************************************** 西村ちなみメールマガジン第55号(2005年11月21日発行) 「外交の季節」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 飯豊の山々に雪が降り、澄み切った空にくっきりと稜線が浮かび上がっています。いよいよ新潟にも本格的な冬の訪れが目前。どうぞ皆様お風邪など召さないよう、体調には十分お気をつけください。 国会閉会中の現在、日本は外交の季節を迎えています。先週は日米首脳会談、日韓首脳会談/面談、これから行われる日ロ首脳会談、このほか外相の各国との会談など、外交日程が目白押しでした。これまで行われた一連の外交日程の中で、政府にとっていちばん成果があったのは日米首脳会談ではないでしょうか。ブッシュ大統領と小泉総理は京都で蜜月ぶりを示し、小泉総理は米国産牛肉の輸入再開について早くも言及、ブッシュ大統領は総理への賛辞を繰り返していました。他国との冷ややかな会談ぶりと比べると、いかに日米関係が突出しているかが良く分かります。米国のプレゼンスのみに頼ることなく地域的安全保障の構築のために、と私たちも模索してきた東アジア共同体構想ですが、ここでも政府の東アジア軽視ぶりは指摘されなければなりません。もう少し、これまで積み重ねてきた議論や、これまで取り組んできたASEANなどの国々との関係を、大切にできないものかと強く感じます。 今月12日から14日までの間、1年近く閉ざされてきた日朝協議が再開されました。この日朝協議を受けて、私が所属する拉致問題対策特別委員会では国会閉会中ですが17日に3時間の審議が行われ、私も極めて短い時間ですが質問に立ちました。あらかじめ割り当てられていた時間は15分、しかし前からの質問者が押してきて3分ほど削られてしまいました。後戻りせず問題解決に立ち向かってほしいという強い思いをもち、なかなか議論が進展しないことに焦りや憤りを感じていましたが、それらを表すにはあまりに時間が短かったです。身のある議論を行うためにどうしたらいいのか、次の機会のためにさらに準備をしなければなりません。 およそ委員会や本会議での質問時間は、議会運営委員会や国会対策委員会、そして担当委員会の理事会で決められます。まずひとつの案件(おおよそ法案審査と一般質疑に分けられます)について、何時間の議論を行うかという総枠が決められます。その後、政党・会派別に何時間ずつ割り当てるかを、所属議員数に応じて決定し、その後、質問する議員(バッターなどと呼ばれます)の持ち時間が決められるのですが、このプロセスや割り当て時間の決定は委員長や担当理事の個性が反映されたものとなります。また関連する部門会議を定期的に開催している常任委員会であれば理事と委員との間で意思疎通は可能ですが、特定の部門会議をもたない特別委員会は、定期的に顔をあわせる機会がない分、委員会運営がより難しくなります。特別委員会がもっと重みを増すために、何かできることはないか、これからも探っていきたいと思います。
メールマガジン
第54号「義務教育費国庫負担金」(2005年11月21日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第54号(2005年11月21日発行) 「義務教育費国庫負担金」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週は「学習権」という耳慣れない言葉をご紹介しました。1985年ユネスコの第4回国際成人教育会議で「学習権宣言」が採択されています。ここには、「学習権なくしては、人間的発達はあり得ない」という一文が入っており、また「学習権は、人間の生存にとって不可欠な手段である」とうたわれたことにより、学習権は生存権の一部としてみなされています。日本では、性教育や宗教教育、女性や青年の学習、学校教育を受ける子どもたちの環境、などの議論をするときに、この学習権という言葉がしばしば用いられてきましたが、最近では、いわゆる三位一体改革の中で義務教育費制度を議論するときにも用いられるようになってきました。 平成17年度、平成18年度予算で地方向け国庫補助負担金を3兆円程度廃止・縮減するという政府与党案がまとめられたのは昨年の11月です。どの国庫負担金を廃止・縮減し一般財源化するか見渡したときに、政府与党が着目したのが義務教育費国庫負担金でした。昨年は8500億円程度の減額を暫定的に行いましたが、減額相当額については税源移譲予定特例交付金という新しく創出された交付金によって措置されています。費用負担を含む義務教育のあり方については、平成17年秋までに中央教育審議会において結論を得るとされており、答申の内容が注目されていましたが、10月26日にまとめられた答申は「義務教育費国庫負担制度は今後とも維持されるべき」という、税源移譲を求める政府与党に対してはいわばゼロ回答の内容となり、今後の議論の行方が注目されているところです。 