に視聴していただき、今後に向けてご意見などをお寄せいただければ幸いです。
第18号「この国の形」(2005年3月7日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第18号(2005年3月7日発行) 「この国の形」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週土曜日、初めての「オープンミーティング」を開催いたしました。足下の悪い中をお集まりいただいた皆さん、本当にありがとうございました。今回は民主党予算案などを中心に報告させていただき、その後、新潟県中越地震復興への取り組みなどについて質疑を行いました。会場でご記入いただいたアンケートをもとに、次はもっと充実したオープンミーティングになるよう努力します。次回の日程は未定ですが、取り上げてほしいテーマ等がありましたら、どんどんご提案ください。お待ちしております。 さて先週2日、衆議院本会議を平成17年度予算案が通過していきました。予算委員会委員長からの委員会報告を受けた後、反対・賛成・反対・賛成・反対と交互に、それぞれの政党の代表者が時間内で討論を行います。その後、記名採決となります。 記名採決とは、名前の書いてある札を持って、点呼の順に登壇して札を投じる採決の方法です。予算案や重要法案などの採決には、この記名採決という方法がとられます。議員それぞれの席に、賛成の人がもつ白票、反対の人がもつ青票が、それぞれ5枚ずつ置かれており、それをもって意思表示するのです。 平成16年度補正予算は災害復旧費用も入っており、私たち民主党も賛成しましたが、平成17年度予算案は税制改正や地方分権や財政健全化に向けた取り組みが不十分であるなどという理由で、反対の青票を投じました。 国と地方を通じての長期債務残高は平成17年度末に774兆円となります。これはGDPの1.5倍であり、先進国中で最悪の状況となりました。政府はきわめて楽観的な見通しを基に、2004年1月の「構造改革と経済財政の中期展望」2003年度改定において、2010年代初頭のプライマリーバランスの黒字化へのシナリオを示しました。しかしここに示された現実離れした甘い見通しは、発表当初から内外から批判の対象となっています。 財政制度等審議会によると、現在の財政構造を前提としたとき、10年後にはプライマリーバランスの赤字は27.8兆円に増加(平成17年度予算案では赤字は15.9兆円)と予測されています。これを、「入るを図って出を制す」:歳出削減だけで均衡させようとすると一般歳出の3分の1を削減することが必要であり、歳入増だけで均衡させようとすると約5割の増収が必要になるとのこと。 民間シンクタンクによれば、平成17年度は国民年金保険料の引き上げ、雇用保険料率の引き上げ、国立大学授業料の値上げ、介護施設の利用代・食事代の有償化などにより、家計に押し寄せる負担増は1.8兆円と推計されています。負担増を求める前提として、徹底した歳出の見直しがなければなりません。 歳出の見直しをするということは、事業の見直しをするということに他なりません。そのときに、政府に必要なのは「思想」だと思います。経済効率だけにとらわれず、この国をどういう形にしていくのか。その将来像のうえではじめて、事業の「選択と集中」は可能になるはずなのです。しかし平成17年度予算案の審議では、事業のメリハリのつけかたが最善だったのかどうか、決定的な結論を得るには至りませんでした。私は現時点では、ムダで不要不急な事業を削減し、特殊法人改革を行うなどして、歳出削減をはかる以外にないと思います。小泉総理がついに行うことができなかった「聖域なき歳出改革」は、政権交代によってのみ可能になると、今回の予算案審議を通じてあらためて痛感しました。
第17号「重要広範議案」(2005年2月28日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第17号(2005年2月28日発行) 「重要広範議案」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 今日は新潟駅頭で毎週月曜日恒例の街頭国政報告のあと、事務所前の雪除けをしてから、新幹線に乗りました。 いま国会では、政府予算案を中心に審議が行われています。予算案とほぼ同時に審議が始まりそうなのが、総務委員会と財務金融委員会に提出される予定の地方税法と所得税法の二つの改正案。平成11年度の税制改正で、個人住民税や所得税のそれぞれ15%、20%という定率減税が行われました。この定率減税を2分の1に縮減する、つまり実質的には増税するというのが、今国会に提出された政府提案です。 この二つの法案は、「重要広範議案」という指定を受け、重要な法案であるという位置づけになっているのですが、政府与党は、あまりマスコミなどが大々的に取り上げないうちに、うやむやのままに、二つの法案を成立させたい考えのようです。