義務教育費国庫負担の廃止縮減に対しては、懸念の声、不安の声が、各方面から聞かれます。すでに教材費や図書費などは一般財源化されていますが、教材費では交付税積算ベースに対して東京が163.7%と高率なのに対して、徳島県などは35.6%と格差があり、新潟県も80%を少し超えるくらいとなっています。義務教育費が一般財源化されると、教育にかけるお金がさらに削られてしまうのではないか、という懸念が、制度廃止反対の大きな理由でしょう。また公財政による初等中等教育費の対GDP比率は、OECD諸国の中でも日本は決して大きくはありません。 一方、義務教育費が一般財源化され、法改正を行えば、地方の裁量度が高まり、自由な教育環境を整備できるとする、意欲ある声、期待の声も、各方面から聞かれます。教職員の人事権などは都道府県にありますが、より地域社会に近く独自性のある教育を行うためにも、市町村に人事権を移すべきという意見は、さまざまな場面で聞かれてきました。また一般財源化されたときに教育にどれだけ充てるか決めるのは首長ですが、選挙の際に住民から施政方針を問われることになりますので、そのときに住民有権者が審判を下せばよいというすがすがしい議論もあります。地方分権の視点から少なからず共感を覚える点です。 いずれにしても、このように意見が対立するなか、文部科学省の孤立はますます深まっていっているようです。新聞などでは数回にわたって「中学校分の廃止を検討」「3分の1に削減」「削減やむを得ず」などの見出しで報道されていますが、これに対して「報道された事実はないし、発言した大臣の真意もそこではありません」という趣旨の文部科学省からの説明文書がそのたびごとに出されています。これまで義務教育をコントロールしてきた文部科学省が、いよいよ自らの裁量を削られようとするときにいかに狼狽しているかが分かろうというものです。 また、自治体の首長の間でも、自由裁量度が高まることへの期待感を示す先駆的な方がいる一方で、教職員人事権とともに給与負担も移譲されるときには国庫負担金によってその財源を措置してほしいと考えている首長が8割を超えるということも、アンケートによって明らかになっています。すべての首長が、義務教育費一般財源化に積極的ではない、という結果は、態度を決定していく際に、重視しなければならないポイントです。 さて、いずれにしても、義務教育費の国庫負担制度をどうするか、いよいよ来年通常国会では本格的な議論がスタートします。民主党は、学習権の確保という観点から、義務教育費国庫負担金に代わって、教育一括交付金を創設し、国から市町村へ直接交付する、また義務教育費総額も増額するという方向で、方針案を検討することになりました。教育は、モノを生産せず、成果物が何なのか見えにくい作業ですが、教育を疎かにすることは無益だと私は考えます。人材を育成することに金と手間をかけ、工夫を施す、そういう社会とするために、今回の議論を、単に義務教育費をどうするかという一過性の議論にすることなく、複眼的に行っていきたいと考えています。
第53号「生涯学習」(2005年11月14日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第53号(2005年11月14日発行) 「生涯学習」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日、早稲田大学大学院公共経営研究科の学生会が主催したフォーラム「女たちは未来を拓けるか?」に参加してきました。民主党から小宮山洋子衆議、蓮舫参議、私の3人、自民党から片山さつき衆議、佐藤ゆかり衆議、西川京子衆議の3人で合計6人に、ニュースキャスターの筑紫哲也教授がコーディネーターを担ってくださり、少子社会対策や男女共同参画政策について議論しました。議員個々人の考え方の共通点と相違点が浮き彫りになり、フロアからの積極的な質問もあって、おもしろい会になったと思います。また筑紫さんからも、6人が自分の言葉で政策や考え方を語っていることから中身の濃い議論になったとの評論がありました。女性議員が増えることによって、日本の政治文化が変わることが期待される、とも。 ところで、今回のフォーラムの企画は、すべて研究科の学生60人くらいで行ったとのことです。社会人の方が半分、学部生からの方が半分くらいということで、私たちのお世話をしてくださったのも自治体職員や民間企業の社員から学びにきているという学生でした。年代もばらばらです。一昔前、ふた昔前は、学校を卒業してしまうと「勉強や研究は卒業してしまえば終わり」という社会的風潮がどことなくありましたが、今は、リカレント教育や大学への社会人入学や公民館での社会教育など、多様な学び方ができるようになってきました。