これまでの「重要広範議案」では、たとえば昨年の年金改正関連法案がそれだったのですが、少なくとも40時間の審議時間を確保することとされています。しかし今回はどうやら十分な審議時間をとることにも否定的な様子。今週・来週は、この二つの法案をめぐってひとつの山場を迎えそうです。 ところで私は予算委員会の二つの分科会で質問を行いました。男女共同参画政策といわゆる官製談合について、そして新潟県中越地震と観光政策についてです。項目などについてはまた後日ご報告したいと思います。 今日はご案内です。私が国会で取り組んでいることや、民主党の政策や、地域社会の中での現状と課題などについて、誰もが参加して話し合える場をつくりたい、ということで事務所スタッフと話し合ったところ、今回、3月5日(土)10:00から11:30まで新潟ユニゾンプラザで、「オープンミーティング」を開催することになりました。これから毎月一回の開催を目指します。初回のテーマは民主党の予算案について。民主党として新年度予算についての独自の考えをまとめました。あまりマスコミなどでは出ていませんが、これを題材として、話し合いをさせていただきたいと存じます。テーマを設定しないフリートークの時間も設けます。お気軽にご参加ください。
第16号「補助金の削減と、交付税改革と、税源移譲。」(2005年2月21日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第16号(2005年2月21日発行) 「補助金の削減と、交付税改革と、税源移譲。」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日は、民主党役員室の仕事で、岡田代表の仙台遊説に同行しました。地方分権について宮城県の浅野知事との対談やフロアとのやりとりと、街頭演説・記者会見などの日程です。4月に行われる予定の宮城2区の補欠選挙に向けて、門間ゆきこさんの訴えもありました。寒い日でしたが、大勢の皆さんが集まってくださり、充実したフォーラムになりました。 フォーラムのテーマとなったのがいわゆる「三位一体改革」。財務省ふうに解説しますと、国と地方とのお金の関係を改革するため行われるものであり、補助金の削減、交付税改革、税源移譲の3つを意味します。政府は2010年代初頭にプライマリーバランスの黒字化を目指すとし、2006年度までに3兆円の補助金廃止・縮減と、2005年度までに3兆円規模の税源移譲を行うなどとしています。昨年は地方自治体が予算をつくる直前に税源移譲など地方財政改革の全体像が示されないまま補助金が削減されるという事態となり、各自治体から猛反発の声が上がったところでした。 そもそも日本の地方行財政のシステムは、地方自治とは言いながらも、手足をかなり国(中央)によって縛られていると指摘されています。20兆円にもおよぶ補助金は、法令によって決められた以上に細かい制約を地方自治体に求める源になっています。補助金を獲得するために自治体は細かな計画書を作成し、中央省庁は全国から集まった膨大な量の計画書を時間をかけてチェック、予算の獲得と箇所付けのためにまた膨大な作業を行い、配分を受けた自治体は事業を実施して綿密な報告書を書いて、省庁はまたそれをチェックして…と、日本では中央官僚や地方官僚など優秀な頭脳のほとんどは、無駄とは言いませんがシステムさえ改革すれば不必要になる仕事に多くの時間を割いているのが現状です。 また交付税の仕組みについて、国会論議の中では「交付税は地方固有の財源」と明言されていますが、実はその額がどのようにして決まるのか、どのような考え方で分配されるのか、仕組みはほとんど明らかにされていないのです。自治体の体力はそれぞれ異なりますから、財源調整という考え方は必要なことと思いますが、ここは総務省の独壇場、さじ加減ひとつで交付税の額と分配が決められると言っても過言ではありません。結果として地方の財政規律の破綻につながるのではないかという指摘も頷かざるを得ないところです。 補助金も交付税も、これまで社会資本の形成などにかなりの役割を果たしてきました。しかしもうそろそろ本当に改革が必要な時期ではないでしょうか。地域が創意工夫をこらし、住民・市民の声がきちんと行財政に反映される、いきいきとした地方自治の姿を目指すときです。結果として自治体間に一時的に格差が出るのはむしろ当然のこと。地方の力を信じてこそ、本当の分権改革が可能なのです。 民主党は、まずは市町村など基礎自治体がやれることをやる、できないことを都道府県などがやる、それでもできないことを国がやる、という、補完性の原理を貫いた分権論議をすすめていくことになりました。私もこの論議に、地方分権プロジェクトチームの一員として参加していきます。 プライマリーバランスの黒字化や消費税については、また機会を改めてお伝えしたいと思います。