生涯学習がもっと身近なものになるのではないかと期待しています。 OECD諸国などと比すると、日本で生涯学習に取り組む人はまだ少ないと言われます。かつて、日本で生涯学習が進まないのは、学習の機会そのものが地域的に偏在しているからだという議論がありました。私が県議会にいた当時も、立派な図書館があっても利用できるのは近隣住民のみであり、そういった施設は新潟市に集中するからけしからん、という議論があったと記憶しています。しかしだからといって図書館がないほうがいいという話にはなりませんし、図書館がなければ生涯学習に取り組まないという話でもないのでしょう。 現在、義務教育国庫負担金をいわゆる三位一体改革の中で一般財源化するかどうかについて検討が進められています。来週は、この関連で、学習権という言葉について考えてみます。
第52号「牛肉輸入と沖縄基地と内閣改造」(2005年10月31日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第52号(2005年10月31日発行) 「牛肉輸入と沖縄基地と内閣改造」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 牛肉輸入と沖縄基地と内閣改造。今日は同じ日にニュースになっただけで全く関連がなさそうなこの3つのテーマを、考えてみたいと思います。 第1に米国産牛肉輸入再開です。食品安全委員会プリオン専門調査会が今日の昼ごろ開催され、輸入が止まっている米国産とカナダ産の牛肉の安全性について、「危険部位を除去するなどの条件を守ればリスクの差は非常に小さい」とする答申原案をまとめました。これによって近い時期に米国産輸入が再開される可能性は非常に高くなったといえます。もともとBSEに関連して牛肉の安全性について議論する主体が、日本の政府内には、3つ存在します。ひとつ目は農林水産省、ふたつ目は厚生労働省、そしてみっつ目が内閣府に設置されている食品安全委員会です。農水省も厚労省も、それぞれにリスクコミュニケーション(市民・企業・行政など、利害関係を持つ者が行うコミュニケーション)などを行ってきたのですが、だんだん内閣府の食品安全委員会のウエイトが大きくなってきた感があります。食品安全委員会が今日出した答申によって、結果として12月の米国大統領の訪日前後に牛肉の輸入再開が可能となりました。しかし問題は、米国産牛肉の年齢把握や飼料管理の甘さなどに見られるように、政府の求めようとしている「条件」がきちんと守られるかどうかです。食の安心安全を守る見地から、拙速な輸入再開は認められません。 第2に沖縄基地移設問題です。日米両政府が先週まとめた米軍普天間飛行場の移設案ですが、今日、提案への対応を聞くため、沖縄県庁を防衛施設庁の長官が訪問しましたところ、沖縄県知事は提案を拒否する意向を示しました。日米両政府の閣僚がそろって記者会見し、地元からも理解が得られると自信を示していた案ですが、地元住民および知事の受け止めは当初からたいへん厳しかったようです。今後も政府は「地元の理解を得る」ために説得を重ねるのでしょうが、そのめどは立っていません。 第3に小泉第3次改造内閣です。人選についてここで述べるつもりはありませんが、問題は特別国会が閉会する前日に改造が行われたということです。明日の本会議は閉会中審査のための手続きをするだけで、短時間で閉会します。そのときには新しい内閣ができあがっているわけですが、新しい大臣は国会で所信も語らないまま年明けの通常国会まで業務を行うことになります。記者会見をしたからそれで済むという話ではありません。 いずれにしても今晩と明朝は、おそらく新しい内閣の顔ぶれに関するニュースで持ちきりになることでしょう。そのニュースの陰にかくれて、本来であればトップニュースになるはずの第1のニュース、第2のニュースは、おそらく小さな取り扱いになることと思います。しかし、牛肉輸入や沖縄基地の問題こそ、みなさんとともに考えるべき課題であることを思うとき、なぜ同じ日に3つの出来事が生じるのか、まったく不思議でなりません。 新聞やテレビニュースのトップ記事だけを見ていると、時に大事なテーマを見落としてしまうことになります。これからも情報を丁寧に拾い上げ、真理は何かを見極めようとする姿勢で、活動していきたいと考えています。
第51号「災害とNPO・ボランティア」(2005年10月24日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第51号(2005年10月24日発行) 「災害とNPO・ボランティア」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 第163国会も残すところあと1週間。特別国会における議論も山場を越えつつある感がいたします。私が所属する総務委員会は先週、連日委員会が開催され、私も委員会での質問に2回、本会議での討論に1回、それぞれ立たせていただきました。委員会での質問は電波法・放送法の一部改正案とNHK決算について行ったもので、本会議での討論は電波法・放送法の一部改正案の本会議採決直前に行われるものです。いずれも自由で公平な放送のあり方につながる電波行政、不祥事が続いたNHK問題、放送局への外資規制や放送と通信の融合など、大きな問題ばかりでした。 さて、昨日10月23日は、新潟県中越地震からちょうど1年の日にあたります。小千谷市で開催された合同追悼式に私も参列し、献花をして、亡くなられた方々のご冥福を改めてお祈りするとともに、ご家族や地域で被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げてまいりました。地元小学校の子どもたちが、これからの復興を誓い、声を合わせて「がんばります」と言っていたのには、本当に感動しました。地が裂け、山が崩れてしまった被災地に、これから2度目の冬が訪れます。1日も早い復旧・復興のために、さらに取り組んでいくことを決意しています。 ところで昨年、新潟県内で発生した自然災害の際には、復旧・復興にたいへん多くのNPOやボランティア団体がかかわりました。どのような団体が、どのような活動をしてきたのか、また被災地の人々とどんなふうに出会い、どのような関係を構築していたのか。昨年1年間で2度の自然災害を経験した新潟県には今、「災害とNPO・ボランティア」について語るために十分な蓄積がされつつあります。 今、私の手元には2冊の本があります。『私の7・13水害 その時、今、思ったこと』(「私の7・13水害」編集委員会、2005年)と、『中越の経験−NPO・ボランティアが開いた地域づくりの扉−』(新潟県地域総合研究所、2005年)という、災害とNPO・ボランティアの関係を、実際に新潟県の経験に照らし合わせながら普遍化するために、重要な手がかりとなるものです。前者は一人ひとりの被災者の手記を中心とし、後者は、7・13水害から中越大震災までの中でNPO・ボランティアという視点からの考察を中心としています。 災害は、一瞬にして地域で暮らす人々の平穏な生活を奪います。地震予知に意味がないとも思いませんし、「備えあれば憂いなし」で、各ご家庭で緊急避難用の食料と水3日分を確保することは必要なことです。しかし、それだけで十分なのだろうか?私は2冊の本を読んでみて改めて考えました。究極の自然災害への備えは、日ごろから安心して生活することができるコミュニティそのものではないか、と。そういったコミュニティは強靭で、力を合わせて何事かをなし得ることができるでしょうし、NPOやボランティアとの関係を構築することも柔軟に行えるはずです。水害と地震という二つの大きな自然災害を体験した新潟だからこそ発信できる防災メッセージ。政策づくりにも生かしていけるポイントなのではないでしょうか。 民主党本部にはNPO局という部局があり、私はその次長をつとめております。また市民社会における政党の役割を模索する民主党では、以前から「市民がつくる政策調査会」という市民レベルでの政策シンクタンクとも連携をしております。来月はこの民主党NPO局と市民がつくる政策調査会が新潟にやってきて、災害時のNPO・ボランティア活動から見えてきた政策的課題についてヒアリングを行います。開催は11月、また近くなりましたらご案内させていただきますが、広く皆さんからもご参加いただき、パネリストの皆さんと問題意識を共有していただければと存じます。
第50号「政党外交」(2005年10月17日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第50号(2005年10月17日発行) 「政党外交」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週、私は、急な海外派遣を民主党本部から命じられ、2泊3日で台北まで行ってまいりました。自由主義インターナショナルの流れを汲むCALD(アジア自由民主連盟)が今年、女性の政治参画をテーマに国際会議とワークショップを開催したのです。日本の民主党はCALDの正式メンバーではありません。毎年、招待をいただいているわけでもなく、幹事会などに参加するときもオブザーバーという立場での参加にとどまっています。ちょうど総選挙のころ民主党へ招待状が届いていたらしく、鳩山幹事長の「誰か行ってもらいましょう」という一言で滞っていた人選が進んだところ、私が男女共同参画副委員長・国際局次長ということから出席することになったのです。 私が台北で何を感じ、何を考えたか?それらをみなさんと共有するために、日程や参加者からご案内したいと思います。まず日程ですが、13日は台北で政治への参画を検討している女性候補予定者が参加してワークショップが行われました。参加者は、実際に地方選挙を行っている選挙事務所へも視察に行ったようです。また午後からはCALD幹事会が開催され、私もオブザーバーとして参加しました。14日はセッション、「政治における女性の役割」や「女性の政治参画を促すための党と国会の役割」などのテーマごとに報告と質疑応答が行われました。 女性の政治参画はアジア共通のテーマとして、議論に値する重要なテーマであることを再認識しました。 政党としての参加は、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシア、インド、スリランカ、台湾、韓国、日本からの、正式メンバーおよびオブザーバー政党です。それぞれの政党は、与党として安定した政治勢力を保っているもの、連立政権の一翼を担っているもの、野党として閣外協力しているもの、与党と完全に敵対しているもの、極めて厳しい状況におかれているもの、など、実にさまざまなでした。また個別の参加者は、議員や政党職員、政党と関係ある学識経験者やアドバイザーなど多様であると同時に、幹事会メンバーの多くはすでに友好的な人間関係が作られている友人同士でありました。 使用言語は英語。私に要求された出番は、14日のセッションで15分のスピーチを行い、他の参加者とともに質問を受けるというものでした。これまでシンポジウムやパネルディスカッションで喋ることは何度か経験していても、すべて日本語の世界。初めて英語でスピーチと質疑応答を行い、道具としての語学の重要性を再認識しました。 さて私は、今回の台北滞在で、あらためて日本という国の外交戦略と私自身の外交スタンスについて考えをめぐらせました。CALDの会議には、求めに応じて、民主党から毎回それぞれ別の議員が参加しています。ですから、幹事会に出席しても、そこで培われている人間関係やそれまでの議論が理解できていません。各国の政治状況に対してCALDとして決議文を採択するため、その内容等について検討している幹事会においても、日本として、また民主党として、容易に発言することができないのです(オブザーバーですからある意味当然のことですが)。 CALDそのものが、民主党が参加すべき組織かどうかということについては別の問題として議論しなければなりません。いずれにしても、外交で必要な継続性、人間関係や言語などを、もっと私たちは重視すべきであると感じました。アジア重視の外交政策を掲げる民主党です。主張をきちんとぶつけ合い、受け入れられるもの・受け入れられないものをきちんと峻別することが必要です。そうした判断に基づいて、目指すべき方向のために、努力するということ。この視点を保ちつつ、私も国際局の次長になりましたので、民主党としての政党外交にしっかりと関わっていきたいと思います。
第49号「民主党らしさ」(2005年10月11日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第49号(2005年10月11日発行) 「民主党らしさ」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 連休明けの東京は雨模様です。新潟はすがすがしい秋空が広がっているようですが、いかがお過ごしでしょうか。 先日のオープンミーティングは、総選挙の結果を受けて、私からの話に引き続いて参加者の皆さんからさまざまなご意見を頂戴しました。都合で参加できなかった方から、「どんな意見があったのか知らせてほしい」というご要望をいただきましたので、本日のメールマガジンでは、発言者を特定しない形で、ご報告したいと存じます。 まず口火を切ってくれたのは、新潟市外に在住する、今年20歳になって参政権を得たばかりの学生さんでした。初めて投票した今回の総選挙で、民主党に投票したけれども、今回の結果は非常に悔しいという発言をいただきました。また、自分の住んでいる選挙区には民主党の公認候補が立候補しなかったので、次は必ず擁立してほしいという内容でした。 まことにもっともな話で、300選挙区すべてに擁立するというのは政権交代をめざす政党として、責任を持ってしっかり取り組む必要があります。 政権をとらなければ何も始まらないから、何が何でも政権をとるために、メディア対策を徹底的にやるべきだというご発言もいただきました。実は選挙期間中、私の事務所にも、民主党のテレビコマーシャルは不出来だから改善せよという電話などをいただいていたのです。前原代表の選出はメディアから好印象で受け止められ、滑り出しは上々だったものの、ブームは数日で去ってしまいました。代わりに、といっては何ですが、民主党関係のニュースは労働組合との不仲などのネガティブ(消極的)な内容となっており、プラス向きの報道ではありません。 選挙制度についてもさまざまなご意見がありました。小選挙区と比例区との重複立候補は納得できない、という内容です。選挙制度にベストなものはありません。その時代状況に応じて、より良い制度を模索していくしかないようです。 また、企業をリタイアされた方からのお話では、在職中はしがらみがいろいろあったが、退職してそれが消失してみると、政党ではなく人物本位で投票行動を決めるようになった、という声もありました。ですので、候補者選定をもっと重視してほしい、という意見でした。 関連して、例えば新人議員の研修など、民主党は制度的にやっているところがほとんど見えず、一人一人の議員がいわば野放し状態に見える、というご批判もいただきました。ここのところ不祥事がらみは民主党にも多くあります。規律にしっかりしているイメージを打ち出してほしい、ということでもありました。 また民主党と自民党の、政策の対立軸が明確でなかったというご指摘もいただきました。これは、私が今回の総選挙後の流れに身を置いてみて、もっとも痛感している根本的な課題でもあります。この特別国会会期中に、民主党らしい政策をたくさん作りたいと思います。 毎月1回開催しているオープンミーティングは、このように、私からの話に続いて、参加者の皆さんからも自由にご発言いただける場となっています。多くの方々から積極的にご参加いただき、より充実したものにしていきたいと思います。来月、お目にかかるのを楽しみにしております。
第48号「少子化 パート4」(2005年10月3日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第48号(2005年10月3日発行) 「少子化 パート4」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんばんは。衆議院議員の西村智奈美です。 朝夕はめっきり涼しくなり、日ごとに秋の気配が深まってくるのを感じます。食欲の秋、読書の秋、思索の秋。みなさんにとって今年はどんな秋をお迎えでしょうか。 さて今週は少子化パート4として、若者の就労と併せて書いてみたいと思います。最近、若い世代の雇用形態や収入の違いが、少子化と関連しているという観測が、多くの識者から聞かれるようになりました。実際に少子化につながる晩婚化・未婚化と、若者の就労問題は切り離して考えられないとする指摘もあるほどです。 「少子化と若者の就労が関連している」とは、実際にどういうことなのでしょうか。たとえば若い男性についてのデータでみると、25〜29歳では、年収500万円以上ある人で半数以上が結婚していますが、パートや派遣など非正規雇用者では結婚している人が15%にとどまっているという状況です。また、結婚している人の割合を年収別で見た場合、「高収入層ほど結婚している人の割合が高くなる」という傾向が顕著に現れます。 結婚も出産も子育てもしたことのない若者たちも、結婚や出産や子育てにはある程度のお金がかかる、ということは知っています。お金がすべてではないとしても、将来設計を立てることができなければ、なかなか結婚や出産、子育てに踏み切ることが難しい時代。若者の就労は、少子化を考える上でも欠かすことのできない重要な視点のひとつになっています。 政府の「少子化社会対策大綱」では、そうした視点から、若者の就労支援に取り組むことが打ち出されています。結婚したい、子どもをもちたい、という若者の気持ちを応援するためにも、就労支援はとても重要な政策テーマになっています。 民主党では仕事と家庭の両立支援と働き方の見直しを進めることを主張し、育児休業制度を男性労働者もとりやすい仕組みへと改めていくことを提案してきました。「仕事か、家庭か」という二者択一は、私たちの生活からうるおいと楽しみを奪うものです。何かを得るために何かを犠牲にする。そうした思考回路に、私たちは知らず知らずのうちに慣らされてきてしまったようにも感じます。 これからは、多様なライフスタイルが存在することをお互いに認め合い、誰もが自分にあった生活を選択することのできる社会でなければなりません。そのために社会保障制度などは、誰にでも公平で将来への安心が約束される安定したものであることが必要です。つまづいたとき、失敗したときにも、立ち上がり、再びチャレンジすることができる。そういう温かい社会であってはじめて、私たちは将来への夢を育むことができるのではないでしょうか。 今、日本の政治は、圧倒的な多数を占める与党の力をバックに、小泉総理がやるといえばやる、やらないといえばやらない、そんな「強者の論理」の政治になっています。しかし私たち国会議員が本当に目を向けなければいけない現実は、「強者」の中ではなく、むしろ力の弱い人たち、声を発するだけの力すらも持てない人たちの中にこそ、あるのではないでしょうか。少子化問題を議論するときにも、生活者の側に立った発言を確保していくことが、ますます重要になってくると考えています。
第47号「本格的な2期目のスタート」(2005年9月26日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第47号(2005年9月26日発行) 「本格的な2期目のスタート」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 第163国会は今日の開会式に引き続き、小泉総理による所信表明演説が行われました。総選挙で勝った直後で語彙が乏しくなってしまったのでしょうか、「改革なくして成長なし」という持論を繰り返すだけの中身でした。懸念されるのは、国民生活の視点からの所信が聞かれなかった点です。前の通常国会の所信表明演説では農業の再生や次世代育成などについての所信もあったのですが、今回は、アスベスト対策などが2行ほど言及されたのみでした。郵政法案の可決と日米同盟の強化。これが、今日の所信表明演説から受けた印象です。前通常国会で廃案となった障害者自立支援法案はこの特別国会でも再提出となりますが、これに対する意見表明は全くありませんでした。 本会議場の風景も一変しました。自民党議席が圧倒的に増えています。身動き一つせず小泉総理の演説に酔いしれ、拍手するときは皆一緒という姿は異様な感じすらします。 私もいよいよ国会内で活動を開始します。常任委員会は総務委員会に、特別委員会は拉致問題対策特別委員会に、それぞれ所属することになりました。また党内では引き続き男女共同参画政策立案のための調査会を担当することに加えて、新たに国際局でお手伝いをするなど、総選挙で失われてしまった戦力をしっかりとカバーしながら、仲間たちの復帰を待ち、次の機会で必ず政権交代を実現できるようがんばります。今後ともどうぞご支援ください。 今週は短いですがこれで失礼いたします。来週は、少々お休みしていた少子化対策パート4をお届けしたいと思います。
第46号「政策の対立軸」(2005年9月19日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第46号(2005年9月19日発行) 「政策の対立軸」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週14日に新潟県庁で当選証書をいただいてまいりました。明日は特別国会の召集日、初登院の日です。当選した衆議院議員全員が国会議事堂の正面玄関から入り、バッジの交付をうけ、名前のランプボタンを押すのが、初登院のセレモニー。2期目のスタートに立たせていただくことができ、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。 民主党は岡田前代表の辞意表明をうけ、新しい党の代表を選ぶ代表選挙が行われました。先週土曜日に選挙が行われ、前原誠司さんが新代表に選出されました。これからの国会審議は、自民党が圧倒的多数を占める中で、いかに多様な意見を反映させていくかが大切です。民主党は、議員の数こそは減らしたものの、最大野党であることに変わりはありません。新しい執行部のもと力をあわせて、これまで以上に一人一人の議員がしっかりとした審議で小泉総理の言うがままになる国会にストップをかけていく決意です。 さてこの時期、世界ではドイツでも総選挙が行われ、女性首相が誕生するかずいぶん注目されましたが、結果は与野党ともに過半数割れとなりました。政策の対立軸で争われていると私の目には映るドイツの総選挙を見ていると、日本とはずいぶん事情が異なるなと感じます。 日本では、「改革」という言葉の中身が問われないまま、自民党→小泉新党=改革政党、民主党=抵抗勢力、というおかしな図式のまま総選挙が行われてました。また経済政策においても、総選挙の前後では株価があまり動かなかったところを見ると、自民党も民主党も経済政策においてはあまり違いはないと市場は判断しているようです。もともと「既得権益とたたかう」という言葉は民主党の政策と思われてきました。が、小泉総理がその言葉を使い、自民党内でも無派閥議員が大勢出てきているところを見ると、中身はまったく異なるものの言葉だけはどの政党も使うものになったと言えるのかもしれません。 これからが政権交代を目指す民主党の正念場だと思います。政策で自民党との違いは何かを明確にし、分かりやすい言葉で皆さんに伝える。この作業なくして、日本の政治刷新はありえません。2期目は新潟と国会との架け橋としての役割を果たすことと同時に、政策づくりにこれまで以上に取り組んでいきたいと考えています。